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平成27年版 防災白書|第1部 第2章 第1節 1-2 首都直下地震対策について


1-2 首都直下地震対策について

(1)被害想定等の検討

首都直下地震対策については、これまで平成17年9月に中央防災会議で決定された「首都直下地震対策大綱」をもとに、各省庁、地方公共団体、事業者等が各種施策を推進してきた。

このような中、平成23年3月に発生した東日本大震災の教訓を踏まえ、今後の想定地震・津波の考え方として「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大地震・津波」を検討すべきであるとされたことを受け、平成24年5月に「首都直下地震モデル検討会」を内閣府に設置し、これまで首都直下地震対策の対象としてこなかった相模トラフ沿いの大規模地震も含め、様々な地震を対象に加え、最新の科学的知見に基づく地震・津波モデルの検討が行われた。

また、この結果を受け、平成24年4月に中央防災会議に設置された「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」において首都直下地震の被害想定と対策に係る検討が進められ、平成25年12月に最終報告が取りまとめられた。

なお、相模トラフ沿いではプレート境界で発生する海溝型の大規模地震(M8クラス)が200年~400年の間隔で発生しており、直近の大正関東地震から90年が経過していること、また、元禄関東地震タイプの地震もしくは最大クラスの地震については2000年~3000年の間隔で発生しており、直近のものは約300年前の元禄関東地震によるものであることから、防災・減災対策の対象とする地震は、切迫性の高いM7クラスの首都直下地震とした(図表1-2-11)。また、M7クラスの首都直下地震には様々なタイプが考えられ、どこで発生するかはわからないが、具体的な複数想定を算出するに当たっては、被害が大きく首都中枢機能への影響が大きいと考えられる都区部直下の都心南部直下地震を設定することした。

被害想定の概要は以下の通りである(図表1-2-12)。

図表1-2-11 相模トラフ沿い地震発生履歴図表1-2-11 相模トラフ沿い地震発生履歴
図表1-2-12 被害想定の概要(平成25年12月)図表1-2-12 被害想定の概要(平成25年12月)
(2)首都直下地震対策特別措置法

「首都直下地震対策特別措置法(平成25年法律第88号)」(図表1-2-13)は、平成25年11月に、首都直下地震が発生した場合において首都中枢機能の維持を図るとともに、首都直下地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的として、議員立法により制定された。同法では、政府においては、首都直下地震対策の意義、基本的な方針、講ずべき措置等を定める「緊急対策推進基本計画」及び政府の業務の継続に関する事項を定める「行政中枢機能の維持に係る緊急対策実施計画」(政府業務継続計画)を作成するとともに、地方公共団体においては、地域の実情を勘案し、地方公共団体自らの判断によって具体的な目標を定めて、様々な対策を戦略的に位置づける「地方緊急対策実施計画」等を作成することができるとし、計画的な首都直下地震対策の推進を図るものである。また、首都中枢機能の維持及び滞在者等の安全確保を図るべき地区を「首都中枢機能維持基盤整備等地区」として指定(平成26年3月現在で千代田区、中央区、港区及び新宿区)し、必要な基盤整備等を図ることとしている。指定された地区内の地方公共団体は、「首都中枢機能維持基盤整備等計画」を作成し認定を受けることにより、計画に基づく事業において特例等を受けることが可能である。

図表1-2-13 首都直下地震対策特別措置法の概要図表1-2-13 首都直下地震対策特別措置法の概要
(3)首都直下地震緊急対策区域

首都直下地震の震度分布や津波高等を踏まえ、首都直下地震により著しい被害が生じるおそれがあるため緊急に地震防災対策を推進する必要がある区域として、「首都直下地震対策特別措置法」に基づき、1都9県309市町村を「首都直下地震緊急対策区域」として指定している。具体的には、東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県並びに茨城県の一部地域でM7クラスの地震が発生した場合、または大正関東型地震・延宝房総沖地震といったM8クラスの海溝型地震が発生した場合に、次のいずれかの条件を満たす地域を指定している。なお、区域指定されていない場合でも、強い揺れや火災等により大きな被害を受けることが想定されるため、十分な防災対策を講じる必要がある(図表1-2-14)。

  • 震度6弱以上となる地域
  • 津波高3m以上で海岸堤防が低い地域
  • 広域防災体制の一体性の確保、過去の被災履歴への配慮の観点から指定が望ましい地域
図表1-2-14 首都直下地震緊急対策区域図表1-2-14 首都直下地震緊急対策区域
(4)首都直下地震緊急対策推進基本計画

平成26年3月28日、政府は、「首都直下地震対策特別措置法」に基づき、「首都直下地震緊急対策推進基本計画」(以下、首都直下基本計画という。)を閣議決定した(図表1-2-15)。その後、平成27年3月31日に同計画の変更を閣議決定したところである(図表1-2-16)。

同計画は、首都直下地震対策の被害を軽減するためには、<1>首都中枢機能の継続性を確保するための体制を構築すること、<2>予防対策及び円滑かつ迅速な応急対策の備えを計画的・戦略的に進め、“地震に強いまち”の形成を図ること、が必要不可欠としている。

これを踏まえ、政府が着実に実施すべき施策に関する基本的な方針として、

  • 首都中枢機関の業務継続体制の構築とそれを支えるライフライン・インフラの維持
  • あらゆる対策の大前提としての耐震化と火災対策、深刻な道路交通麻痺対策、膨大な数の避難者・帰宅困難者対策等
  • 社会のあらゆる構成員が連携した「自助」「共助」「公助」による社会全体での取り組みの推進
  • 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた対応

等を示している。

また、同計画に定める基準等に基づき、地方公共団体において、「首都中枢機能維持基盤整備等計画」、「地方緊急対策実施計画」、「特定緊急対策事業推進計画」が作成されることとなるため、内閣府においては、これらの計画が速やかに作成されるよう、必要な助言などの支援を行うとともに、本計画の適切なフォローアップを通じて、国、公共機関、地方公共団体、事業者、住民などが一体となった首都直下地震対策の推進を図っていくこととしている。

図表1-2-15 首都直下地震緊急対策推進基本計画の概要図表1-2-15 首都直下地震緊急対策推進基本計画の概要
(5)減災目標の設定

平成27年3月31日、政府は、首都直下基本計画の変更を閣議決定し、同計画の中に、期限を定めた定量的な減災目標を設定するとともに、当該目標を達成するための施策について具体目標等を定めた。

具体的には、定量的な減災目標として、平成27年度から今後10年間で、想定される最大の死者数を約2万3千人から概ね半減、想定される最大の建築全壊・焼失棟数を約61万棟から概ね半減させることを掲げている。

また、具体目標として、首都中枢機能の継続性の確保については、中央省庁における参集要員へ参集を指示するシステムの構築や物資の備蓄について、平成28年までに100%を目指すとの目標等を設定している。

膨大な人的・物的被害への対応については、地震による人的被害の多くは建物の倒壊や地震後の火災により生じることが想定されることから、住宅等の耐震化や家具の固定、地震時等に著しく危険な密集市街地の解消や電気に起因する出火の防止に向けた感震ブレーカー等の普及等について具体目標を設定し、その一層の推進を図ることとしている。さらに、一旦発災するとその被害拡大が懸念される石油コンビナートの防災対策の充実や円滑な復旧・復興に向けた災害廃棄物処理の迅速化等についても具体目標を設定し、その取組を強化することとしている。

図表1-2-16 首都直下地震緊急対策推進基本計画の変更概要図表1-2-16 首都直下地震緊急対策推進基本計画の変更概要

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