平成29年版 防災白書|特集 熊本地震を踏まえた防災体制の見直し


特集 熊本地震を踏まえた防災体制の見直し

平成28年4月14日と16日に最大震度7を記録した「平成28年(2016年)熊本地震」(以下「熊本地震」という。)は、死者228名(平成29年4月13日現在、消防庁調べ)、全壊、半壊及び一部破損を合わせて約20万戸の住家被害が発生する等甚大な被害をもたらした。これに対して政府は、被災地への物流を確保するため、高速道路、新幹線、熊本空港など交通インフラの応急復旧を概ね1ケ月程度で完了するなど早期復旧に努めるとともに、二次災害の防止に向け梅雨期までに河川の応急復旧を実施し、大規模な斜面崩落があった阿蘇大橋地区でも斜面対策等を着実に進めてきた。道路については、道路陥没や土砂崩落等によって通行不能となった県・市町村道の応急復旧を行い、支援物資等の輸送路の確保に迅速に対応した。また、国道57号北側復旧ルート及び国が代行している熊本県管理の国道325号阿蘇大橋を復旧するとともに、県道熊本高森線や村道栃の木~立野線など高度な技術を要する地方道については、「大規模災害からの復興に関する法律」を初めて適用し、直轄代行による早期復旧に取り組んでいる。

被災者支援については、初めて本格的に実施したプッシュ型の物資支援や避難所運営等における専門ボランティアやNPOとの連携など、過去の災害を教訓にした取組みが実施された。一方、県庁舎や指定避難所が被災により使用できなかったことや避難所に押し寄せた多数の避難者へ十分な対応ができなかったこと、支援物資を避難者に円滑に届けられなかったこと等、今後の課題として指摘されたものも少なくない。しかしながら、被災者支援等に関する様々な課題への対応などにより、今後の災害対策につながる経験や教訓も数多く得られた。

このため、政府は熊本地震に係る一連の対応から教訓を得るための取組として、初動対応の評価すべき点や、反省点、改善すべき点等を「熊本地震に係る初動対応検証チーム」による検証レポートとしてとりまとめた。さらに、この報告を踏まえ、「熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策検討ワーキンググループ」により、応急対策や生活支援策のあり方全般を具体的に検討した「熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策の在り方について(報告書)」を平成28年12月にとりまとめた。

(参照:https://www.bousai.go.jp/updates/h280414jishin/h28kumamoto/okyuseikatu_wg.html

本特集では、これらの報告を踏まえ、政府の対応のうち、自治体支援、避難所運営、物資輸送等に焦点を当てて記載し、今後、来るべき大規模災害に向けて、政府が防災態勢をどのように見直そうとしているのかを具体例やデータに基づき概観する。


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