第2節 災害発生時の対応及びその備え
2-1 避難勧告等の判断・伝達について
内閣府では、土砂災害警戒情報など新たな防災情報の運用が開始されたことや、平成25年10月に伊豆大島で発生した土砂災害などの教訓を踏まえ、平成26年4月に「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」を改定し、空振りをおそれず早めに避難勧告等を発令することを市町村に求めるとともに、都道府県や市町村を対象とした説明会等を通じてガイドラインの周知・普及を図っていたところである(図表1-1-8)。
しかし、平成26年8月に広島市で発生した土砂災害において、避難勧告等の発令のタイミングが課題となったことを受け、内閣府及び消防庁では、同年9月に全国の地方公共団体に対し、特に土砂災害に関する避難勧告等の判断基準について、再度点検を行うよう求めた。
一方で、同年8月に兵庫県丹波市で発生した土砂災害では、災害発生が深夜であったものの、土砂災害警戒情報や都道府県が提供している防災情報などを参考に、災害発生前の早い段階で避難勧告を発令し、人的被害を最小限にとどめることができた。
このように、ガイドラインがいまだ十分に浸透していない一方で、ガイドラインに示した判断基準にしたがって避難勧告等を発令し、被害を軽減した実例もあることから、内閣府では、関係機関と連携し、引き続きガイドラインの周知を図っていくこととしている。
なお、ガイドラインでは、避難勧告等が発令された際に住民が適切な避難行動をとるためには、あらかじめ災害種別毎にどう行動すればよいか、立ち退き避難をする場合にどこへ行けば良いか、避難をする際にどのような情報に着目すれば良いかを住民一人ひとりが認識しておく必要があることから、住所・建物毎にこれらの情報を記した「災害・避難カード」を導入し、自分にとって「命を脅かす危険性」に何があるのかを確認してもらう仕組みを提案しており、今後はガイドラインの周知とともに、「災害・避難カード」の普及に向けた取組を通じて住民の防災意識の向上を図っていくこととしている(図表1-1-9)。