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令和5年版 防災白書|特集1 第1章 第5節 5-2 阪神・淡路大震災を契機とした政府の初動体制の強化等


5-2 阪神・淡路大震災を契機とした政府の初動体制の強化等

(阪神・淡路大震災の概要)

平成7年(1995年)1月17日、阪神・淡路大震災が発生した。同震災は、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の直下型地震(兵庫県南部地震)によってもたらされた。この地震によって、神戸市から西宮市、宝塚市にかけての地域、淡路島の北部で震度7を確認したほか、豊岡市、彦根市、京都市等でも震度5が観測され、東北から九州の広い範囲で有感となった。

阪神・淡路大震災は、関東大震災と同様の都市型の地震であり、人的被害は死者・行方不明者6,437人(災害関連死を含む。)に上った(消防庁情報、平成18年5月19日現在)。また、家屋やビルの倒壊、電気・ガス・水道等の停止、鉄道・高速道路・港湾の損壊など、物的な被害も甚大だった。さらに、この災害では、情報網が寸断されるとともに、行政機能や道路、鉄道、港湾等の諸機能が停止するなど、都市機能が麻痺状態に陥った。

写真5 阪神・淡路大震災の被害状況
写真5 阪神・淡路大震災の被害状況
出典:総理府 阪神・淡路復興対策本部事務局(2000年)「阪神・淡路大震災復興誌」
(政府の初動体制の強化)

この災害では、総理大臣官邸への情報連絡を始めとして、政府全体の情報連絡や初動体制に遅れが生じた。特に発生直後には被害情報が迅速に収集できず、死者数や建物倒壊数等の被害規模の把握が困難だった。

これを踏まえて、24時間体制で情報収集を行う内閣情報集約センターの設置、官邸の危機管理センターの設置のほか、大地震が発生した時には、緊急参集チームが直ちに参集し、初動対応を行うこととされるなど、緊急参集体制の構築がなされた。また、被害規模を即時に推計し、初動対応に活用するための被害の早期予測システムが整備された。

関東大震災の発生時にも、迅速な被害情報の収集や初動対応が課題となったが、阪神・淡路大震災においても改めて同じ課題がクローズアップされたと言える。第2節で述べたとおり、関東大震災の発生時には臨時震災救護事務局の設置・開催までに約27時間がかかったが、阪神・淡路大震災における非常災害対策本部は約6時間5で設置・開催された。後述する東日本大震災の発生時には、平日の日中であり多くの職員が在庁していたことも理由の一つではあるが、政府の初動体制の強化の成果として、地震発生から1時間以内6に緊急災害対策本部を設置・開催することができた。

(その他の災害対策の充実・強化)

第4節で見たとおり、関東大震災を契機として設けられた建築物の耐震規定は、戦後の「建築基準法」に受け継がれ、昭和53年(1978年)の宮城県沖地震を契機として、昭和56年(1981年)に強化された。阪神・淡路大震災では、本改正後の耐震基準を満たしていない既存不適格建物に被害が集中したことから、同震災を契機として、耐震診断・耐震改修のための法整備及び支援措置が講じられることになった。この結果、その後の東日本大震災では、建物の倒壊による被害は抑えられた。

また、阪神・淡路大震災では、全国各地から延べ130万人以上の人々が各種ボランティア活動に参加し、後に「ボランティア元年」と言われた。災害時のボランティアの役割が重要との認識の下、平成7年に「災害対策基本法」が改正され、ボランティアの活動環境の整備に関する規定が初めて設けられた。また、平成10年(1998年)には「特定非営利活動促進法」(平成10年法律第7号)が制定され、災害救援活動が特定非営利活動と位置付けられた。関東大震災でも住民による助け合いや遠隔地からの救護班等の活動が重要な役割を果たしたが、その後70年余りを経て、ボランティア活動として再認識された。

一方で、公助による被災者支援の充実も図られ、平成10年には、災害により生活基盤に著しい被害を受けた方を支援するための「被災者生活再建支援法」(平成10年法律第66号)が制定された。


5 地震の発生が平成7年1月17日5時46分。閣議で非常災害対策本部の設置を決定したのが同日10時4分。第1回本部会議の開催が同日11時30分。

6 地震の発生が平成23年3月11日14時46分。閣議で緊急災害対策本部の設置を決定したのが同日15時14分。第1本部会議の開催が同日15時37分。


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