平成28年版 防災白書|第2部 第6章 1 多国間協力


第6章 国際防災協力

1 多国間協力

(1)国際防災協力の推進

内閣府においては、国連国際防災戦略(UNISDR)事務局を通じた国際防災協力の推進、アジア防災センター等を通じた地域内防災協力を図り、第3回国連防災世界会議やアジア防災会議などの国際会議の場で我が国の知見の発表等により国際防災協力を推進した。また、第3回国連防災世界会議の開催国として、2015年以降の新たな国際的な防災の取組指針策定に向けて貢献していくための調査及び情報発信を行った。

(平成26年度決算額 171百万円)

(2)国連防災世界会議の開催

平成27年3月に我が国で開催された第3回国連防災世界会議において、兵庫行動枠組(HFA)の後継枠組として「仙台防災枠組2015-2030」を採択するとともに、東日本大震災の被災地の復興の現状や我が国の防災に関する経験と知見を国際社会に向けて発信した。

(平成26年度決算額 1,083百万円)

(3)防災ICTシステムの国際展開の推進

総務省においては、ASEAN地域等の自然災害多発国に対して、各国のニーズを踏まえ、我が国での多年の経験、ノウハウをもとに培った防災ICTシステムの実証実験・民間企業と連携した先方政府への働きかけや国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)を通じた働きかけ等を実施し、我が国の防災ICTシステムの海外展開を推進した。2014年12月から、ITUおよびフィリピン政府と協力して、2013年に大規模な台風被害を受けたフィリピン・セブ島において、災害時に通信を迅速に応急復旧させることが可能な移動式の通信設備「移動式ICTユニット(MDRU:Movable and Deployable ICT Resource Unit)」を用いた実証実験を行う共同プロジェクトを実施した。

(平成26年度決算額国際電気通信連合等への分担金・支援事業(614百万円)の内数 及びICT海外展開の推進(908百万円)の内数)

(4)消防の国際協力及び国際貢献の推進

消防庁においては、主としてアジア圏内各国を対象に、我が国がこれまで培ってきた消防防災の技術・制度・体制等を広く紹介する国際消防防災フォーラムを開催し、対象国の消防防災能力の向上に資するとともに、各国消防防災部局との信頼関係の構築を図った。

(平成26年度決算額 14百万円)

(5)国際消防救助隊の海外派遣体制の推進

消防庁においては、国際消防救助隊の一層の強化を図るため、迅速な派遣体制の整備を図るとともに、全国で展開される国際消防救助隊の連携訓練の支援や教育訓練の核となる指導員の育成、また全ての国際消防救助隊登録消防本部を対象にしたセミナーの開催など国際消防救助隊員の教育訓練等の一層の充実を図った。

(平成26年度決算額 16百万円)

(6)消防防災インフラシステムの海外展開の推進

消防庁においては、急速な人口増加や経済成長に伴い、火災や爆発のリスクの増大が指摘されている新興国に対して消防防災設備、車両、資機材等の展示・実演等の現地ワークショップなどを実施し、我が国の消防防災インフラシステムの海外展開を推進した。

(平成26年度決算額 1百万円)

(7)国際機関への拠出

外務省においては、国連等と協力し「兵庫行動枠組2005―2015」の着実な実施を推進するため、その中核となる国連国際防災戦略(UNISDR)への拠出を行った。また、リアルタイムに世界の災害情報を提供するリリーフウェブ等を管理・運営する国連人道問題調整事務所(UNOCHA)の活動を支援した。

(平成26年度決算額 915百万円)

(8)衛星を利用した防災に関する国際協力の推進

独立行政法人宇宙航空研究開発機構においては、計341件(平成18年度~平成27年3月末)の衛星の災害関連データを「センチネルアジア」等の国際的な取組を通じてアジア太平洋地域の各国に提供するなど、海外の災害状況把握に貢献した。

(平成26年度決算額運営費交付金 113,968百万円の内数等)

(9)防災分野の海外展開支援

国土交通省においては、世界における水防災対策の推進及び我が国の水防災技術の海外展開に資する環境整備等に寄与するため、国連における水防災に係る国際目標・指標等の策定に関する活動を推進した。

(平成26年度決算額 65百万円)

(10)地球地図整備

国土地理院においては、世界の地理空間情報当局が協力して統一仕様の地理空間情報を整備する「地球地図プロジェクト」を事務局として推進するとともに、大規模災害発生時に地球地図による被災地周辺図を作成・提供するなど防災分野での活用を行った。

(平成26年度決算額 31百万円)

(11)気象業務の国際協力

気象庁においては、アジア太平洋域各国に対し、台風や豪雨等の監視に資する静止気象衛星画像や、台風の解析及び予報に関する資料、季節予報資料、気候監視情報等を提供するとともに、利用技術や人材育成を支援する活動を行った。

(12)北西太平洋津波情報の提供

気象庁においては、北西太平洋域における津波災害の軽減に資するため、米国海洋大気庁太平洋津波警報センターと連携し、津波の到達予想時刻や予想される高さ等を北西太平洋関係各国に対して提供した。

(13)生態系を活用した防災・減災対策の推進

環境省は、三陸復興国立公園の取組や、平成25年11月に仙台市で開催した「第1回アジア国立公園会議」の結果を踏まえ、平成26年11月にオーストラリアで開催された「第6回世界国立公園会議」において、「自然災害からの復興や減災に対する保護地域の役割」について議論を主導し、ガイドラインをとりまとめた。

(平成26年度決算額 32百万円)


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