平成27年版 防災白書|第2部 第2章 1 災害一般共通事項


第2章 科学技術の研究

1 災害一般共通事項

(1)総合科学技術会議による防災科学技術研究の推進

総合科学技術会議においては、科学技術基本計画及び科学技術イノベーション総合戦略等に基づき、防災・減災機能強化のための科学技術研究、危機管理技術等の研究開発の推進をした。

(「内閣府設置法の一部を改正する法律」が平成26年5月19日に施行されたことにより、「総合科学技術会議」は「総合科学技術・イノベーション会議」に改組された。)

(2)防災リモートセンシング技術の研究開発

独立行政法人情報通信研究機構においては、航空機等からの先端リモートセンシング技術の高性能化を進めるとともに、総務省においては、航空機搭載合成開口レーダーの小型化のための研究開発を行った。

(平成25年度決算額 875百万円 ※この他に情報通信研究機構運営費交付金の内数)

(3)耐災害ICTに関する研究開発

独立行政法人情報通信研究機構においては、東日本大震災の被災地である東北地方に平成24年4月に設立した「耐災害ICT研究センター」において、ワイヤレスメッシュ技術やSNSへの投稿情報の分析技術等、災害対応に資する情報通信技術の研究を推進した。

(4)消防防災科学技術研究推進制度(競争的資金制度)による研究促進

消防庁においては、消防防災科学技術に係る総合的な研究を促進するため、消防防災科学技術研究推進制度(競争的資金制度)により研究の推進を図った。

(平成25年度決算額 178百万円)

(5)防災科学技術の推進

文部科学省においては、科学技術基本計画(平成23年8月閣議決定)等に基づき、防災科学技術の推進を図った。

独立行政法人防災科学技術研究所においては、防災科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発を行うとともに、内外の防災科学技術資料の収集・整理及び提供を行った。

(6)衛星等による自然災害観測・監視技術

文部科学省においては、航空機観測の活用やセンチネルアジア等の枠組を用い、災害等による被災地の画像を取得・提供する事で、災害状況把握に貢献。また、「だいち」の後継機「だいち2号」の打ち上げを平成26年5月に成功し、11月より本格運用開始。

(平成25年度決算額 運営費交付金 109,769百万円の内数)

(7)災害リスク情報プラットフォーム

独立行政法人防災科学技術研究所においては、各種自然災害情報を集約するとともに、災害リスク・ハザード評価手法や利活用手法の開発等を推進した。また、地震動予測・地震ハザード評価手法の高度化や津波ハザード評価手法の研究を行った。

(8)地域防災対策支援研究プロジェクト

文部科学省においては、全国の大学等における理学・工学・社会科学分野の防災研究成果を一元的に提供するデータベースを構築すると共に、地元の大学等による防災研究成果の展開を図り、地域の防災・減災対策への研究成果の活用を促進した。

(平成25年度決算額 50百万円)

(9)農作物、農業用施設等の災害防止等に関する研究

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構、独立行政法人農業環境技術研究所においては、耐冷性、耐寒性、耐湿性品種の育成、冷害、雪害、風害、凍霜害、湿害、干害、高温障害等の作物への気象災害の防止技術に関する研究を行った。

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構においては、農地の地すべり防止に関する研究、異常降雨・大規模地震による災害の軽減対策に関する研究を行った。また、農業用施設等の災害に伴う周辺地域への影響予測に関する調査を行った。

(10)漁港・海岸及び漁村における防災技術の研究

独立行政法人水産総合研究センターにおいては、漁港漁村の防災機能を強化するために、大規模な地震・津波に耐える漁港施設・海岸保全施設の研究等を行った。

(11)寒冷地における沿岸防災に関する研究

独立行政法人土木研究所においては、寒冷地における沿岸域の安全確保のため、流氷来襲地域における冬期の津波防災に関する研究及び沿岸施設の安全性評価に関する研究を行った。

(12)船舶における防災技術の研究

独立行政法人海上技術安全研究所においては、リスクベースの安全性評価手法の構築のための研究、船舶の事故を再現することによる事故原因分析手法の構築のための研究等を行った。

(13)港湾・海岸及び空港における防災技術の研究

独立行政法人港湾空港技術研究所においては、安全・安心な社会を形成するために、次の研究を行った。

  • 大規模地震・津波から地域社会を守る研究
  • 気候変動が高波・高潮・地形変化に及ぼす影響の評価と対策に関する研究
(14)災害等緊急撮影に関する研究

国土地理院においては、関係機関の迅速な災害対応に資することを目的に、デジタル航空カメラに加えて、火山観測に特に有効な航空機SAR(映像レーダ)等により、地震、火山噴火、水害等の被災状況を迅速に把握・提供する検討を行った。

(平成25年度決算額 92百万円)

(15)超過外力と複合的自然災害に対する危機管理に関する研究

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、超過外力と複合的自然災害に係る被害低減対策を推進するため、災害発生シナリオ構築手法及び災害リスクと影響度の分析手法、並びに地震と洪水の複合災害時の基幹防災施設の効果の評価手法を開発した。

(平成25年度決算額 25百万円)

(16)気象・水象に関する研究

気象庁においては、気象研究所を中心に気象業務に関する技術の基礎及びその応用に関する研究を推進した。特に気象観測・予報については、集中豪雨等の監視・予測技術に関する研究等を行った。また、地球温暖化対策の推進に資するため、数値モデルを開発した。

(平成25年度決算額 938百万円)


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