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令和元年版 防災白書|特集 第1章 第1節 1-6 平成30年に発生した災害に対する科学的手法の導入


1-6 平成30年に発生した災害に対する科学的手法の導入

(1)ISUTの導入

東日本大震災や熊本地震等、これまでの災害の経験から、被災自治体は、自治体庁舎や設備の損失等により、被害状況の把握や行政間の情報把握が困難であることが分かった。地方公共団体、ライフライン等の民間事業者、自衛隊等の実働機関、医療機関、応援自治体、各省庁といった様々な機関が支援活動を行う中で、これらの機関が迅速かつ効率的な災害対応を行うには、「どこで何がどの程度の規模で生じているのか」、「復旧すべき施設はどこで、何をする必要があるのか」、「各機関がどこでどのような活動をしているのか」等の事象を各機関が体系的に把握することが必要となる。

こうした課題の解決に向け、内閣府は、国、自治体、民間事業者それぞれが災害時の情報をどう捕捉しているかを明らかにするため、情報を流通させる仕組みである「災害情報ハブ」を平成29年度より推進し、実証実験等による検証を実施してきた。

さらに、一つの地図上に各機関が保有する情報(データ)を重ねることが状況把握を行う場合に有効であることから、災害現場で情報の収集・整理・地図化を災害情報共有システム(SIP4D)を活用して行い、各機関の状況把握を支援することを目的に、平成30年4月に内閣府、国立研究開発法人防災科学技術研究所と民間企業でISUT(アイサット)(Information Support Team)と呼ばれるチームを結成し、試行的に活動することを「国と地方・民間の『災害情報ハブ』推進チーム」において決定した。

「災害情報ハブ」の目指す姿
「災害情報ハブ」の目指す姿
(2)ISUTの活動状況について

ISUTは、平成30年度に3回の災害対応を行った。平成30年6月の大阪府北部地震では大阪府庁において道路状況、避難所開設状況、ガス供給状況等を地図に集約し、共有した(活動期間6月18日から同月21日)。また、平成30年7月豪雨では広島県庁において空撮画像や断水状況、病院情報等を集約、共有(活動期間7月7日から8月9日)し、同年9月の北海道胆振東部地震では北海道庁において携帯通信状況等を集約し、状況把握支援を行った(活動期間9月6日から同月28日)。これらの災害現場での実務経験を踏まえ、平成31年度から全国で本格運用を開始する予定となっている。

[コラム]
ISUTの今後の課題について

平成30年7月豪雨災害時に、広島県庁を拠点に活動したISUTが実際に作成した地図の例を紹介する。「避難所支援用地図」は、被災状況の全般的な把握において特に重要となる、開設避難所、道路規制箇所、給水支援等の情報を重ねて作成している。避難所と道路情報を1枚の地図上に表示することで、物資拠点から避難所までのルート選定等に活用できるため、物資支援を担当した広島県危機管理課において利用及び検証を行った。また、全国から集まった土地勘のない応援職員向けの避難所巡回ルートの選定にも役立った。

試行を通じ、いくつかの課題も浮かび上がった。例えば、地図化した道路規制箇所は、広島県の運用するシステムから自動でデータを取得する体制を構築できたため、情報を円滑に地図化することができたが、開設避難所については、広島県のシステムや担当職員から入手した情報を手動で入力していたため、時間と人手を要した。

今後は、データの入手・入力作業を極力自動化する仕組みを実現し、迅速な地図の作成・提供を実現する必要がある。内閣府は、平成30年度の試行を踏まえ抽出した課題の整理・解消に努め、効果的な運用を目指すこととしている。

避難所支援用地図(広島県)(平成30年7月11日作成)
避難所支援用地図(広島県)(平成30年7月11日作成)

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