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平成27年版 防災白書|附属資料15 平成26年以降に発生した主な災害における各府省庁の対応


附属資料15 平成26年以降に発生した主な災害における各府省庁の対応

15-1 平成26年2月の大雪

<1> 災害の状況

平成26年2月には、上旬と中旬にそれぞれ1度、低気圧が発達しながら日本の南岸を通過し、太平洋側の広い範囲で大雪となった。特に、14日から16日にかけては、関東甲信地方を中心に過去の最深積雪の記録を大幅に上回る記録的な大雪となった。

この災害により、主に屋根の雪下ろし等、除雪作業中の事故等で死者26人及び負傷者701人の人的被害が発生した。また、住家被害については、住家全壊16棟、住家半壊46棟、住家一部破損585棟等の被害が発生した。また、2月14日からの大雪では、山梨県や長野県の一部の地域などで、約6,000世帯以上が孤立したほか、車両の立ち往生などが多数発生した。

<2> 各府省庁等の対応

政府では、2月6日に、大雪等の被害状況と現地の課題を調査するため、内閣府副大臣を団長とする政府調査団を秋田県へ派遣した。

2月14日からの大雪においては、降雪前の14日に、関係省庁災害警戒会議を開催し、内閣府特命担当大臣(防災)から国民の皆様に対して、不要不急の外出を控えて早期に帰宅することなどを呼びかけるとともに、関係省庁に対して、除雪の体制確保、交通障害への対応に万全を期すことなどを確認した。これを踏まえ、関係省庁において、除雪、救助、物資輸送などを行うとともに、16日には関係省庁災害対策会議を開催し、対応状況を確認した。17日には、内閣府大臣政務官を団長とする政府調査団を山梨県へ派遣するとともに、関係省庁災害対策会議を2回開催し、政府としての支援の調整を行った。

さらに、18日は、集落の孤立が3日を超える事態が生じていること等を踏まえ、内閣総理大臣の指示により、災害対策基本法に基づき、内閣府特命担当大臣(防災)を本部長とする「平成26年(2014年)豪雪非常災害対策本部」を格上げ設置するとともに、山梨県に内閣府大臣政務官を本部長とする非常災害現地対策本部を設置した。

併せて、群馬県と埼玉県に政府現地災害対策室を設置し、災害応急対策に係る調整を行った。

宮城県、福島県、群馬県、埼玉県、東京都、山梨県、長野県及び静岡県からの災害派遣要請に基づき、延べ5,060名(※実際に現場で活動した人数)余りの自衛隊が人命救助や物資輸送などを実施した。また、国土交通省のTEC-FORCEを延べ420名余り、除雪機械を延べ230台・日余り派遣し、除雪作業の支援等を実施した。

また、災害救助法が、群馬県は安中市、藤岡市、多野郡上野村、多野郡神流町、甘楽郡下仁田町、甘楽郡南牧村、吾妻郡高山村、吾妻郡東吾妻町及び沼田市に、長野県は茅野市、北佐久郡軽井沢町、諏訪郡富士見町及び北佐久郡御代田町に、山梨県は甲府市、富士吉田市、都留市、大月市、韮崎市、笛吹市、上野原市、西八代郡市川三郷町、南巨摩郡早川町、南巨摩郡身延町、南都留郡忍野村、南都留郡山中湖村、南都留郡鳴沢村、南都留郡富士河口湖町、北都留郡小菅村、北都留郡丹波山村、北杜市、甲州市、南都留郡西桂町、南アルプス市及び南都留郡道志村に、埼玉県は秩父市、飯能市、秩父郡横瀬町、秩父郡皆野町、秩父郡長瀞町、秩父郡小鹿野町及び児玉郡神川町にそれぞれ適用された。

15-2 平成26年台風第8号等

<1> 災害の状況

7月4日3時にマリアナ諸島付近で発生した台風第8号は、8日には大型で非常に強い勢力で沖縄本島と宮古島の間を北上した。その後、九州の西海上で進路を東寄りに変え、10日7時前、鹿児島県阿久根市付近に上陸した。台風第8号は、本州南岸を東に進み、11日9時に福島県沖で温帯低気圧に変わった。また、梅雨前線が6日から11日にかけて、西日本から北日本に徐々に北上した。

この間、沖縄本島地方では記録的な大雨となったほか、台風周辺の湿った南風と梅雨前線の影響で、台風から離れた地域でも局地的に猛烈な雨が降ったところがあった。また、台風の接近に伴い、沖縄・奄美や九州南部を中心に暴風となり、沖縄地方では猛烈な風を観測したところがあった。

台風第8号の接近に伴い、気象庁は、宮古島地方及び沖縄本島地方に対し、暴風、波浪、高潮、大雨の特別警報を発表して最大級の警戒を呼びかけた。また、山形県、新潟県、岐阜県で合わせて1,300世帯4,100人余りに避難指示が出された。

この台風第8号及び梅雨前線により、土砂災害、浸水害、河川の氾濫等が発生し、長野県の土砂災害による死者1名など、愛媛県、長野県及び福島県で合わせて死者3名となった。また、沖縄県や新潟県、山形県で合わせて浸水家屋1,000棟以上の被害となるなど、各地で床上・床下浸水や、土砂災害による家屋損壊等の住家被害が生じた。また、停電、電話の不通、水道被害、鉄道の運休、航空機・フェリーの欠航等の交通障害が発生したほか、沖縄県では防波堤の倒壊・破損等の被害が生じた。

<2> 各府省庁等の対応

7月7日、内閣総理大臣は関係省庁に対し、<1>大雨、暴風、高波等に関する情報提供を国民に対し、適時的確に行うこと、<2>関係省庁が緊密に連携し、住民の避難支援等の事前対策に万全を期すこと、<3>被害が発生した場合は、政府の総力を挙げて、災害応急対策に万全を尽くすことを指示した。

同日、官房長官出席のもと、関係省庁災害警戒会議を開催し、今後の気象状況の見通し及び各省庁の対応状況の情報共有を行うとともに、総理指示を踏まえ、緊張感を持って警戒・監視等にあたること等を確認した。会議直後には、台風第8号の接近及び梅雨前線の影響に伴う大雨や強風への対応について、内閣府特命担当大臣(防災)から国民への呼びかけを行った。

7月10日には、関係省庁災害対策会議を開催し、台風第8号等による大雨への対応にあたって、住民の避難支援等の事前対策については、総理指示を踏まえるとともに、<1>災害対策基本法改正の趣旨を踏まえ、地方公共団体との連携を密にし、避難のための適切な助言を行うこと、<2>関係省庁間で被害状況等の情報共有を図ること、<3>被災した地域における被害の拡大防止に努めるとともに、必要に応じて、応急復旧等、適切な対応を取ること、<4>台風第8号や梅雨前線による大雨が予想されていることを踏まえ、引き続き、今後の気象状況を注視しながら、緊張感を持って、警戒・監視にあたること、について万全を期すことを確認した。

7月11日には、内閣府大臣政務官(防災担当)を団長とする政府調査団を長野県へ、翌12日には山形県へそれぞれ派遣し、被災自治体の首長等と意見交換を行うとともに、被災現場の調査を実施した。また、7月14日から15日には、内閣府大臣政務官(防災担当)を団長として沖縄県へ政府調査団を派遣した。

また、国土交通省のTEC-FORCE を延べ180名余り派遣するとともに、災害対策用機械等を延べ330台・日余り派遣し、被災状況の調査及び応急復旧の支援等を実施した。

この台風第8号及び梅雨前線の影響で、長野県南木曽町、山形県南陽市に対して、災害救助法及び被災者生活再建支援法が、それぞれ適用(7月9日適用)された。

15-3 平成26年8月豪雨(広島土砂災害)

<1> 災害の状況

平成26年の夏期は、台風や大雨等の風水害が連続的に発生した。

7月31日から8月11日にかけて、台風第12 号及び台風第11 号が相次いで日本列島に接近し、8月5日から26日にかけて、前線が日本付近に停滞した。また、7月30日から8月26日の期間を通じて、日本付近への暖かく非常に湿った空気の流れ込みが継続した。これらの台風や前線等の影響により、全国各地で連日大雨となり、台風第12 号、第11 号が接近・上陸した沖縄・奄美や西日本を中心に暴風となった。

台風第12 号や台風第11 号では、徳島県、山口県、島根県、和歌山県及び愛知県で死者6名の人的被害が発生し、四国地方を中心に、全国各地で7,000 棟を超える住家被害が生じた。

また、8月15日頃からの前線による大雨では、福岡県、兵庫県、京都府、石川県、北海道で合わせて死者8名の人的被害が発生し、京都府や兵庫県を中心に、全国各地で8,000 棟を超える住家被害が生じた。

さらに、8月19日から20日にかけては、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、中国地方や九州北部地方を中心に大気の状態が不安定となった。

特に広島県では、20日未明から明け方にかけて、1時間に約120ミリの猛烈な雨を観測したほか、24時間雨量が観測史上1位を更新するなど、記録的な大雨となった。この大雨の影響で、広島市内166箇所以上で土砂災害が発生し、死者74名、避難を余儀なくされる方が最大で約2,300人以上に上るなど、甚大な被害に見舞われた。

<2> 各府省庁等の対応

以下では、8月20日に発生した広島土砂災害(広島県広島市)に対する各省庁等の対応について記述する。

8月20日6時30分、内閣総理大臣は関係省庁に対し、①早急に被害状況を把握するとともに、政府の総力を挙げて、被災者の救命・救助等の災害応急対策に全力で取り組むこと、②関係省庁が緊密に連携し、住民の避難支援等に万全を期すこと、③引き続き、国民に対し、大雨等に関する情報提供を的確に行うとともに、被害の拡大防止の措置を徹底することを指示した。

同日10時00分、内閣府特命担当大臣(防災)出席のもと、関係省庁災害対策会議を開催し、今後の気象状況の見通し及び被害状況並びに各省庁の対応状況を共有するとともに、総理指示を踏まえ対応に万全を期すことを確認した。

同日11時13分、内閣総理大臣は関係省庁に対し、<1>政府一体となって、徹底した被災者の救命・救助等の災害応急対策に取り組むこと、<2>被災者の救命・救助活動にあたる自衛隊の体制を数百人規模まで増強すること、<3>内閣府防災担当大臣(防災)を筆頭とした政府調査団を環境が整い次第早急に派遣することを指示した。総理指示を踏まえ、直ちに、内閣府特命担当大臣(防災)を団長とする政府調査団を広島県へ派遣し、被災自治体の首長等と意見交換を行うとともに、被災現場の調査を実施した。

また、大雨による土砂災害により大きな被害を受けている広島県において、被災地方公共団体及び関係省庁が一体となって災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため、同日13時40分、政府現地災害対策室(室長:内閣府大臣官房審議官(防災担当))を広島県庁に設置した。

8月21日には、内閣総理大臣、官房長官出席のもと、関係省庁局長級による関係省庁災害対策会議を開催し、今後の気象状況の見通し及び被害状況並びに対応状況について情報共有を行った。

8月22日9時00分、広島県における土砂災害の発生から2日経過後もなお、行方不明者が多数発生し、救助活動が長期化する事態が生じていることを踏まえ、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第24条第1項の規定に基づき、平成26年(2014年)8月豪雨非常災害対策本部(本部長:内閣府特命担当大臣(防災))を格上げ設置するとともに、広島県に、内閣府副大臣(防災担当)を本部長とする非常災害現地対策本部を設置することを決定した。

同日午前、非常災害対策本部長出席のもと、第1回非常災害対策本部会議を実施し、災害応急対策に関する基本方針として、<1>引き続き、行方不明者の一刻も早い救命救助に全力を尽くす、<2>今後の降雨に備えて、被害の拡大防止に努める、<3>電気、ガス、水道などのライフラインの早期復旧に努め、被災地域の住民生活の早期の改善に全力を挙げる、<4>避難が長期化していることから、メンタルケアも含めた健康確保に万全を期すとともに、食料、生活必需品の供給など、避難者の良好な生活環境の確保に努める、ことを決定した(非常災害対策本部会議は計16回開催)。

更に、同日午後には、内閣総理大臣出席のもと、平成26年(2014年)8月豪雨に関する関係閣僚会議を開催し、被害状況及び各省庁の対応状況等を確認した。

8月25日には、内閣総理大臣が現地を視察し、広島県知事及び広島市長から被害状況等の報告を受けるとともに、意見交換を行った。

同日、被災者の住宅確保、避難所の環境整備等の被災者の生活支援を、広島県及び広島市と連携しながら、より迅速かつ的確に進めるため、非常災害現地対策本部に「被災者支援チーム」を設置するとともに、翌26日には、土砂災害による道路等に堆積した土砂及びがれき等の処理、砂防・治山・河川・道路等の応急復旧など、現地における課題解決を迅速かつ包括的に進めるため、非常災害現地対策本部、広島県、広島市による「8.20土砂災害応急復旧連絡会議」を設置した。

9月5日、こうした大規模な災害を二度と起こさぬよう、土砂災害防止法の改正に向けた検討の着手、国民に対する危険箇所の緊急周知、行政の体制整備に係る緊急点検、深夜を含めた災害リスク情報の的確な提供、土砂災害に備えたより実践的な訓練の実施等を柱とする「土砂災害など重大な自然災害に対する主な被害防止対策」について、非常災害対策本部において決定した。

このほか、広島県知事からの災害派遣要請に基づき、延べ14,970名(※実際に現場で活動した人数)余りの自衛隊が人命救助や入浴支援等を実施した。また、広島県公安委員会からの援助の要求に基づき、延べ約9,200名の警察災害派遣隊員等が行方不明者の捜索を実施したほか、警察用航空機(ヘリコプター)によるホイスト救助や情報収集を実施した。さらに、広島県内の消防機関(地元消防本部・消防団、県内応援消防本部・消防団)は延べ約16,100名が救助活動等を実施するとともに、広島県知事からの派遣要請に基づき、消防庁長官の求めにより1府6県(大阪府、鳥取県、島根県、岡山県、山口県、愛媛県、高知県)から延べ約2,600名の緊急消防援助隊が出動し、検索、救助、瓦礫除去活動等を実施した。国土交通省のTEC-FORCEは延べ2,431名を現地へ派遣するとともに、災害対策用機械等を延べ630台・日余り派遣し、土砂災害危険箇所の評価・捜索活動の支援、早期復旧のための支援、二次災害防止のための支援等を実施した。

この8月19日からの大雨により、広島県広島市に対して、災害救助法及び被災者生活再建支援法が適用(8月20日適用)された。

また、「平成26年7月30日から8月25日までの間の暴風雨及び豪雨による災害」について、全国を対象とする激甚災害に指定し、当該災害に適用すべき措置(農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置、農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例、小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等)を指定した(9月10日公布・施行)。

その後、「平成26年7月30日から8月25日までの間の暴風雨及び豪雨による災害」の政令の一部を改正し、全国を対象として、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助等の措置を追加した(10月1日公布・施行)。

7月30日から8月26日にかけて全国各地に甚大な被害をもたらした一連の大雨について、気象庁は「平成26年8月豪雨」と命名した。

15-4 平成26年御嶽山噴火

<1> 災害の状況

御嶽山では、平成19年3月後半にごく小規模な噴火が発生したが、その後静穏な状態が継続していた。9月10日から11日にかけて、剣ヶ峰山頂付近で高周波の地震が増加したが、その後次第に減少していた。三岳黒沢(剣ヶ峰の南東約14km)に設置している遠望カメラによる観測では、山頂付近に噴気は認められなかった。中部地方整備局が王滝村滝越(剣ヶ峰の南南西約6km)に設置している滝越カメラによる観測では、地獄谷の噴気孔からの噴気の高さは100m以下で経過していた。

平成26年9月27日11時52分頃、御嶽山噴火が発生した。噴火発生時は視界不良のため山頂付近の状況は不明だったが、中部地方整備局の滝越カメラによると、火砕流が南西方向に3kmを超えて流下した。気象レーダーの観測によると、噴煙は東に流れ、その高度は火口縁上約7,000mと推定されている。その後の調査により、火砕流は火口列から南西方向に約2.5km、北西方向に約1.5km流下したことがわかった。この噴火の直前の11時41分頃から連続した火山性微動が発生し、噴火発生以降、振幅の大きい状態が約30分間継続した。田の原観測点(剣ヶ峰の南東約3km)の傾斜計では、微動の発生直後の11時45分頃から山側上がりの変化を、11時52分頃から山側下がりの変化を観測した。

この噴火災害により、死者57名、行方不明者6名、重傷29名、軽傷40名(平成26年10月23日現在)の人的被害が発生した。

<2> 各府省庁等の対応

9月27日14時30分、内閣総理大臣は関係省庁に対し、<1>早急に被災状況の把握を行うこと、<2>被災者の救助に総力を挙げるとともに、避難誘導等登山者や住民の安全の確保に万全を期すこと、<3>火山の観測を強化し、登山者及び住民に対する迅速的確な情報提供を行うことを指示した。

総理指示を踏まえ、直ちに関係省庁担当者会議を開催し、噴火概要及び被害状況等の確認を行うとともに、16時40分には、内閣府特命担当大臣(防災)出席のもと、関係省庁災害対策会議を開催し、今後の火山活動の見通し及び被害状況並びに各省庁の対応状況について情報共有を行った。また、夕方以降、関係閣僚会議、関係省庁局長級会議を開催し、政府一体となって対応に万全を期すことを確認した。

9月28日、内閣府副大臣(防災担当)を団長とする政府調査団を長野県へ派遣し、ヘリコプターで上空から御嶽山火口付近の噴火や降灰の状況、警察、消防、自衛隊による救助活動の様子等を調査するとともに、被災自治体の首長等から被災状況等の聴取、救助・捜索活動、安否不明者の特定、二次災害の防止、火山活動の監視・情報提供等について意見交換を行った。

同日13時00分、内閣府特命担当大臣(防災)出席のもと、関係省庁災害対策会議(第2回)を開催し、長野県知事及び名古屋大学大学院教授とのテレビ会議を行うとともに、今後の火山活動の見通し及び被害状況並びに各省庁の対応状況について情報共有を行った。

同日17時00分、御嶽山の噴火により多数の犠牲が生じており、なお多数の行方不明者が存在するという事態を踏まえ、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第24条第1項の規定に基づき、平成26年(2014年)御嶽山噴火非常災害対策本部(本部長:内閣府特命担当大臣(防災))を格上げ設置するとともに、長野県庁に内閣府大臣政務官(防災担当)を本部長とする非常災害現地対策本部を設置することを決定した。

同日19時00分、非常災害対策本部長出席のもと、第1回非常災害対策本部会議を開催し、内閣府副大臣(防災担当)による政府調査団の報告を行った。また、名古屋大学大学院環境学研究科教授とテレビ会議を行うとともに、今後の火山活動の見通し及び被害状況並びに各省庁の対応状況について情報共有を行い、災害応急対策に関する基本方針として、<1>引き続き、行方不明者の安否確認、救助に全力を尽くすこと、<2>噴石、火山ガス、土石流発生などによる二次災害を防止し、救助活動の安全確保に万全を期すこと、<3>火山活動に対する徹底した監視体制を確保し、さらなる被害の拡大防止を図ることを決定した(非常災害対策本部会議は計15回開催)。

10月11日、内閣府特命担当大臣(防災)を団長とする政府調査団を長野県へ派遣し、ヘリコプターで上空から御嶽山火口付近の噴火や降灰の状況、警察、消防、自衛隊による捜索活動の状況等を調査するとともに、被災自治体の首長等から被災状況等の説明聴取、火山活動の監視体制、専門家の育成、風評被害対策等についての意見交換を行った。

10月28日、今回の噴火を教訓に、こうした火山災害を二度と起こさないよう、非常災害対策本部において「火山噴火に関して緊急的に行う主な被害防止対策」を決定した。決定の内容は緊急、中期的、継続的な取組にそれぞれ分かれており、<1>緊急の取組として、情報伝達手段や避難施設の整備状況に関する緊急調査の実施、常時観測47火山全てにおける火山防災協議会の平成26年度内の設置、登山者や旅行者に対する適切な情報提供と安全対策等を、<2>中期的な取組として、避難施設の整備、救助体制の強化、火山観測体制の更なる強化と調査研究の推進を、<3>継続的な取組として、火山災害に対する防災教育の推進、火山防災訓練の推進を、関係省庁において実施することが取りまとめられている。

現地では、長野県知事からの災害派遣要請に基づき、延べ7,150名(※実際に現場で活動した人数)余りの自衛隊が人命救助や関係機関職員の輸送等を実施した。警察、消防、自衛隊は、9月27日から10月16日までの期間、900~1,900名・日余りの態勢で捜索救助活動を実施した。長野県公安委員会からの援助の要求に基づき、延べ約1,100名の警察災害派遣隊員等が行方不明者の捜索を実施したほか、警察用航空機(ヘリコプター)による情報収集を実施した。また、長野県内の消防機関(地元消防本部・消防団、県内応援消防本部)は延べ約3,000名が救助活動等を実施するとともに、長野県知事からの派遣要請に基づき、消防庁長官の求めにより1都5県(東京都、愛知県、静岡県、山梨県、富山県、岐阜県)から延べ約4,300名の緊急消防援助隊が出動し、山頂付近等で検索、救助、搬送活動等を実施した。国土交通省のTEC-FORCEは延べ270名余りを現地へ派遣するとともに、災害対策用機械等を延べ200台・日余り派遣し、救助・下山支援及び被災状況把握、応急対策等を実施した。

この噴火災害により、長野県木曽郡木曽町、王滝村に対して、災害救助法が適用(9月27日適用)された。

15-5 長野県北部を震源とする地震

<1> 災害の状況

平成26年11月22日22時08分に、長野県北部でM6.7の地震が発生し、長野県長野市、小谷村、小川村で震度6弱、長野県白馬村、信濃町で震度5強を観測したほか、中部地方を中心に、東北地方から中国地方の一部にかけて震度5弱~1を観測した。

この地震により、負傷者46人、住家全壊77棟、住家半壊137棟などの被害を生じた。また、ライフライン関係では、中部電力管内の延べ1,780戸で停電が発生し、長野県や新潟県の最大1,288戸で断水に見舞われた。

<2> 各府省庁等の対応

政府では、地震発生直後から、緊急参集チームを招集し、事態把握と対処方針の確認を行うとともに、発生後直ちに情報先遣チームを長野県庁へ派遣した。

翌23日早朝には、内閣府大臣政務官(防災担当)を団長とする政府調査団を長野県へ派遣し、長野県知事等から被災状況の説明を受け、救助活動、二次災害の防止、避難者への対応、インフラ・ライフラインの早期復旧等について意見交換を行うとともに、自衛隊のヘリコプターで上空から白馬村・小谷村の被害状況等を調査した。

同日9:00には、内閣府特命担当大臣(防災)出席のもと、関係省庁災害対策会議を開催し、長野県知事とテレビ会議を行うとともに、被害状況及び各省庁の対応状況について情報共有を行った(以降、同会議を計2回開催)。

また、11月24日には、内閣総理大臣が長野県を訪問し、被災現場を視察するとともに、避難者等と意見交換を実施した。12月2日には、内閣府特命担当大臣(防災)を団長とする政府調査団を派遣し、地元自治体の首長等との意見交換等を実施した。

この地震により、長野県白馬村、小谷村、小川村に、災害救助法が適用(11月22日適用)されたほか、長野県白馬村、小谷村に、被災者生活再建支援法が適用(11月22日適用)された。

また、「平成26年11月22日の地震による災害」について、長野県白馬村及び小谷村を対象とする激甚災害に指定し、当該災害に適用すべき措置(公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置、小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等)を指定した(12月16日閣議決定、12月19日公布・施行)。

現地では、長野県知事からの災害派遣要請に基づき、延べ140名(※実際に現場で活動した人数)余りの自衛隊が給水支援などを実施した。また、長野県公安委員会からの援助の要求に基づき、延べ約700名の警察災害派遣隊員等が避難誘導、安否確認活動を実施した。また、長野県内の消防機関(地元消防本部・消防団、県内応援消防本部・消防団)は延べ約3,100名が情報収集活動、安否確認活動等を実施するとともに、長野県知事からの派遣要請に基づき、消防庁長官の求めにより1都5県(東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、富山県、新潟県)から延べ約100名の緊急消防援助隊が出動し、消防防災ヘリコプターを中心とした情報収集活動、安否確認活動等を実施した。また、国土交通省のTEC-FORCEを延べ580名余り派遣するとともに、災害対策用機械等を延べ290台・日余り派遣し、被災状況の調査及び応急復旧の支援等を実施した。

15-6 平成26年12月からの大雪

<1> 災害の状況

平成26年12月から平成27年3月にかけては、低気圧の発達と、それに伴う冬型の気圧配置が一時的に強まったことから、北海道太平洋側東部と東日本日本海側山沿いを中心に、アメダス地点(積雪観測323地点)の半数以上において最深積雪が平年を上回った。年最深積雪としては、宇登呂(うとろ:北海道)、桧枝岐(ひのえまた:福島県)、信濃町(しなのまち:長野県)など12地点で、観測史上1位の値を更新した。

今冬期(平成26年12月から平成27年3月)の大雪等により、全国で死者83名、重傷460名、軽傷569名の人的被害が発生し、全壊9棟、半壊12棟、一部破損186棟、床上浸水5棟、床下浸水22棟の住家被害が生じた。

<2> 各府省庁等の対応

本格的な冬期を迎え、政府では、12月3日に今冬期の大雪等への対応に係る関係省庁災害警戒会議を開催し、今後の気象状況の見通し及び被害・対応状況等について情報共有を行うとともに、今後の対応に万全を期すことを確認した。

12月5日には、大雪への対応について、以下のとおり、内閣府特命担当大臣(防災)から国民への呼びかけを行った。

  1. 明日(6日)にかけて、北日本から西日本の日本海側では広い範囲で雪となる見込みで、特に5日夜から6日にかけては北陸地方や西日本の日本海側を中心に大雪となるおそれがあります。一部の地域では、すでに大雪となっており、高速道路や主要国道が通行止めとなるほか、車両の立ち往生が発生しています。
  2. 今後、大雪等が予想される地域では、できるだけ車の運転を避け、やむを得ず運転する場合には、車が立ち往生しないよう、スタッドレスタイヤやチェーン等を早めに装着して下さい。
  3. なお、毎年、屋根の雪下ろし中の転落で、100名近い方がなくなられるなど、除雪作業中の事故が絶えません。除雪作業を行う場合は、1人では作業せず、家族や近所の方に声をかけて、命綱やヘルメットの正しい着用・はしごの固定など、十分注意して行うようお願いします。

また、同日、立ち往生車両が発生した四国地方及び中国地方では、国道192号及び国道54号で改正災害対策基本法(11月21日施行)を初適用し、立ち往生車両の移動を実施した。

12月6日、北陸や西日本を中心に大雪等となり、車両の立ち往生や孤立が発生している事態を踏まえ、内閣府特命担当大臣(防災)出席のもと、大雪等の被害に係る関係省庁災害対策会議を開催し、被害状況及び各省庁の対応状況について情報共有を行った。

同日、徳島県知事からの災害派遣要請に基づき、延べ1,390名(※実際に現場で活動した人数)余りの自衛隊が、倒木等による孤立集落解消のための道路啓開、安否確認支援、避難支援、人員・物資の輸送、停電復旧支援等を実施した。また、12月5日からの大雪に伴い、徳島県警察を始め、各県警察において、降雪による車両の立ち往生事案に係る交通規制、警察ヘリによる孤立地区等の状況確認及びヘリテレ映像送信、機動隊員等による孤立地区住民の安否確認等を実施したほか、国土交通省のリエゾン、TEC-FORCEが徳島県三好市等において自治体支援や除雪作業を実施した。

12月8日、内閣府特命担当大臣(防災)出席のもと、関係省庁災害対策会議(第2回)を開催し、被害状況及び各省庁の対応状況について情報共有を行うとともに、以下のとおり確認した。

  • 大雪等への対応にあたって、孤立が長期化していることを踏まえ、以下のとおり、地方公共団体と連携しながら、関係省庁一体となって、対応に万全を期することとする。
    1. 孤立状態にある地域の住民の安否確認について、さらなる徹底を図るとともに、必要な物資の供給等を行うこと。
    2. 道路啓開に全力を挙げ、孤立状態の早期解消を図ること。
    3. 事業者と連携し、停電の早期復旧を行うこと。

12月9日、内閣府特命担当大臣(防災)を団長とする政府調査団を徳島県へ派遣し、被災自治体の首長等と意見交換を行うとともに、被災現場の調査を実施した。また、関係省庁災害対策会議を開催し、被害状況及び各省庁の対応状況について情報共有を行った。

12月10日、内閣府特命担当大臣(防災)出席のもと、関係省庁災害対策会議を開催し、政府調査団による調査結果報告を行うとともに、今後の気象状況の見通しや、被害状況及び各省庁の対応状況について情報共有を行い、今後の対応に万全を期すことを確認した。

12月11日、大雪への対応について、以下のとおり、内閣府特命担当大臣(防災)から国民への呼びかけを行った。

  1. 今後、北日本から西日本の日本海側は平地を含め雪となり、大雪となるおそれがあります。また、東北地方から西日本にかけての太平洋側でも雪が降り、積雪のおそれがあります。北海道では、暴風や猛ふぶき、高波に警戒が必要です。
  2. 先週の大雪では、道路の通行止めや車の立ち往生が発生しました。大雪等が予想される地域では、できるだけ運転を避け、やむを得ず運転する場合には、スタッドレスタイヤやチェーン等を早めに装着して下さい。
  3. また、孤立状態や停電、電話が不通となる事例がありました。孤立のおそれがある地域の皆様は、食料、水、燃料等の備蓄、通信手段の確認などの準備をお願いします。
  4. なお、毎年、屋根の雪下ろし中の転落や除雪用機械への接触などの除雪作業中の事故により、100名近い方がなくなられています。除雪作業を行う場合は、1人では作業せず、家族や近所の方に声をかけて、命綱やヘルメットの正しい着用・はしごの固定など、十分注意して行うようお願いします。

さらに、12月16日には、暴風雪等への対応について、以下のとおり、内閣府特命担当大臣(防災)から国民への呼びかけを行うとともに、翌17日に、内閣府特命担当大臣(防災)出席のもと、暴風雪等への対応に係る関係省庁災害警戒会議を開催し、今後の気象状況の見通し及び被害・対応状況等について情報共有を行うとともに、今後の対応に万全を期すことを確認した。

  1. これから北日本から西日本の広い範囲で大荒れの天気となり、特に、北海道地方では雪を伴った猛烈な風が吹き、見通しが全くきかない猛吹雪となるおそれがあります。
  2. 昨年3月には北海道で暴風雪のなか、走れなくなった車を離れて凍死するなど、9名の方が犠牲となられました。こうした被害を出さぬよう、不要不急の外出は控えてください。
  3. 万一、車の運転中に視界がきかないなど、危険を感じたら、速やかに安全な場所に停車してください。また、動けなくなった場合は、すぐに救助を依頼して、車の中で待機してください。その際、車の排気口周辺に雪がたまると一酸化炭素中毒のおそれがあるので、排気口周辺を定期的に除雪するようにしてください。
  4. 最新の気象情報に注意して、身の安全を確保されるようお願いします。

12月26日、安倍内閣総理大臣出席のもと、今後の雪害対策に関する関係閣僚会議を開催

し、年末年始も含め、雪害から国民の生命、暮らしを守るため、万全を期すことを確認するとともに、以下のとおり、内閣府特命担当大臣(防災)から国民への呼びかけを行った。

  1. 12月30日以降、年末年始は、日本海側を中心に断続的に雪が降り続き、降雪量がかなり多くなるおそれがあり、注意が必要です。
  2. 年末年始は、帰省や旅行など多くの方が移動されます。普段、雪の少ない地域でも大雪となることもありますので、車を運転される際は、油断することなく、スタッドレスタイヤやチェーンなどの準備をお願いします。また、公共交通機関で移動される方は、事業者からの運行情報を確認し、余裕をもって行動していただくようお願いします。
  3. 今年も、屋根の雪下ろし中の転落や落雪及び流雪溝への転落などにより、24名の方がお亡くなりになられています。除雪を行う際には、1人で作業せず、家族や近所の方に声をかけて、命綱やヘルメットの正しい着用など十分注意して行うようお願いします。

また、国土交通省のTEC-FORCEを延べ30名余り、除雪機械を延べ50台・日余り派遣し、除雪作業の支援等を実施した。

今冬期の大雪等により、徳島県三好市、美馬郡つるぎ町、三好郡みよし町に災害救助法が適用(12月8日適用)された。


出典:内閣府作成資料


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