令和2年版 防災白書|第1部 第2章 第3節 3-4 国際的な連携強化


3-4 国際的な連携強化

オフサイトの原子力防災に関しては、国際原子力機関(IAEA)等の国際機関や諸外国においても様々な取組が行われており、我が国の原子力防災の水準の向上のためにも、その先進的な知見を取り入れて行くことが必要である。

このため、各国の原子力防災を担当する部局と連携体制を強化して定期的な意見交換を行うとともに、訓練に相互招待する等により、原子力防災に関する国際的な知見・経験の共有等を推進することや、オフサイトの原子力防災に関するIAEAの基準等や主要な原子力発電利用国の制度・運用の調査等を行った。

(1)原子力防災体制に係る二国間協力

<1>アメリカ合衆国(米国)との協力

平成24年に設置された「民生用原子力協力に関する日米二国間委員会」の下に設置された、「緊急事態管理ワーキンググループ(EMWG:Emergency Management Working Group)」の枠組みに基づき、米国エネルギー省(DOE:Department of Energy)や米国連邦緊急事態管理庁(FEMA:Federal Emergency Management Agency)、米国原子力規制委員会(NRC:Nuclear Regulatory Commission)等の米国の関係機関との定期的な意見交換や訓練の相互招待を通じて原子力防災体制に係る連携を深めている。第12回EMWGが令和元年9月に米国で開催され、協力の成果や向こう3年間の活動計画等を協議したほか、会議に先立って米国における原子力緊急時対応の研修・机上訓練に参加した。

<2>フランス共和国(仏国)との協力

平成27年に、内閣府大臣政務官と仏国内務省国民安全・危機管理総局長との間で締結した「原子力事故に係る緊急事態管理分野での協力に関する覚書」に基づき、仏国内務省等の仏国の関係機関との定期的な意見交換や、訓練の相互招待を通じて原子力防災体制の連携を深めている。具体的には、令和元年10月に内閣府にて「原子力事故発生時の緊急事態・管理分野における協力委員会」を開催し、両国の取組の紹介や今後の協力分野を討議するとともに茨城県のオフサイトセンターやJAEA等への視察を行った。

<3>その他の国際協力

上記以外にも、随時情報交換、意見交換を行っており、令和元年度はシンガポール及びベトナムからの来訪者に対して意見交換、視察案内を行った。

例年の原子力総合防災訓練においては、前述の米仏を始め、諸外国や国際機関を対象として訓練の視察を受け入れている。令和元年11月の中国電力株式会社島根原子力発電所(以下、「島根原子力発電所」という。)を対象とした原子力総合防災訓練では、国際機関や諸外国の原子力防災関係機関から21名の視察者を受け入れた。本視察では、事前説明会や意見交換会を含み3日間にわたり現地に滞在し、原子力災害拠点病院や、住民避難の様子、原子力緊急事態宣言を行う様子等を視察した。また、訓練終了後には、内閣府にてワークショップを開催し、原子力総合防災訓練や緊急時における体制等について海外の原子力防災訓練視察者との意見交換を行った。

原子力総合防災訓練の視察の様子
原子力総合防災訓練の視察の様子
(2)国際基準の調査等

国際原子力機関(IAEA)や経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)との協力・情報交換も積極的に行っている。IAEAについては、オフサイトの原子力防災に関する基準作成への協力や情報収集のため、定例の「原子力防災に係る基準委員会(EPReSC:Emergency Preparedness and Response Standards Committee)」に出席(第8回会合:令和元年6月25日-27日、第9回会合:令和元年12月3日-5日)するとともに、各種の情報交換や人材育成活動に協力している。OECD/NEAが開催する「原子力緊急事態作業部会(WPNEM:Working Party on Nuclear Emergency Matters)」等の原子力防災に関係する会議においては、主要な原子力発電利用国の防災に関する制度・運用等について情報交換している。


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.