平成29年版 防災白書|第1部 第1章 第4節 4-3 産業界との連携


4-3 産業界との連携

第3回国連防災世界会議(平成27年3月、仙台市)で採択された「仙台防災枠組2015-2030」では、災害リスク削減における官民連携の重要性が提起された。国及び地域の各レベルで民間セクターと政府機関との間に緊密な協力と信頼関係の構築が必要である。

日本の民間企業には、これまでの多くの災害経験を通じ、先進的な防災技術・ノウハウが蓄積されてきていることを踏まえると、政府と民間企業が連携することは、今後災害対策に多いに貢献すると期待される。

「日本防災産業会議」は、民間による防災産業の振興・育成のため、新聞社が事務局となり、様々な業態の企業の参加により平成27年7月に設立された組織である(平成29年4月1日現在で会員30社)。防災関連産業が保有する先進的技術やノウハウを結集してイノベーションを起こすため、防災関連機器や防災システムに限らず、あらゆる産業分野を包括した他業種間での協力体制の構築を目指している。平成28年度は「情報分科会」と「モノ・技術分科会」の2分科会を設置し、各分野毎の企業間連携に向けた活動を行った。

また、同会議に参加する会員企業を中心に、内閣府をはじめとする関係省庁等や地方公共団体の実務者による定期的な「官民連携意見交換会」を定期的に開催し、災害前や災害時の官民による連携体制の構築化を目指している。平成28年度は2回開催され、情報分野では、官民間の情報連携による災害対応の効率化について、モノ・技術分野では熊本地震を踏まえた課題を洗い出し、各企業の保有技術の結束の場として避難所に着目し、官民連携で作る「震災対応避難所」について活発な意見交換が行われた。

第4回官民連携意見交換会で冒頭挨拶を行う松本内閣府副大臣
第4回官民連携意見交換会で冒頭挨拶を行う松本内閣府副大臣

また、災害発生後だけではなく、平常時から官民間での様々な連携活動が望まれている中、熊本地震での活用経験から「災害時応援協定」を順次締結していくことは今後ますます重要であることが再認識された。分野別に多くの企業と協定締結を進めている自治体もあり、こうした取組みは災害時において迅速かつ有効に機能するものとして期待されている(図表1-4-2)。

図表1-4-2 災害時応援協定の事例
図表1-4-2 災害時応援協定の事例

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内閣府政策統括官(防災担当)

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