(5)復旧・復興の枠組み強化


(5)復旧・復興の枠組み強化

東日本大震災からの復旧・復興においては,上述のとおり,応急的な復旧がおおむね進み,本格的な復旧に着手されているが,一方で,復興段階の制度的な枠組みがなく時間がかかる,時間の経過とともに重点課題が変化することあり,必ずしも迅速な対応が取れていないとの指摘もある。

これを踏まえ,今後,復旧・復興分野において,以下のような課題に取り組むべきである。

<1> 復興の基本的枠組み

これまで阪神・淡路大震災,東日本大震災復興における復興の基本的枠組みについては,その都度特別立法により,その整備が図られてきたところである。勿論,復興理念などについては,災害によって違い,このような特別立法により対応することには一定の意義があるが,一方では組織体制などについては,災害による違いはさほど大きくなく,速やかな復興への着手のためには,あらかじめ復興の基本的枠組みを用意すべきとの指摘もある。

このため,現在ほとんどないと言ってもいい「災害対策基本法」における復興の位置付けも含め,大規模災害における復興に関する制度的枠組みについて検討すべきである。

<2> 復旧に係る諸制度の整備

今日の東日本大震災においては,迅速な復旧のために,様々な事業上の特例や特別の財政上の措置が講じられたところである。このような特例は,個々の災害の実態に応じて適切な方法・内容を選択すべきとの観点から,今回も,東日本大震災に限定した制度として整備されたものである。

一方で,これについても,その都度特別な立法措置に時間を要することで,必ずしも迅速な対応がとれなかったとの指摘もなされているところである。「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」が,阪神・淡路大震災における特別措置の一般制度化として実現したように,今回の東日本大震災における各種の特例措置の一般制度化について,真剣で十分な検討が必要である。

<3> 災害廃棄物の処理

今回の東日本大震災でも明らかなように,災害廃棄物の円滑な処理は,迅速な復旧・復興に必要不可欠である。

災害時には,極めて膨大な災害廃棄物が発生し,被災した市町村単独での処理が困難となり,道路閉塞等により応急活動や復旧・復興の阻害要因となり得るほか,環境面からも復興の大きな課題となる。

このため,災害廃棄物発生量を事前に検討するほか,被災地内における災害廃棄物の仮置き場所の確保に加え,広域的な処理体制,最終処分場の確保等について,地方公共団体及び災害廃棄物を受け入れる可能性がある他地域の地方公共団体を交えた連携が必要であり,国の関与の在り方も含め,こうした災害廃棄物処理に関する調整の仕組みの整備が必要である。

また,建物の解体・撤去について,私有財産である災害廃棄物の処理に関し,公費による解体も含め行政による支援をどの程度実施するかについては,被災地の状況や補修・再建への支援体制等を踏まえ,その是非や方法等について検討する必要がある。


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.