第5節 国土強靱化の推進のための取組
5-1 国土強靱化年次計画の策定
政府は、「国土強靱化年次計画2021」(以下本節において「年次計画2021」という。)を令和3年6月17日に決定(国土強靱化推進本部決定)した。年次計画2021では、令和2年12月に「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(以下本節において「5か年加速化対策」という。)が策定されたことを受けて、<1>流域治水対策や地震津波対策、道路ネットワーク機能の確保等の風水害や大規模地震等への対応、<2>道路施設や学校施設等インフラ施設等の耐震・津波対策、老朽化対策、<3>災害関連情報の予測、収集・集積・伝達の高度化等デジタル化の推進等を盛り込むとともに、5か年加速化対策がおおむね15兆円程度の事業規模を目途としているのに対し、初年度となる令和3年度は約4.2兆円の事業規模(うち国費約2.0兆円)となることを取りまとめた。
また、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(平成30年12月14日閣議決定)のフォローアップを行い、全体でおおむね7兆円程度の事業規模を目途としていたところ、約6.9兆円を確保するとともに、160項目の緊急対策のうち、153項目については令和2年度までの予算により目標を達成または目標達成の目途がついており、全体として目標はおおむね達成したと評価した。
加えて、事前防災の必要性やその効果への国民一人ひとりの理解・関心を高めるため、本対策等により災害時に効果を発揮した具体的な事例について取りまとめることにより、普及啓発を図った。
その他にも、防災・減災、国土強靱化新時代の実現のための提言、令和2年7月の豪雨災害、12月から令和3年2月にかけての大雪等において新たに判明した災害の教訓等を踏まえ、国土強靱化の観点から必要な施策を推進することとした。
また、令和3年度は「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」(座長:藤井聡 京都大学教授)(以下本節において「懇談会」という。)において、年次計画2021の策定に関する議論を行った(図表5-1-1)。