(3)災害廃棄物処理


(3)災害廃棄物処理

東日本大震災では,特に津波により,岩手県,宮城県及び福島県において膨大な量の災害廃棄物が発生した。環境省の推計によれば,これら3県の沿岸市町村で発生した災害廃棄物の量は,岩手県で525万t,宮城県で1,154万t及び福島県で201万tであり,3県合計で1,880万tに及んだ。

これらの災害廃棄物をいち早く撤去し適切に処分するため,制度面においては,所有者等との連絡が取れない損壊家屋等の撤去等に関する指針や有害廃棄物等の取扱を定め,各地方公共団体に周知を図るとともに,「東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法」を制定し,国が,被害を受けた市町村に代わって災害廃棄物を処理できる制度を創設した。

また,財政面においては,災害廃棄物処理事業の国費率のかさ上げと,基金の活用により,平均で事業費の95%を国費で負担することとし,残りを震災復興特別交付税で措置することにより市町村負担が実質的に生じないようにした。

さらに,地方公共団体への支援として,上記のほか,「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)」の策定,3県への環境省廃棄物関係職員の常駐,沿岸市町村への環境省職員・研究者・技術者チームの巡回訪問及び災害廃棄物仮置場等として未利用国有地等の無償貸付を行った。

撤去された災害廃棄物は,まずは仮置場に搬入され,その後,破砕・選別等によりリサイクル,焼却やセメント焼成,埋立処分等により処理・処分される。居住地近傍に散乱していた災害廃棄物については,平成23年8月末までに福島県の警戒区域内の市町村を除く全ての沿岸市町村で仮置場への搬入が完了した。平成24年5月21日時点で災害廃棄物全体の仮置場への搬入率は79%となっており,残る21%については,そのほとんどが今後解体される家屋や建物から生じる廃棄物となっている。また最終的に処理・処分された量は291万tであり,全体の15.5%となっている。

政府は平成26年3月末までに災害廃棄物の処理を終えることを目標としており,被災地においては,既存の廃棄物処理施設を最大限活用し,また仮設焼却炉の設置を行う等,処理の加速化を図っている。しかしながら,被災地だけでは処理能力が不足していることから,県外の既設の焼却炉や処分場を活用した広域処理や,公共事業における再生資材の活用に向けた取組を進めている。

図表1-1-12 災害廃棄物処理の状況 図表1-1-12 災害廃棄物処理の状況の図表

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