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令和元年版 防災白書|第1部 第1章 第2節 2-2 災害救助法の改正による救助実施市制度の創設


2-2 災害救助法の改正による救助実施市制度の創設

災害救助法は、一定規模の災害に際して、避難所の設置や応急仮設住宅の供与等の災害救助法に規定する救助を、市町村長(特別区の区長を含む。)に代わり都道府県知事が行うこととし、その救助に要した費用の一部を国が負担することを規定している。

このような災害救助の実施体制については、平成28年4月に発生した熊本地震における被害を教訓とし、全国における地震災害への対応力向上方策を検討するために設置された「熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策検討ワーキンググループ」の報告において、「より迅速、的確な救助の実施、災害救助の事務を円滑に行うという観点から、現行法による救助の実施体制や広域調整の在り方についても検討すべき」と指摘された(参照:https://www.bousai.go.jp/updates/h280414jishin/h28kumamoto/okyuseikatu_wg.html)。

内閣府では、今後の大規模災害に備え、救助事務の円滑な実施という観点から、救助の実施体制や広域調整の在り方等について検討するため、同年12月より「災害救助に関する実務検討会」を開催し、議論を重ねた結果、平成29年12月にとりまとめられた同検討会の最終報告において、「大規模・広域的災害に備えて迅速かつ円滑な事務実施のため、現行の委任方式に加えて、包括道府県と連携体制が取れる指定都市を新しい救助主体とする」とともに、「都道府県からの様々な懸念に対応するため、都道府県の広域調整権が適切に機能するように、法律で明記する」こととし、今後「指定基準を具体化する中で適切な措置を講じることが適切である」ことを示した(参照:https://www.bousai.go.jp/kaigirep/saigaikyujo/index.html)。

更に検討を深めるため、平成30年2月から宮城県、愛知県及び兵庫県等の関係者から構成される「大規模・広域災害時の災害救助事務の連携強化に関する協議の場」を開催し、都道府県の広域調整による物資の円滑な調達・配分の仕組みや物資供給関係業界との連携方策等について整理した(参照:https://www.bousai.go.jp/kaigirep/kyuujorenkei/index.html)。

これらの検討を踏まえ、いつ起こるかわからない災害に備えるため、内閣総理大臣の指定する救助実施市の長による救助の実施に係る制度を創設することにより、災害救助の円滑かつ迅速な実施を図ることを目的に、同年「災害救助法」を改正した(平成31年4月1日施行)。(図表2-2-1)

図表2-2-1 災害救助法の一部を改正する法律(平成31年4月1日施行)
図表2-2-1 災害救助法の一部を改正する法律(平成31年4月1日施行)

今回の改正により、内閣府令で定める救助実施市の指定基準を満たし、内閣総理大臣が救助実施市として指定する市は、その区域内において災害により被害を受け、現に救助を必要とする者に対する救助を行うこととなった。また、都道府県知事は、救助実施市の区域及び当該救助実施市以外の市町村の区域にわたり発生した災害に際し、救助において必要となる物資の供給又は役務の提供が適正かつ円滑に行われるよう、救助実施市の長及び物資の生産等を業とする者やその他の関係者との連絡調整を行うこととなった。

また、救助実施市が救助のために支弁した費用等の合計額が100万円以上となる場合には、国庫がその一部を負担することとなった。加えて、救助実施市は、救助に要する費用等の支弁の財源に充てるため、災害救助基金を積み立てておかなければならないこととなり、災害救助基金の最少額は当該救助実施市を包括する都道府県の地方税法に定める普通税の収入額の決算額を基に算定した額とするとともに、災害救助基金がその最少額に達していない場合は、政令で定める金額を積み立てなければならないこととなった。

内閣府では平成30年8月に、救助実施市制度の施行に向けて、救助実施市の指定基準とともに、都道府県の広域調整による物資の円滑な調達・配分の仕組みや、関係団体との連携方策について、都道府県、指定都市、日本赤十字社及び関係団体関係者による検討の場として「救助実施市指定基準検討会議」を設け、検討を進めたところ、指定基準等について概ね共通認識が得られたため、同年10月に「救助実施市指定基準検討会議(報告)」をとりまとめた(参照:https://www.bousai.go.jp/kaigirep/shishiteikijun/index.html)。

本報告に基づき、平成30年12月28日に「災害救助法に基づく救助実施市に関する内閣府令」が公布され、救助実施市の指定基準等について定めた。

内閣府令で定める救助実施市の指定基準は、指定都市のうち、

・救助実施市となることを希望する市(指定都市)と都道府県の間で連携体制がとれていること

・救助実施市として必要な組織の体制が整備されていること

・救助実施市として必要な財政基盤があること

・関係する行政機関及び団体等との調整がなされていること

の4要件を満たすこととされた。このうち、「救助実施市となることを希望する市(指定都市)と都道府県の間で連携体制がとれていること」の具体的内容は、

・救助実施市を申請しようとする指定都市と包括都道府県による連絡調整窓口の明確化

・救助実施市における特別基準が包括都道府県と共有できる連絡体制の構築

・包括都道府県における資源配分計画の原案の検討 等である。

改正災害救助法が平成31年4月1日から施行されたことに伴い、仙台市、横浜市、川崎市、相模原市、神戸市、岡山市、北九州市、福岡市及び熊本市の9市が救助実施市の指定を受けた(平成31年4月1日時点)。


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