第3章 南海トラフ巨大地震の検討状況~異常な現象への防災対応の検討~
1-1 南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応の検討
内閣府は、平成29年9月公表の「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応のあり方について(報告)」で示された、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合の防災対応の基本的な方向性に基づき、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合の防災対応の在り方や、防災対応を実行するに当たっての社会的な仕組み等について検討するため、平成30年3月、中央防災会議防災対策実行会議の下に、「南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応検討ワーキンググループ」を設け、平成30年度から活動を開始した(参照:https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taio_wg/taio_wg_02.html)。
愛知県名古屋市で平成29年度より毎月開催された「南海トラフの地震観測に基づく新たな防災対応中部検討会」における議論状況と調整を図りながら、平成30年度に全7回の同ワーキンググループを開催し、静岡県、高知県、中部経済界の各モデル地区での取組事例の検証とともに、想定される異常な現象(「半割れケース」、「一部割れケース」、及び「ゆっくりすべりケース」の3ケース)とそれに応じた防災対応について討議と検討を重ね、平成30年12月25日に「南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応のあり方について(報告)」としてとりまとめ、内閣府ホームページで公表した(参照:https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taio_wg/taio_wg_02.html)。
同報告では、地震発生の可能性が相対的に高まっていると評価された際、想定される3ケース毎に政府や各自治体、企業等及び住民が具体の防災対応をどう取るべきかについて報告を行っており、南海トラフ沿いの大規模地震による「被害の甚大さ」や「過去の発生形態」等を踏まえて、「異常な現象」が観測された際に、その情報を活かして被害の軽減を図ることを目指している。現時点では、地震の発生時期、発生場所、規模等の確実な予測ができないため、具体の「防災対応の内容」と「最も警戒する期間」を定めることとした。