平成29年版 防災白書|特集 第3章 3-4 まとめ


3-4 まとめ

熊本地震に対して政府は、被災地への物流確保に向けた交通インフラの応急復旧や、二次災害の防止に向けた河川の応急復旧等の早期復旧に努めた。また、東日本大震災以来積み重ねてきた過去の事例から学んだ対応に加えて、「プッシュ型支援」や「NPO等と行政との連携」等の新たな取り組みに対し、大きな示唆を与えた。これを踏まえ、国や都道府県、市町村は、災害時における体制や連携及び調整機能を強化させるとともに、必要な制度や指針、マニュアル等の整備や見直しを進める必要がある。

特に、首都直下型地震や南海トラフ地震などの大規模災害が発生した場合には、被害が広域に及ぶため、国家や地方公共団体による救助力が分散するのみならず、首都直下地震等により国家の中枢組織が被災すれば、救助のための統率機能は大幅に低下するなど、これまでの地震にはない課題も生じる。また、防災への取組に従事する者のすそ野を拡大することも重要である。これによって「公助」による支援ではとらえきれない「自助」や「共助」が促進される。

公助を期待する待ちの姿勢ではなく、一人一人が自分の住む地域を愛し、「自分ごと」として地域の災害リスクを考え、そのリスクに対応する「備え」について真剣に考え、万全を期す心構えを持つこと、これが結果として防災力を向上させる上で何よりも重要なポイントとなると考えられる。地域住民が一体となって減災に取り組む体制づくりが必要不可欠である。


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