3-3 首都圏等における洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難の検討
近年の地球温暖化による気候変動に伴い、既存想定を超える水害の激甚化への備えが必要となっている。また、我が国の三大都市圏には「ゼロメートル地帯」が広く存在しており、万が一、堤防の決壊等により大規模水害が発生した場合には、多数の住民が避難することによる大混雑の発生や、逃げ遅れによる多数の孤立者の発生が予想される(図表1-3-1)。
このことから、内閣府では、平成28年6月に中央防災会議防災対策実行会議の下に設置された「洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ」において、三大都市圏における洪水や高潮氾濫からの大規模かつ広域的な避難の在り方等について検討を進めている。
(参照:https://www.bousai.go.jp/fusuigai/kozuiworking/)
平成29年2月、マグニチュード7.3の首都直下地震を想定し、東京都と渋谷区による帰宅困難者の合同の対策訓練が行われた。渋谷駅周辺で外国人を含む約4千人が参加し、外国人は多言語対応のアプリをダウンロードして、一時退避場所までの避難経路を確認した。4か国語(日英中韓)に翻訳して伝える「メガホン型翻訳機」も活用し、外国人の参加者を誘導した。
多言語対応としては、スマートフォンアプリやデジタルサイネージ等の活用が考えられるが、スマートフォンアプリについては、スマートフォンに話しかけると多言語に音声翻訳するアプリ「VoiceTra(ボイストラ)」や、外国人旅行者向けに地震や津波、その他の自然災害に関する情報を提供する災害時情報発信アプリ「Safety tips」等様々なアプリケーションソフトが開発され、一般向けに簡単に利用できる状況で提供されている。