令和元年版 防災白書|第1部 第2章 第3節 3-4 国際的な連携強化


3-4 国際的な連携強化

敷地外(オフサイト)の原子力防災に関しては、国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)等の国際機関や諸外国においても様々な取組が行われており、我が国の原子力防災の水準の向上のためにも、その先進的な知見を取り入れて行くことが必要である。

このため、各国の原子力防災を担当する部局と連携体制を強化して定期的な意見交換を行うとともに、訓練に相互招待する等により、原子力防災に関する国際的な知見・経験の共有等を推進し、オフサイトの原子力防災に関するIAEAの基準等や主要な原子力発電利用国の制度・運用の調査等を行った。

(1)原子力防災体制に係る協力

<1>アメリカ合衆国(米国)との協力

平成24年(2012年)に設置された「民生用原子力協力に関する日米二国間委員会」の下に設置された、「緊急事態管理ワーキンググループ(EMWG:Emergency Management Working Group)」の枠組みに基づき、米国エネルギー省(DOE:Department of Energy)や米国連邦緊急事態管理庁(FEMA:Federal Emergency Management Agency)、米国原子力規制委員会(NRC:Nuclear Regulatory Commission)等の米国の関係機関との定期的な意見交換や訓練の相互招待を通じて原子力防災体制に係る連携を深めている。

具体的には、平成30年(2018年)4月に米国ワシントン州で開催された「国家の放射線緊急事態への備えに関する会議(National Radiological Emergency Preparedness Conference)」に参加し、日本の原子力総合防災訓練の紹介及びパネルディスカッションを行った。また、同年8月には「第5回民生用原子力協力に関する日米二国間委員会」において、これまでのEMWGの取組の紹介及び今後のロードマップを報告した。さらに、同月、関西電力大飯発電所及び高浜発電所を対象とし、原子力災害の対応体制を検証することを目的として行った原子力総合防災訓練に米国関係者を招待し、訓練視察及び意見交換を行った。

<2>フランス共和国(仏国)との協力

平成27年(2015年)に、内閣府大臣政務官と仏国内務省国民安全・危機管理総局長との間で締結した「原子力事故に係る緊急事態管理分野での協力に関する覚書」に基づき、仏国内務省等の仏国の関係機関との定期的な意見交換や、訓練の相互招待を通じて原子力防災体制の連携を深めている。具体的には、平成30年(2018年)5月に伊藤内閣府副大臣(当時)が仏国内務省を訪問し、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた、両国の緊急時対応計画の充実化の取組み等について意見交換を行った。

<3>その他国際協力

その他IAEAや経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)の国際機関や、ドイツ連邦共和国、中国、リトアニア共和国等についても、意見交換や訓練視察の相互招待を行ってきた。

具体的には、平成30年(2018年)5月に伊藤内閣府副大臣(当時)がIAEA及びOECD/NEAを訪問し、我が国の原子力防災体制の充実・強化について意見交換を行った。

IAEAでの意見交換の様子
IAEAでの意見交換の様子

また、同年8月の大飯発電所及び高浜発電所を対象とした原子力総合防災訓練では、国際機関や諸外国の原子力防災関係機関から18名の視察者を受け入れた。本視察団は、事前説明会や意見交換会を含み3日間にわたり現地に滞在し、住民避難の様子や原子力緊急事態宣言を行う様子を視察した。

(2)国際基準の調査等

内閣府は、オフサイトの原子力防災に関するIAEAの基準等や主要な原子力発電利用国の制度・運用の調査等を実施するため、平成27年(2015年)12月に新設され、定期的に開催されるIAEAの原子力防災に係る基準委員会(EPReSC:Emergency Preparedness and Response Standards Committee)に出席(第6回会合:平成30年6月12日から14日、第7回会合:同年10月30日から11月1日)し、IAEA及びその加盟国の有識者との議論に参加した。


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