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令和元年版 防災白書|第1部 第1章 第1節 1-6 ボランティア活動の環境整備


1-6 ボランティア活動の環境整備

ボランティア元年と呼ばれる阪神・淡路大震災以降、発災時には、個人のボランティアや、NPO、その他様々な団体が被災地にかけつけ、国・地方公共団体では手が届きにくい、きめ細かな被災者支援を行ってきており、重要な役割を果たすようになった。内閣府においては、ボランティアによる被災者支援の活動が円滑に行えるような環境整備に努めており、その結果として平成28年(2016年)熊本地震、平成29年7月九州北部豪雨や平成30年7月豪雨等において、行政・ボランティア・NPO等の三者が連携し、被災者支援の活動を行うことが定着してきている。

平成30年7月豪雨では、岡山県、広島県、愛媛県などの被災各地で、三者が参加し、被災者支援の活動地域、内容等について情報共有や調整を行う「情報共有会議」が定期的に開催された。また、一つの府県では解決できない課題に対し、広域的に情報や課題を共有し、連携して効果的な解決策を見出すことを目的として、「全国情報共有会議」が開催された。同会議には、内閣府や被災者支援に係る機関が参加し、ボランティアへの参加呼びかけや、活動に必要な資機材の融通など、被災地の状況を踏まえた活発な議論が行われた。今後想定される大規模災害に備えるためには、各地域において三者の連携体制を平時から構築することが重要である。

防災ボランティアに関する近年の動き
防災ボランティアに関する近年の動き
(1)防災ボランティア活動の連携・協働の推進

内閣府では、平成27年度から28年度にかけて「広く防災に資するボランティア活動の促進に関する検討会」を開催し、ボランティア活動促進のための課題を整理し提言をとりまとめた。この提言を受け、平成29年度には「防災ボランティア活動の環境整備に関する検討会」を開催し、同検討会において、防災における行政とNPO・ボランティア等との連携・協働を促進するために、主に行政職員が平時・発災時に行うべき事項についてまとめた「防災における行政のNPO・ボランティア等との連携・協働ガイドブック」を平成30年4月に公表した。同ガイドブックでは、NPO・ボランティア等と行政が連携するための基本的な考え方や、連携を推進するための具体的な取組について平時と災害時に分け網羅的に説明している(参照:https://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/bousai_volunteer_kankyoseibi/index.html)。

行政とNPO・ボランティア等との連携・協働がさらに推進されるよう、平成30年度には、「防災ボランティア活動の連携・協働に関する検討会」を開催した。同検討会における議論を踏まえ、各都道府県におけるNPO・ボランティア等との連携・協働体制を構築するため、「災害時における行政・NPO・ボランティア等との連携・協働に向けた研修会」を6ヶ所で実施し、行政、社会福祉協議会、NPO等が毎回約100人規模で参加した。研修会を通じ、発災時に円滑な被災者支援ができるよう、行政、ボランティア、NPO等の三者が平時から顔の見える関係を構築することの重要性が確認された。多様な支援主体との連携体制構築を目的としたワークショップも実施し、研修会参加者の理解を深めた。

<研修会開催場所>

  • 岐阜県(平成30年11月30日):参加者103名(行政34名、社協27名、NPO等42名)
  • 宮崎県(平成30年12月17日):参加者114名(行政41名、社協31名、NPO等42名)
  • 山口県(平成30年12月21日):参加者68名(行政24名、社協17名、NPO等27名)
  • 大分県(平成31年2月4日):参加者126名(行政26名、社協30名、NPO等70名)
  • 千葉県(平成31年2月11日):参加者75名(行政20名、社協24名、NPO等31名)
  • 北海道(平成31年3月9日):参加者46名(行政17名、社協16名、NPO等13名)
「災害時における行政・NPO・ボランティア等との連携・協働に向けた研修会」の様子
「災害時における行政・NPO・ボランティア等との連携・協働に向けた研修会」の様子

また、各都道府県に対し、災害の発生に備え、平時から多様な主体を調整する会議体や集まり(連携体)の有無を調査した。調査の結果、「連携体がある」と回答した都道府県は60%であった一方で、31%が「なし」と回答した。今後のさらなる連携体の構築を推進するとともに、すでに連携体が存在する場合は、連携体の機能・役割の明確化、連携の拡大等が今後の課題である。

都道府県における連携体の有無について(平成30年4月1日現在)
都道府県における連携体の有無について(平成30年4月1日現在)
(2)行政とボランティアによる訓練等

災害時に行政とNPO・ボランティア等の連携・協働が円滑に行われるためには、訓練やワークショップを通じて、平時から交流や相互理解を図っておくことが必要である。内閣府では、訓練やワークショップを開催し、行政とNPO・ボランティア関係者が直接顔を合わせて連携・協働のための諸課題について相互理解を深める取組を行っている。

平成30年度は、平成31年3月に福岡県で訓練を実施した。福岡県は、朝倉市などが平成29年7月九州北部豪雨で被災しており、その際に、行政、ボランティア、NPO等の三者による被災者支援のための「情報共有会議」が立ち上げられている。今回の訓練では、豪雨災害を振り返るとともに、発災後速やかに同会議が立ち上げられるよう、当時の情報共有会議の参加者も交えた模擬的な同会議の実施訓練を行った。

訓練の参加者からは、「多くの課題が把握できたため、できることから取り組んでいきたい、事前に多くの関係団体とつながりを持つことが重要であり、地域企業との連携体制を構築しておくべき」といった意見があり、今後の連携体制強化に向けた理解促進を図ることができた。

<訓練開催場所>

  • 福岡県(平成31年3月5日):参加者52名(行政16名、社協11名、NPO等25名)
行政とNPO・ボランティアによる連携訓練の様子(福岡県)
行政とNPO・ボランティアによる連携訓練の様子(福岡県)

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