第2節 国連などの国際機関を通じた防災協力
国際社会における防災をめぐる議論の進展を踏まえつつ、緊急対応、災害予防、復旧・復興のそれぞれについて、国際的なメカニズムを担う組織や体制、そのための我が国の支援について述べる。
2-1 緊急対応への支援 ~OCHAを通じた調整メカニズム~
災害発生時の緊急支援では様々な国際機関が各々の分野ごとに緊急支援を行っているが、それらの全体調整を国連人道問題調整事務所(OCHA:Office for Coordination of Humanitarian Affairs)が行っている。第1章でも触れているが、1971年の国連総会決議によって国連災害救援調整官事務所(UNDRO)が設立され、その後、冷戦終了後に世界各地で地域紛争が勃発する中、1991年の国連総会決議によって、紛争によって生じた事態への支援調整も担当する国連人道支援局(DHA)へと改組され、その後1998年の国連組織改革を経て、現在の組織体制に至っている。
災害への対応については当該政府が行うことが原則であるが、その能力を超えた災害が発生した場合、国際社会に対して支援の要請がなされ、概ね以下のようにOCHAによる国際支援の調整が行われる。
<1> 災害発生時における本部/現地における国際人道支援活動の総合調整
- 災害発生国の要請を受け、国連災害評価調整(UNDAC:UN Disaster Assessment and Coordination)チームを被災国に派遣し、当該国の国連チーム、政府と連携しながら、現場の状況や支援ニーズを把握する。
- OCHAでは、現地情報を元に、災害状況レポート(Situation Report)を発行し、ドナーを含む国際社会に、緊急支援ニーズや支援実施状況等を知らせる。
- OCHAを含め、様々な国際機関の当該災害への支援活動等に係る情報を災害支援ウェブ(ReliefWeb)に掲載し、国際社会における情報共有を図る。
- 多岐にわたる大規模な支援が必要な場合には、それらを緊急アピール(Flash Appeal)としてとりまとめ、ドナーから緊急支援資金の動員を図る。
- また、初期対応として、国連中央緊急対応基金(CERF:Central Emergency Response Fund)等から、緊急対応に必要な資金を人道支援機関に速やかに提供する。
<2> 平時における災害対応調整メカニズムの維持・発展
- UNDACチームに登録されている世界各国の要員の訓練や要員拡大のために研修を実施したり、開発途上国の緊急対応能力の向上や意識啓発を図る取組を実施したりしている。
また、2016年には、初の世界人道サミットがトルコ(イスタンブール)にて開催される予定であり、それに向けて、我が国は、インドネシア及びOCHAとともに、北・南東アジア地域準備会合を平成26年7月に東京においてホストした。
我が国からOCHAへの平成26年度(2014年度)の拠出金は、約860万ドルである。