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令和2年版 防災白書|特集 第1章 第1節 1-4 ボランティア・NPO等による対応


1-4 ボランティア・NPO等による対応

(1)令和元年に発生した主な災害におけるボランティアの対応

近年、発災後の政府等による対応とともに、NPOなどの様々な団体や個人のボランティアが被災地に駆けつけ、行政では手が届かない、地域の実情に応じたきめ細やかな被災者支援活動等が展開されている。被災地・被災者のニーズも多様であるなか、NPO・ボランティア等の活動への期待は高まっている。令和元年8月の前線に伴う大雨、同年9月の令和元年房総半島台風、同年10月の令和元年東日本台風による災害時において、被災各地では、社会福祉協議会による災害ボランティアセンター(災害VC)が立ち上げられ、災害VCを通じ、多くのボランティアによる活動が展開された。

令和元年8月の前線に伴う大雨では、佐賀県内における災害VCを通じ、累計約1万1千人(令和元年11月7日現在)の災害ボランティアが活動を行った。佐賀県伊万里市の鉄工所で大量の油が流出し、油被害が深刻な地域にNPO団体がサテライトセンターを開設して、ボランティアの受付を行った。

令和元年房総半島台風では、千葉県内における災害VC等を通じ、災害ボランティアの受け入れが行われ、累計約2万3千人(令和元年10月30日現在)が対応に当たった。被災地では、強風による屋根の破損が多く発生し、ブルーシート設置による応急対応が求められたなか、設置できる事業者が不足したため、ブルーシート設置技術のあるNPO等により、地域の実情に応じた被災者支援活動等が展開された。

令和元年東日本台風では、東日本の14都県110市区町村における災害VC等を通じ、災害ボランティアの受け入れが行われ、累計約19万7千人(令和2年1月26日現在)が対応に当たった。発災当初は、主に家屋内からの泥だしや家具の片づけ等の作業にあたり、復旧・復興期には、生活支援コーディネーターによる地域支え合い活動等(高齢者・障害者等の見守り、サロン交流会の開催、子どもの遊び場開設など)が実施されるなど、地域の実情に応じた被災者支援活動等が展開された。令和2年4月1日現在、宮城県丸森町、栃木県佐野市、栃木市、埼玉県東松山の3県4市町では災害ボランティアセンターが引き続き活動されている。

また、災害VCを通じた支援のみならず、専門性を有するNPO等により、土砂・がれきの撤去など被災家屋への技術的な支援や、被災地における災害廃棄物への対応(特集第1章[コラム]参照)、避難所の運営支援、在宅避難者支援、仮設住宅への支援、生業支援など、幅広い分野で支援活動が行われた。

災害ボランティア、情報共有会議の活動状況
災害ボランティア、情報共有会議の活動状況
ボランティア活動数の推移
ボランティア活動数の推移
令和元年東日本台風時におけるボランティア活動の様子(被災地で活動する様子)
令和元年東日本台風時におけるボランティア活動の様子(被災地で活動する様子)
(2)行政・NPO・ボランティア等の連携の進展

平成28年の熊本地震以後、地元中間支援団体や全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)のサポートにより、被災地で行政・NPO・ボランティア等が情報を共有する会議が立ち上げられ、支援者間で支援活動に関する情報が共有されることが定着化する傾向にある。令和元年に生じた災害においても、このような取組により、抜け・漏れのない円滑な支援が図られたとともに、ボランティアの過不足、在宅避難者支援、避難所支援等についての情報共有、活動の調整等が行われた。

令和元年8月の前線に伴う大雨では、佐賀県内のNPO団体「佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)」が定例的に情報共有会議を開催し、地域による支援の過不足の解消を行った。

令和元年房総半島台風では、千葉県では、強風のため多くの建物で屋根等が被災し、ブルーシート等を屋根に展張するなどの雨漏れ対策を行った。平成28年熊本地震で同様の作業を行った経験のあるNPO等が、作業経験の無い地元の消防署員等に劣化しにくい施工方法などを講習し、連携した被災者支援を行った。

令和元年東日本台風では、令和元年10月14日以降、地方公共団体、社会福祉協議会、NPO等による情報共有会議が定期的に各被災地(宮城県、福島県、茨城県、栃木県、埼玉県、東京都、長野県、静岡県)で開催され、行政・ボランティア・NPOによる連携のとれた支援の実施が図られた。

行政・災害ボランティアセンター・NPO等による三者連携
行政・災害ボランティアセンター・NPO等による三者連携
被災各県における情報共有会議
被災各県における情報共有会議
情報共有会議の様子(東京都の様子)
情報共有会議の様子(東京都の様子)
情報共有会議の様子(千葉県の様子)
情報共有会議の様子(千葉県の様子)

特に令和元年東日本台風においては、被災都県が広範囲にわたったことから、全国域での取組として、「全国情報共有会議」(事務局:内閣府、JVOAD、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議)が10月29日、12月3日に開催され、NPO・ボランティア等の役割分担など地方公共団体共通の課題や、全国に発信したいメッセージなどについて、議論された。また、被災家屋の公費解体や、災害廃棄物撤去への支援も議論がなされ、環境省や厚労省などの関係省庁も出席した。このようななか、令和元年11月8日、被災地ではボランティアの力を必要としていることや、ボランティア実施における安全対策など、令和元年東日本台風での対応を踏まえたメッセージが発信された。

全国情報共有会議における平副大臣挨拶
全国情報共有会議における平副大臣挨拶
全国情報共有会議の様子
全国情報共有会議の様子
リーフレット(11月8日発出)
リーフレット(11月8日発出)
[コラム]
災害廃棄物撤去における関係者連携(「One NAGANO(ワンナガノ)」でのNPO団体等による取組)

被災地における災害廃棄物の堆積により、住民生活に支障が生じるとともに、迅速な復旧・復興にも影響するなど、災害廃棄物への対応は被災各地で共通の課題となっている。

令和元年東日本台風において、千曲川が破堤した長野市においては、多くの災害廃棄物や泥が住家、農地、道、広場等地域のあらゆるところに流れ込み、復旧活動の支障となった。そこで、一刻も早く被災地域の日常生活を取り戻すため、市民、ボランティア、国・県・市の行政、自衛隊の力を結集し、大量に発生した災害廃棄物・泥を被災地区から撤去するOne NAGANO(ワンナガノ)というオペレーションが実施された。

内閣府が令和元年度より本格運用を開始したISUT(アイサット、災害時情報集約支援チーム)が、ボランティアより各地区の災害廃棄物の集積状況等についての情報提供を受け、その情報を地図上に可視化した。この地図をもとに、関係主体が毎日のように協議を行い、昼間は市民・ボランティアが点在する廃棄物や土砂を集積地まで移動させ、夜間は自衛隊や行政が集積地から地区外の集積場へ廃棄物や土砂を搬出する活動が日々行われた。地区内は道路幅が狭いため、運搬トラックの渋滞等を防止するよう、警察官による交通整理が行われるなどの対応もなされ、あらゆる主体が連携してOne NAGANOのオペレーションを支えた。

長野県では平時から三者連携の取組を進めてきた。平成29年3月に修正された長野県地域防災計画には、「県(危機管理部・健康福祉部)及び市町村は、国内の主要な災害ボランティア関係団体やボランティア関係団体、中間支援組織と連携し、ボランティア・グループ相互間の連携を深めるため連絡会議等の設置を推進するとともに、災害時を想定した訓練や研修の実施に努めるものとする」と規定され、「広域受援計画」における「ボランティア・NPO等の活動調整」でも「活動の時系列」などが規定されている。

こうした計画をも踏まえ、4年前から訓練や研修が実施され、また長野県災害時支援ネットワークが立ち上がり、日頃から顔の見える情報共有ができていたことが本災害時のオペレーション「One NAGANO」につながった。

長野県の災害対策本部においても、災害ボランティア担当班が置かれ、その班に県社会福祉協議会やNPO団体が参加することにより、発災当日からチームを組んで活動できたことも本オペレーションの実施に際して効果的であった。

このようなOne NAGANOにおける取組事例等をも踏まえ、政府では、災害廃棄物撤去等に係る防衛省・自衛隊と環境省との連携策について、平時の取組などを整理するとともに、関係者に周知を行うことにより、災害廃棄物処理の推進を図ることとしている。

One NAGANO(ワンナガノ)
One NAGANO(ワンナガノ)

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内閣府政策統括官(防災担当)

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