令和2年版 防災白書|第2部 第3章 2 2-2 防災施設設備の整備


2-2 防災施設設備の整備

(1)広域防災拠点の維持管理

内閣府においては、首都直下地震等により広域的な災害が発生した場合の災害応急対策活動の拠点となる、立川災害対策本部予備施設及び東京湾臨海部基幹的広域防災拠点(有明の丘地区及び東扇島地区)の維持管理を行った。(後掲 第3章3-2(1)

(平成30年度決算額 281百万円)

(2)政府現地対策本部設置のための施設整備の推進

内閣府においては、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震が発生し、現地対策本部を設置する場合の設置場所候補である官庁施設について、現地対策本部の迅速な立ち上げと円滑な災害対応に資するための改修を行った。(後掲 第3章3-2(2)

(平成30年度決算額 97百万円)

(3)公共施設等耐震化事業の推進

総務省及び消防庁においては、地震等の大規模災害発生時の被害を軽減し、住民の安全を確保できるよう、公共施設等耐震化事業として地方財政措置を講じることにより、地方公共団体が行う災害対策拠点となる公共施設等や地域防災計画上の避難所とされている公共施設等の耐震化を推進した。

(4)地震防災機能を発揮するために必要な合同庁舎の整備

財務省及び国土交通省においては、地域の地震防災活動の拠点としての役割を担っている国の庁舎の耐震化の状況が十分とは言えないことを踏まえ、地震防災機能を発揮するために必要な合同庁舎の整備を実施した。

(平成30年度決算額 8,126百万円)

(5)庁舎及び合同宿舎等の耐震化の推進

財務省においては、震災発生時における来庁者等の安全確保の観点から耐震性能の不足している庁舎等について計画的に耐震改修等を実施した。

(平成30年度決算額 2,213百万円)

(6)国立大学等施設の整備

文部科学省においては、地震による建物への被害等を防止し、学生等の安全を確保するため、国立大学等施設の耐震化及び非構造部材の耐震対策、ブロック塀等の安全対策等への支援を行い、防災機能の強化を推進した。

(平成30年度決算額 44,412百万円の内数)

(7)公立学校施設の整備

文部科学省においては、児童生徒等の学習・生活の場であるとともに、災害時には地域住民の避難所としての役割も果たす公立学校施設について非構造部材を含めた耐震対策、ブロック塀等の安全対策等への支援を行い、防災機能の強化を推進した。

(平成30年度決算額 139,463百万円の内数)

(内閣府で計上している沖縄分を含む)

(8)私立学校施設の整備

文部科学省においては、大規模災害時における幼児児童生徒及び学生の安全確保を図る観点から、学校施設の耐震化や防災機能強化を促進するため、校舎等の耐震改築(建替え)事業、耐震補強事業及び防災機能強化のための整備、ブロック塀等の安全対策等を支援した。早期の耐震化完了を目指した。

(平成30年度決算額 19,486百万円)

(9)社会体育施設の整備

文部科学省においては、地域のスポーツ活動の場であるとともに、災害時には避難所としての役割を果たす社会体育施設について、耐震性が確保されていないと判断された施設の耐震化等について国庫補助を行った。

(平成30年度決算額 93,246百万円の内数)

(内閣府で計上している沖縄分を含む)

(10)医療施設の耐震化

厚生労働省においては、政策医療を担う病院やIs値が0.3未満の建物を有する病院が行う病棟等の建築物の耐震整備に対する補助を行った。

(平成30年度決算額 613百万円)

また、政策医療を担う病院が行う耐震診断に対する補助を行った。

(平成30年度決算額 3百万円)

(11)水道施設の耐震化等

厚生労働省においては、災害時においても安全で良質な水道水を安定的に供給するための水道施設や、疾病の予防・治療等の拠点となる保健衛生施設等について、地方公共団体等が実施する耐震化等を推進した。

(平成30年度決算額 38,287百万円)

(12)独立行政法人国立病院機構の施設整備

独立行政法人国立病院機構においては、老朽建物の建替等に取り組み、耐震性の向上を図った。

(13)治山事業の推進

農林水産省においては、地震による山地災害を防止し、これによる被害を最小限にとどめるため、地震等による山地災害の発生の危険性が高い地区における治山施設の整備等を重点的に実施した。

(後掲 第3章3-2(3)4-2(1)5-2(2)6-2(3)第4章2

(平成30年度決算額 78,201百万円の内数 ※この他に農山漁村地域整備交付金の内数)

(14)漁港漁村の防災対策施設の整備

(再掲 第3章1-2(17)

(平成30年度決算額 93,568百万円の内数 ※この他に農山漁村地域整備交付金の内数)

(15)海岸保全施設の整備

農林水産省及び国土交通省においては、地震対策として、大規模地震の発生が危惧される地域等における海岸保全施設の整備を推進した。(後掲 第3章3-2(5)4-2(2)第4章5

(平成30年度決算額 28,475百万円の内数 ※この他に農山漁村地域整備交付金、社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金の内数)

(16)農業水利施設の耐震化等

農林水産省においては、地震対策として、大規模地震の発生が危惧される地域等における農業水利施設の耐震化等を推進した。

(平成30年度決算額 242,934百万円の内数 ※この他に農山漁村地域整備交付金の内数)

(17)官庁施設の耐震化等の推進

国土交通省においては、所要の耐震性能を満たしていない官庁施設について、人命の安全の確保及び防災機能の強化と災害に強い地域づくりを支援するため、耐震化を推進した。

あわせて、大規模空間を有する官庁施設の天井耐震対策、災害応急対策活動に必要となる官庁施設の電力の確保等を推進した。

(平成30年度決算額 21,591百万円の内数)

(18)建設機械の整備

国土交通省においては、災害時の緊急輸送道路確保等に必要な機械を整備した。

(19)地震災害に強いまちづくりの推進

国土交通省においては、地震災害に対する都市の防災性向上のための根幹的な公共施設等の整備として、次の事業を実施した。

  • 避難地、避難路、帰宅支援場所及び防災活動拠点となる都市公園の整備

    (平成30年度決算額 28,031百万円の内数 ※この他に防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

  • 密集市街地等において避難路として活用される道路等における街路事業の実施

    (平成30年度決算額 1,795,999百万円の内数 ※この他に防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

  • 避難地・避難路の整備を都市の防災構造化と併せて行う土地区画整理事業の実施

    (平成30年度決算額 防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

  • 避難地として活用される都市公園予定地等の取得を行う地方公共団体に対する都市開発資金の貸付

    (平成30年度決算額 1,060百万円の内数)

また、地震災害に強い都市構造の推進として、次の事業を実施した。

  • 密集市街地をはじめとする防災上危険な市街地における都市防災総合推進事業の実施

    (平成30年度決算額 防災・安全交付金の内数)

  • 三大都市圏の密集市街地の改善整備及び避難路として活用される道路の整備等による防災性の向上に資する都市再生区画整理事業の実施

    (平成30年度決算額 防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

  • 防災上危険な密集市街地等における市街地再開発事業等の実施

    (平成30年度決算額 7,402百万円の内数 ※この他に防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

  • 都市再生整備計画事業を活用した耐震性貯水槽、備蓄倉庫、避難空間等の施設整備支援

    (平成30年度決算額 社会資本整備総合交付金の内数)

  • 都市機能が集積する地域における災害時の滞在者等の安全を確保する都市安全確保促進事業の実施

    (平成30年度決算額 99百万円の内数)

  • 地下街の防災対策のための計画の策定や、同計画に基づく避難通路や地下街設備の改修等を支援する地下街防災推進事業の実施

    (平成30年度決算額 760百万円の内数)

  • 密集市街地等における延焼防止の促進のため、密集市街地等における空き地等の延焼防止効果を向上するための緑化を支援

    (平成30年度決算額 防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

  • 都市機能が集積した拠点地区において、災害時にエネルギーの安定供給が確保される業務継続地区の構築を支援

    (平成30年度決算額 11,632百万円の内数 ※この他に52百万円の内数)

(20)下水道における震災対策

国土交通省においては、平成21年度に創設した「下水道総合地震対策事業」、平成29年9月に改訂した「下水道BCP策定マニュアル(地震・津波編)第2版」等を活用し、地震時においても下水道が最低限有すべき機能を確保するために耐震化・耐津波化を図る「防災」、被災を想定して下水道機能の被害の最小化を図る「減災」を組み合わせた総合的な地震対策を推進した。また、耐震化等の機能向上や長寿命化対策を含めた計画的な改築を推進した。

(平成30年度決算額 防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

(21)河川の耐震・液状化対策

国土交通省においては、地震による液状化等により、多くの堤防が被災したことを踏まえ、堤防・水門等の耐震・液状化対策を推進し、被害の防止・軽減を図った。

(22)土砂災害に対する整備

国土交通省においては、地震により崩壊する危険性が高く、防災拠点、重要交通網、避難路等への影響、孤立集落発生の要因等が想定される土砂災害警戒区域等について、土砂災害防止施設の整備を推進した。

(23)道路における震災対策

国土交通省においては、大規模災害への備えとして、代替性確保のためのミッシングリンクの整備を推進するとともに、ロッキング橋脚橋梁、緊急輸送道路上の橋梁、同道路をまたぐ跨道橋の耐震補強の推進や無電柱化等各種道路事業を実施した。また、バイク隊や自転車、カメラの活用に加え、UAV(無人航空機)による迅速な状況把握やETC2.0等の官民ビッグデータなども活用した「通れるマップ」により関係機関に情報共有・提供を実施した。さらに、重要インフラの緊急点検結果等を踏まえ、特に緊急に実施すべきハード・ソフト対策を「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」として実施した。

(平成30年度決算額 1,795,999百万円の内数 ※この他に社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金の内数)

(24)不良住宅の除却の推進

国土交通省においては、不良住宅が密集すること等によって保安、衛生等に関し危険又は有害な状況にある地区において、地方公共団体が不良住宅を除却し、従前居住者向けの住宅を建設するとともに、生活道路等を整備する住宅地区改良事業等について補助を行った。

(平成30年度決算額 防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

(25)住宅市街地の防災性の向上

国土交通省においては、既成市街地において、都市機能の更新、密集市街地の整備改善等の政策課題に、より機動的に対応するため、住宅や生活支援施設等の整備、公共施設整備等を総合的に行う事業について補助を行った。

(平成30年度決算額 105,886百万円の内数 ※この他に防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

(26)老朽公営住宅の建替等の推進

国土交通省においては、地方公共団体が行う耐震性の低い既存の公営住宅団地の建替事業及び耐震改修事業に要する費用の一部に対して防災・安全交付金等を交付した。

(平成30年度決算額 防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

(27)大規模地震・津波に対する港湾の防災・減災対策の推進

国土交通省においては、首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模災害に対し、機能不全に陥らない経済社会システムを確保するため、港湾施設の耐震・耐津波性の向上を図った。(後掲 第3章3-2(7)

(平成30年度決算額 292,124百万円の内数 ※この他に社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金の内数)

(28)総合的な宅地防災対策の推進

国土交通省においては、大地震等による盛土造成地の滑動崩落や液状化の宅地被害を防止・軽減するため、基礎マップの作成を行い宅地の安全性の「見える化」を図るとともに、宅地耐震化推進事業により防止対策に向けた詳細調査や対策工事の実施を推進した。

(平成30年度決算額 防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

(29)情報通信基盤の整備

国土交通省においては、災害時に迅速かつ的確に災害情報等を収集し、関係機関に伝達するとともに、河川利用者等への情報提供に資する情報通信基盤の整備を推進した。

さらに、東日本大震災等を踏まえた、情報通信設備の耐震対策、津波対策、停電対策等を推進した。

(30)民有港湾施設の耐震改修の促進

国土交通省においては、大規模地震発生後も耐震強化岸壁や石油製品入出荷施設に至る航路機能を維持し、緊急物資や燃油物資を輸送・供給するため、航路沿いの民有護岸等の耐震改修に対する無利子貸付制度及び税制特例措置により、民間事業者による耐震改修の促進を図った。

(31)鉄道施設の地震防災対策

国土交通省においては、鉄道事業者に対して鉄道施設の地震防災対策を推進するよう指導を行った。また、南海トラフ地震、首都直下地震等に備えて、主要駅や高架橋等の鉄道施設の耐震対策を一層推進した。

(平成30年度決算額
     鉄道施設総合安全対策 事業費補助 6,149百万円の内数
     都市鉄道整備事業費補助(地下高速鉄道) 5,726百万円の内数)

(32)住宅・建築物等の耐震診断・耐震改修の促進

国土交通省においては、地震の際の住宅・建築物やブロック塀等の倒壊等による被害の軽減を図るため、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」の的確な運用に努めるとともに、住宅・建築物等の耐震性の向上に資する事業について補助を行った。

(平成30年度決算額 105,886百万円の内数 ※この他に防災・安全交付金及び社会資本整備総合交付金の内数)

(33)空港の耐震化

国土交通省においては、地震災害時の空港機能の確保を図るため、航空輸送上重要な空港等の耐震化を実施した。

(平成30年度決算額 14,253百万円)

(34)一般廃棄物処理施設の防災対策

環境省においては、今後想定される首都直下型地震、南海トラフ巨大地震における災害廃棄物の量が、東日本大震災を遙かに上回ると予想されることから、災害時において迅速な復旧・復興を可能とするため、市町村が行う一般廃棄物処理施設の防災機能の向上のための整備事業に対して循環型社会形成推進交付金等を交付した。

(平成30年度決算額 70,944百万円)


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.