3-3 長期的なまちづくり
災害からの復興に当たっては、被災自治体において基本的なビジョンを早期に作成し、復興まちづくりを円滑に進める必要がある。そのためには、発災前の段階から、想定される災害に関する復興ビジョンの策定方針などについて、事前に関係者間で検討や作成訓練等の下準備をしておくことにより、発災後に慌てず対応することができるようになる。市町村における平常時からの発災を前提とした復興事前準備の取組を促進するため、国は、復興まちづくりイメージトレーニングの普及を推進するとともに、手引き等を整備する必要がある。また、発災後、復興まちづくりの支援を行う専門家を紹介できるスキームの構築を促進することが望ましい。
このため、まず国としては、「復興まちづくりイメージトレーニングの手引き」を作成し、公表することとしている。トレーニングの必要性や概要について説明するとともに、実施に際して準備すべき事項や運営上の留意点についても掲載する。また、平成28年度には5つの自治体において試行実施をしており、その具体的な内容についても事例集として取り上げる。本手引きの公表後、それによるトレーニングの普及啓発を図るとともに、さらにその内容も反映しつつ、復興事前準備のガイドラインを作成する予定としている。
また、地方公共団体においても、東京都では想定される首都直下地震等に備え、「東京都震災復興マニュアル」(平成28年3月修正)を策定し、国・自治体をはじめ被災者、NPO、ボランティア、専門家、企業などの幅広い主体の参画による自助・共助・公助の連携による復興の基本的な考え方や、住民が積極的に復興を進めるための仕組み等を提示しているなど、一部では取組が進められている。