3-3 地方公共団体や事業者における防災訓練や研修のための取組
(1)地方公共団体における原子力防災訓練への支援
原子力施設の立地地方公共団体又は隣接する地方公共団体は、災害対策基本法に基づき年に一度の頻度で、原子力防災訓練を実施することとなっている。関係道府県が主催する訓練では、道府県知事をはじめとする地方公共団体及び警察、消防、海上保安庁、自衛隊といった国や地域の関係実動組織も参加し、住民避難や避難退域時検査については一部実動を取り入れた形で実施されている。
地域原子力防災協議会においては、地域防災計画及び避難計画の具体化・充実化が図られた地域について、地域防災計画及び避難計画の具体性や実効性の検証を目的として、訓練の企画・実施や評価方法の普及、訓練を通じたPDCAサイクルの実践等、必要な支援を行った。
(2)地方公共団体や実動機関等の職員への研修の実施
内閣府政策統括官(原子力防災担当)では、地方公共団体等の防災業務関係者に原子力防災対策指針の防護措置の考え方を理解していただくととともに、原子力災害時の対応力の向上を目的として、原子力防災基礎研修、バス等運転業務者研修及び災害対策本部要員研修・図上演習を実施した。
<1> 原子力防災基礎研修
原子力防災基礎研修は、原子力防災に初めて関わる災害対策要員を対象とし、放射線や防災に関する法令、原子力災害対策指針の概要、福島第一原子力発電所事故から得られた教訓を踏まえた防災に関する基礎知識等を修得することを目的として実施している。平成27年度においては、26回開催した。主な研修内容は、以下のとおりである。
- 放射線の基礎知識
- 放射線測定器の取扱い、防護服等の脱着方法
- 原子力災害対策指針に基づいた放射線防護の基本的な考え方
- 原子力防災活動における役割分担の考え方 等
<2> バス等運転業務者研修
バス等運転業務者研修は、バス等運転業務者等が原子力災害時に住民防護活動を行うために必要となる放射線防護のために必要な基礎知識、原子力災害対策指針の概要及び住民防護活動の流れと防護処置等を習得することを目的として実施している。平成27年度においては、8回開催した。主な研修内容は、以下のとおりである。(図表1-3-8)
- 放射線の基礎知識
- 放射線測定器の取扱い、防護服等の脱着方法
- 原子力災害対策指針に基づいた放射線防護の基本的な考え方等
<3> 災害対策本部要員研修・図上演習
災害対策本部要員研修・図上演習は、原子力防災に係る地方公共団体職員、実動機関等の災害対策要員が原子力災害対応業務能力を習得すること、災害対策本部要員が緊急時の対応能力を習得すること等を目的として実施している。また、図上演習においては、原子力発電所立地地方公共団体が制定している地域防災計画及び避難計画の検証並びに改善を図ることを目的としている。平成27年度においては、6回開催した。主な研修内容は、以下のとおりである。
- 原子力災害対策指針に基づいた放射線防護の考え方
- 緊急事態応急対策拠点施設(OFC)における活動(座学・実習)
- 訓練シナリオに基づいた図上演習等