1 原子力発電所事故への対応


第2章 原子力災害への対応

1 原子力発電所事故への対応

平成23年3月11日,東北地方太平洋沖地震とそれが引き起こした津波により,東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所において,原子力緊急事態が発生した。これを受けて,同日,政府は,原子力緊急事態宣言を発出するとともに,原子力災害対策本部を設置した。

また,3月15日には,福島第一原子力発電所の事故に対し,政府と東京電力が,一体的に対応するため福島原子力発電所事故対策統合本部を設置した。(5月9日,原子力災害対策本部の下,政府・東京電力統合対策室と改組)。

4月17日には,事故の収束を計画的に進めるため,「福島第一原子力発電所・事故収束に向けた道筋」(以下「道筋」という。)が取りまとめられた。この道筋では,「原子炉および使用済燃料プールの安定的冷却状態を確立し,放射性物質の放出を抑制することで,避難されている方々のご帰宅の実現および国民が安心して生活できるよう全力で取り組むこと」を基本的考え方とし,道筋公表後3か月程度までの目標としてステップ1(放射線量が着実に減少傾向となっていること),ステップ1完了後3〜6か月程度までの目標としてステップ2(放射性物質の放出が管理され,放射線量が大幅に抑えられていること)がそれぞれ設定された。その後,7月19日の原子力災害対策本部において,モニタリングポスト等が示す放射線量が減少傾向であること,また放射性物質の放出量が事故当初と比較して十分に減少していることから,ステップ1の完了とステップ2への移行を確認した。また,12月16日の原子力災害対策本部において,原子炉が冷温停止状態に達し,不測の事態が発生した場合も敷地境界における被ばく線量が十分低い状態を維持できていることから,ステップ2が完了したことを確認した。

ステップ2完了後の廃炉に向けた取組については,12月16日の原子力災害対策本部において,経済産業大臣及び原子力発電所事故収束・再発防止担当大臣を議長とする政府・東京電力中長期対策会議を設置し,政府と東京電力が一体となって廃炉に向けた取組を実施することとした。12月21日に第1回政府・東京電力中長期対策会議を開催し,「東京電力(株)福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」を決定した。当該ロードマップにおいては,廃止措置終了までの期間において,今後実施する主要な現場作業,研究開発等のスケジュールを策定した。

福島第二原子力発電所については,3月15日までに全号機が冷温停止した。その後,継続的な応急復旧が行われ,冷温停止を維持するための安全対策が講じられていることが確認されたことから,12月26日に内閣総理大臣が同発電所に係る原子力緊急事態解除宣言を行った。

また,経済産業省原子力安全・保安院では,今般の事故等を踏まえ,他の原子力発電所について安全確保対策を講じるよう,各事業者に対して指示を行った。具体的には,3月30日に,全交流電源喪失に至ったとしても,炉心損傷等の深刻事態を回避し,冷温停止状態に繋げるため,緊急時の電源確保等の緊急安全対策を指示した。4月15日には,外部電源の信頼性の向上を図るため,複数ルート回線の確保,開閉所の耐震性確保等を指示した。6月7日には,万一シビアアクシデントが発生した場合でも迅速に対応するため,事故時の通信・管理機能確保,放射線防護体制の強化を指示した。これらの指示に基づく実施状況については,現場確認を実施する等,評価・確認を行った。


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