平成25年版 防災白書|第1部 第1章 3 3-2 産業復興と雇用の確保


3-2 産業復興と雇用の確保

(1)産業復興の状況と取組

被災地域の鉱工業生産は震災前の水準にほぼ回復したが,業況は経済動向の影響を受けている。震災復興特別貸付等による資金繰り支援のほか,グループ補助金や仮設店舗・仮設工場の整備・無償貸与等により支援し,水産加工施設や中小企業等の事業再開を図ってきたところである。なお,農業は,被災農地の63%で営農再開が可能となる見込みであり(平成25年3月末時点),水産業は,被災3県の主要魚市場の水揚げ数量が震災前の約7割に達している(図表1-1-8)。

図表1-1-8 鉱工業生産指数の動き(左)と農業・水産業の復興状況(右) 図表1-1-8 鉱工業生産指数の動き(左)と農業・水産業の復興状況(右)の図表

今後は,まちづくりの本格化と商業機能の復興の同時解決,復旧と併せた先進的な農林水産業の実現,被災地内外からの新たな投資の呼び込みを推進する。

また,二重ローン問題に関し,(株)東日本大震災事業者再生支援機構や,各県の産業復興相談センター・産業復興機構が連携して,震災前の債務が負担になって新規資金調達が困難となっている事業者の再生を支援する。

(株)東日本大震災事業者再生支援機構では,平成24年3月5日の業務開始以来,これまでに1,233件の相談を受け付けており,そのうち200件の事業者に対して,債権買取等の再生支援を行う旨の決定をしている(平成25年5月31日時点)。

一方,各県の産業復興相談センターにおいては,2,189件の事業者からの相談に対応しており,そのうち対応を終了したものは1,923件となっている。主な実績は,金融機関等による金融支援について合意したもの308件,うち債権買取は128件となっている(平成25年度5月24日時点)。

(2)雇用確保のための取組

被災地の雇用情勢は,有効求人倍率が3県ともに1倍程度となっており,雇用者数は震災前の水準程度まで回復している。しかし,沿岸部では,有効求人倍率は高いものの,人口の減少,復旧・復興の遅れにより,雇用者数は震災前の水準まで回復しておらず,また,建設業等においては,雇用のミスマッチが発生している。今後も,本格的な雇用創出を図るため,被災地の強みである農林水産業等への産業政策と一体となった雇用面での支援,ハローワークにおけるきめ細かな就職支援や職業訓練への誘導等を通じたミスマッチの解消に努め,雇用の改善を図っていく(図表1-1-9)。

図表1-1-9 雇用創出のための取組 図表1-1-9 雇用創出のための取組の図表

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