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令和元年版 防災白書|第2部 第5章 4 4-8 平成28年(2016年)熊本地震に関する復興対策


4-8 平成28年(2016年)熊本地震に関する復興対策

(1)日本司法支援センター(法テラス)における復興対策

法務省においては、改正総合法律支援法(平成28年法律第53号)により新設された大規模災害の被災者に対し災害発生から1年を超えない範囲内で無料法律相談援助を実施する制度を熊本地震に適用し、日本司法支援センター(法テラス)にて、平成29年4月13日(熊本地震発生から1年を超えない範囲内で最長の日)まで、同制度による被災者支援を実施した。そのほか、日本司法支援センターにて、以下の施策を実施した。

  • 避難所や公共施設等における巡回相談の実施
  • 「震災 法テラスダイヤル(フリーダイヤル 0120-078309(おなやみレスキュー))」において、震災に起因する法的トラブルの解決や生活再建に役立つ法制度等についての情報提供の実施

(平成29年度決算額 日本司法支援センター運営費交付金14,807百万円の内数)

(2)農林水産省の対策

農林水産省においては、被災された農林漁業者が、速やかに経営再開に取り組めるように、以下の支援対策を実施した。

<1>災害復旧事業の促進

  • 被災した農地・農業用施設、共同利用施設、森林関係及び漁港施設等の農林漁業関係施設の復旧事業を実施した。

(平成29年度決算額 140,980百万円の内数)

<2>共済金等の早期支払い

  • 農業共済、漁業共済・漁船保険について、被害の早期の損害評価と共済金及び保険金の早期支払いを関係団体に要請した。

<3>災害関連資金の特例措置

i 被災農林漁業者の運転資金の調達を支援するため、以下の措置を講じた。

  • 農林漁業セーフティネット資金の貸付限度額を「600万円又は年間経営費の12分の3」から「1,200万円又は年間経営費の12分の12」に引上げ
  • 農林漁業セーフティネット資金等の災害関連資金の貸付利子を貸付当初5年間実質無利子化
  • 農林漁業セーフティネット資金、近代化資金等の災害関連資金を実質無担保・無保証人での貸付け

ii 被災した農林漁業用施設等を復旧するための施設資金の調達を支援するため、以下の措置を講じた。

  • スーパーL資金、農林漁業施設資金、近代化資金等の災害関連資金の貸付利子を貸付当初5年間実質無利子化
  • スーパーL資金、農林漁業施設資金、近代化資金等の災害関連資金を実質無担保・無保証人での貸付け
  • 農林漁業施設資金の貸付限度額を「負担額の80%又は1施設300万円(特認600万円)」から「負担額の100%又は1施設1,200万円」に引上げ
  • 農業近代化資金の借入れについて、農業信用基金協会の債務保証に係る保証料を保証当初5年間免除

iii このほか、被災農林漁業者が意欲を持って経営を再開できるよう、以下の要請を行った。

  • 新規融資に際しては、償還期限・据置期間を極力長く設定するよう、関係金融機関に要請
  • 既往融資に関して、償還猶予などの措置を適切に講じるよう、関係金融機関に要請
  • 融資のほか、アグリビジネス投資育成株式会社等による出資機能を活用し、被災農業法人への支援を実施。出資条件等については極力柔軟に対応するよう要請

被災農業者特別利子助成事業

(平成29年度決算額 15百万円の内数)

農業信用保証保険基盤強化事業

(平成29年度決算額 5百万円の内数)

漁業経営基盤強化金融支援事業

(平成29年度決算額 78百万円の内数)

漁業者保証円滑化対策事業

(平成29年度決算額 197百万円の内数)

<4>畜舎・農業用ハウス、共同利用施設等の再建・修繕への支援

i 被災農業者向け経営体育成支援事業を発動し、畜舎・農業用ハウス、農業用機械・加工用機械等の再建・修繕に要する経費及び再建の前提となる倒壊した畜舎等の撤去に要する経費を助成した。また、この地震により地域の基幹産業である農業が甚大な被害を受けているとともに、農業者の生活基盤も甚大な被害を受けていることに鑑み、産地の営農再開及び食料の安定供給に万全を期し、地方公共団体の復旧支援を後押しするために、今回の地震に限った特例的な措置を以下のとおり講じた。

  • 再建・修繕に係る補助率を10分の3から2分の1に引上げ(ただし、園芸施設共済の対象となる施設については、共済加入の場合は共済金の国費相当額を合わせて2分の1、共済未加入の場合は10分の4とする)
  • 撤去については、地方公共団体が費用負担することを前提に定額助成
  • 再建・修繕の場合に、併せて自己負担で強度の向上、規模拡大等を行うことや、被災地での再建が困難な場合における施設の設置箇所の移動は可能
  • 撤去については、市町村が実施する環境省の災害廃棄物処理事業の対象となり得るが、農業者が速やかに撤去し経営を再建しようとする場合には、本事業の利用が可能

ii 被災した共同利用施設(集出荷施設、乾燥調製貯蔵施設、乳業工場等)や卸売市場等の再建・修繕や、再建の前提となる損壊した施設の撤去等に要する経費を助成した。

被災農業者向け経営体育成支援事業

(平成29年度決算額 1,126百万円)

強い農業づくり交付金(平成28年熊本地震被災施設整備等対策)

(平成29年度決算額 3,030百万円)

<5>営農再開に向けた支援

i 米が作付けできずに、大豆等に作付転換した場合には、水田活用の直接支払交付金等の対象になることや、食用大豆からの転用により種子大豆を確保することを周知した。

ii 被災した集出荷施設等における簡易な補修、手作業による選果、他の集出荷施設等への農産物の輸送に要する経費を助成した。

iii 被災した畜産農家の資金繰りを支援するため、以下を措置した。

  • 肉用牛肥育経営安定特別対策事業(牛マルキン)、養豚経営安定対策事業(豚マルキン)における生産者積立金の納付免除等
  • 鶏卵生産者経営安定対策事業における生産者負担金の減額

iv 被災した畜産農家の経営継続を支援するため、以下を措置した。

  • 簡易畜舎の整備、畜舎や機械等の簡易な修理、乳房炎治療等に要する経費を助成
  • 被災家畜の避難・預託、死亡・廃用家畜に係る家畜導入を支援
  • 酪農ヘルパーの被災農家への出役を支援

産地活性化総合対策事業(平成28年熊本地震対応産地緊急支援事業)

(平成29年度決算額 10百万円)

酪農経営支援総合対策事業

(平成29年度決算額 29百万円)

肉用牛経営安定対策補完事業

(平成29年度決算額 2百万円)

養豚経営安定対策補完事業

(平成29年度決算額 3百万円)

<6>被災農業法人等の雇用の維持のための支援

i 被災農業者等の施設等の復旧までの間、他の農業法人等が被災農業者等を一時的に雇用して研修する場合に必要な経費を助成した。

ii 被災農業法人等が、施設等の復旧までの間、従業員を他の農業法人等に研修目的で派遣する場合に必要な経費を助成した。

被災農業者向け農の雇用事業及び農の雇用事業(次世代経営者育成派遣研修タイプ)

(平成29年度決算額 5,152百万円)

<7>農地・農業用施設の早期復旧等の支援

i 損壊等の被害を受けた農地周りの小規模な水路等の地域共同による復旧活動を支援した。

ii 震災の影響を受けた地域において、農地等の復旧と一体的な大区画化など、耕作条件の改善を図る取組に対して支援した。

<8>林野関係被害に対する支援

i 地震で被災した山地の復旧整備や、被災した森林の被害木の処理等を実施した。

ii 被災した製材、プレカット工場など木材加工流通施設等の再建・修繕や再建の前提となる損壊した施設の撤去に要する経費を平成28年度に助成し、平成29年11月に復旧した。

治山事業・森林整備事業(公共)

(平成29年度決算額 95,448百万円の内数)

<9>水産関係被害に対する支援

被災した水産物の荷さばき施設等の共同利用施設の再建に要する経費を助成した。

強い水産業づくり交付金(熊本地震緊急対策事業)

(平成29年度決算額 261百万円)

(3)経済産業省の対策
  • 中小企業組合等共同施設等災害復旧事業

    経済産業省においては、熊本地震により広範囲かつ甚大な被害を受けた地域(熊本県、大分県)を対象に、中小企業等グループが作成した復興事業計画に基づく施設の整備等を行う費用の補助を行った。

    (平成29年度決算額 31,848百万円)

(4)国土交通省の対策

国土交通省においては、次の措置を講じた。

  • 道路事業

    大規模な斜面崩壊が発生した阿蘇大橋地区において国道57号を北側復旧ルートで復旧を推進するとともに、道路法及び大規模災害復興法による直轄権限代行で、国道325号阿蘇大橋、県道熊本高森線、村道栃の木~立野線の復旧工事を実施した。村道栃の木~立野線においては、平成29年8月に応急復旧により通行を確保した。

    (平成29年度決算額 91,748百万円の内数)

  • 土砂災害対策の推進

    大規模な斜面崩壊が発生した阿蘇大橋地区等において、土砂災害対策を集中的に行った。

  • 宅地耐震化の推進

    宅地災害が多数発生したため、被災宅地の再度災害を防止するための宅地の耐震化を支援した。

(5)国立公園施設の復旧

環境省においては、熊本地震において被災した阿蘇くじゅう国立公園の直轄施設の早期復旧や、地方公共団体が行う国立公園の施設の復旧に対する補助金の交付を行い、観光振興による復興を図った。

(6)ペットを同行して避難した被災者への対策

環境省においては、熊本地震での経験を踏まえて、2018年3月に「人とペットの災害対策ガイドライン」を策定し、災害時のペットの同行避難や避難所等におけるペットの受入れを推奨した。


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