第4章 国土保全
1 治水事業
国土交通省においては、令和元年の台風第19号や平成30年7月の豪雨など、気候変動に伴い頻発・激甚化する水害・土砂災害や、切迫する大規模地震に対し、人命を守るとともに壊滅的な社会経済的被害を回避し、将来にわたり安全で活力のある地域をつくるため、以下により、新たな技術を最大限活用しながら、整備効果の高いハード対策と住民目線のソフト対策を総動員し、『水防災意識社会』の再構築を推進した。
また、平成30年7月豪雨等の近年の災害を受けて実施した重要インフラの緊急点検等を踏まえた防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を重点的に推進した。
(令和2年度決算額 1,241,809百万円)
(1)気候変動による豪雨の頻発化・激甚化を見据えた「事前防災対策」の加速化
令和元年度台風第19号等で甚大な被害が発生するなど、気候変動により頻発・激甚化する水害・土砂災害等に対する安全度の向上を図るため、土地利用規制等も含めたソフト対策と連携しながら、事前防災対策を重点的に実施した。
(2)住民主体の避難行動のための情報提供の充実
令和元年度台風第19号等の教訓を踏まえ、河川の水位や画像情報などの情報の充実を図るとともに、関係者等と連携しながら、住民自らの避難行動につながる情報の提供を推進した。
(3)令和元年台風第19号等の自然災害に対する改良復旧による再度災害防止
激甚な水害・土砂災害の発生や床上浸水が頻発し、人命被害や国民の生活に大きな支障が生じた地域等において、改良復旧により集中的に再度災害防止対策を実施した。
(4)地域の基幹的防災インフラの老朽化に対する計画的な修繕・更新
維持更新コストの最小化に向け、長寿命化計画に基づく「予防保全型」の維持管理へ転換するとともに、無動力化や遠隔操作化による省人化、新技術を活用した管理の高度化を推進した。