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平成29年版 防災白書|第1部 第1章 第5節 5-1 国連などの国際機関を通じた防災協力


第5節 国際防災協力

我が国は、災害の経験、知識や、防災の政策を多く蓄積しており、これらを共有することにより、防災分野で世界の議論をけん引し、世界各国における防災の取組に貢献している。特に、平成27年3月に第3回国連防災世界会議を仙台市で開催したことを踏まえ、そこで合意された「仙台防災枠組2015-2030」(以下「仙台防災枠組」という。)の実施において、主導的な役割を果たすことが世界各国から期待されている。このため、内閣府(防災担当)においては、国連などの国際機関を通じた防災協力、二国間等防災協力を積極的に推進している。

5-1 国連などの国際機関を通じた防災協力

(1)国連国際防災戦略事務局(UNISDR)を通じた防災協力

仙台防災枠組を推進するため、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)は次の3つの戦略目標に係る活動を重点的に行っている。

戦略目標1:仙台防災枠組実施に係る地球規模でのモニタリング、分析、調整の強化

戦略目標2:地域レベル及び国家レベルにおける仙台防災枠組実施への支援

戦略目標3:国連加盟国とパートナーとの連携したアクションの促進

我が国はUNISDRの活動において主導的な役割を果たしており、その活動を支援するため、平成28年度は、外務省と内閣府が合わせて約289万ドル(約3億4,680万円)を拠出している。

特に、グローバルターゲットの進捗を図る指標及び用語集を作成するため、平成27年6月の国連総会において政府間専門家作業部会(OEIWG)の設置が決定され、平成27年9月からその検討が進められてきたが、我が国はその過程で、各国が検討の俎上に上った指標についてデータを有しているのか事前調査を行い、OEIWGの議論に実質的な貢献をした。この検討の結果、平成29年2月に国連総会にて「仙台防災枠組2015-2030におけるグローバルターゲットのためのグローバル指標及び指標のフォローアップと運用に関する政府間専門家作業部会の勧告」(図表1-5-1)が採択された。

また、平成28年11月3~5日にインド(ニューデリー)で開催された「第7回アジア防災閣僚級会議」に併せて、同4日に内閣府審議官とロバート・グラッサー国連事務総長特別代表(防災)(SRSG:Special Representative of the Secretary General)との間で会談を行った。SRSGからは、OEIWGにおける日本のリーダーシップに感謝の意が示されるとともに、仙台防災枠組を推進するため日本政府(内閣府)とUNISDRとがより一層緊密に連携・協力していくことなどについて話し合い、認識を共有した。

図表1-5-1 「仙台防災枠組2015-2030におけるグローバルターゲットのためのグローバル指標及び指標のフォローアップと運用に関する政府間専門家作業部会(OIEWG)の勧告」
図表1-5-1 「仙台防災枠組2015-2030におけるグローバルターゲットのためのグローバル指標及び指標のフォローアップと運用に関する政府間専門家作業部会(OIEWG)の勧告」
(2)第7回アジア防災閣僚級会議(AMCDRR)

平成28年11月3~5日に、インド(ニューデリー)において、インド政府(内務省)及びUNISDRの主催による「第7回アジア防災閣僚級会議」が開催された。この会議は、アジアにおける災害被害軽減のための取組の成果と課題を総括するために、2年に一度開催される防災閣僚レベルの会議である。今回は、第3回国連防災世界会議において採択された仙台防災枠組について、アジア各国での実施状況や推進方策についても議論することを目的に開催され、アジア・太平洋各国の閣僚級をはじめ、51ヶ国の政府関係者、国際機関、地域機関及びNGO等から約4,500名が参加した。

我が国からは、内閣府審議官が出席し、「効果的な災害対応への備えの向上と、復旧・復興過程における『より良い復興』」をテーマとしたテクニカルセッションの議長を務めるなどした。また、国会議員代表団として、二階自民党幹事長、林前経済産業大臣、平野元防災担当大臣が出席し、同2日にプレ・イベントとして開催された「世界津波の日」スペシャルセッションや開会式において、津波防災や事前投資の重要性などについてスピーチを行った。

テクニカルセッションの議長を務める内閣府審議官(モニター右側)
テクニカルセッションの議長を務める内閣府審議官(モニター右側)
(3)国際復興支援プラットフォーム(IRP)

IRPは、平成17年に兵庫県神戸市で開催された「第2回国連防災世界会議」で採択された「兵庫行動枠組」を受けて、被災後の円滑な復興を支援するためのネットワークと枠組の充実を図ること、復興に関する教訓の発信や復興に向けた共通手法・仕組みを開発すること、被災後の復興計画・構想策定に助言や支援を行うことなどを目的として、同年3月に兵庫県神戸市に設立された。その活動として、国際復興フォーラムの開催や復興ガイダンスノートの作成、人材育成ワークショップの実施等を行っている。仙台防災枠組においても、IRPは優先行動4に位置付けられた「より良い復興(ビルド・バック・ベター)」を推進するための国際的な仕組みとして、その強化がうたわれている。日本政府(内閣府)は運営委員会共同議長としてその発展の基盤づくりに貢献するとともに、IRPの活動を支援している。

平成28年度の国際復興フォーラムは、1月24日に神戸にて開催され、「災害復興におけるBuild Back Betterと健康で強じんなコミュニティを目指して」をテーマに、井戸兵庫県知事、内閣府審議官、タイ王国内務省副大臣のナダピット・スニボング警察中将をはじめ、33ヶ国、16国際機関などから約140名が参加し、災害復興と保健・医療対策等の実践や経験を各国間で共有した。

国際復興フォーラムの様子
国際復興フォーラムの様子
(4)アジア太平洋経済協力(APEC)防災担当高級実務者会合

平成28年10月8~9日に、ペルー(イキトス)において、第10回アジア太平洋経済協力(APEC)防災担当高級実務者会合(SDMOF:Senior Disaster Management Officials Forum)が開催された。本会合においては、「サプライチェーンと緊急時の食料確保のための備え」をテーマに、災害時の食料供給網の備え、被災地への食料支援等について議論が行われた。我が国からは、石井内閣府政策参与が出席し、熊本地震の経験(プッシュ型支援)等について紹介した。

(5)アジア防災センターの活動を通じた防災協力

アジア防災センター(Asian Disaster Research Center)は、平成7年の阪神・淡路大震災の教訓をはじめ、我が国の災害教訓をアジア地域と共有するため、平成10年に兵庫県神戸市に設立されたものである。現在、30ヶ国がADRCの加盟国となり、災害情報の共有、加盟国の人材育成、コミュニティの防災力向上、メンバー国、国際機関、地域機関、NGOとの連携の4つの柱を軸に活動を行っている。特に、加盟国からは毎年客員研究員を招聘しており、平成29年3月現在で累計99名の研究員を受け入れ、加盟国における防災政策の企画立案に貢献する人材を育成してきた。また、各国の防災体制や最新災害情報等の収集及びホームページ上での提供、災害発生時の衛星観測による被災情報の提供などの活動も行っている。

アジア防災センターのメンバー国及びアドバイザー国
アジア防災センターのメンバー国及びアドバイザー国

ADRCは加盟国での大きな自然災害の後、各国政府専門家による現地調査等を実施しており、平成28年12月には、熊本県、熊本市、益城町等の協力を得て、23加盟国からアジア諸国防災担当機関による熊本地震被災地視察を実施した。

また、加盟国には、2004年の「インドネシア・スマトラ島沖大規模地震及びインド洋津波」の被害を受けた国もあり、津波に対する関心も高いことから、「世界津波の日」の制定を踏まえ、津波防災を推進するための各国の経験や知識の共有を図っている。このため、平成28年度は2回の津波ワークショップを開催した。一つは、APEC防災作業部会会合に併せて、ペルー国家防災庁の協力を得てリマにて開催(平成28年8月)した。もう一つは、タイ内務省防災局の協力を得て、地域に根差した津波防災をテーマに、クラビにて開催(平成28年9月)し、インド洋津波、東日本大震災後の津波防災の取組等について、タイ政府、民間、NGO、日本やインドネシアの専門家も交えて議論した。

クラビ(タイ)でのワークショップの様子
クラビ(タイ)でのワークショップの様子

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内閣府政策統括官(防災担当)

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