2 二国間協力 2−1 技術協力


2 二国間協力

2−1 技術協力

(1)日韓及び日中消防防災体制強化の検討

消防庁においては,日韓及び日中における消防行政の現状と課題について,情報交換,改善策の検討等を行い,日韓及び日中消防の連携・協力,消防制度の発展,地方レベルでの消防交流等を推進する。

23年度予算額 5 百万円 22年度予算額 5   差引増△減 0  
(2)開発途上国への協力

外務省等関係省庁においては,我が国の持つ豊富な経験や人材,技術を活用し,引き続き技術協力,無償資金協力,有償資金協力により開発途上国に対する防災協力を行う。

(3)地震防災研究分野における日中間の新たな協力関係の構築

文部科学省においては,「地震分野における科学技術協力の強化に関する覚書」(平成21年5月)及び,独立行政法人科学技術振興機構(JST)と中華人民共和国科学技術部合同合作司(MOST)の間における「地震防災」を共同支援する研究分野とすることについての合意(平成23年5月)に基づき,今後の両国の研究協力の進展に資することを目的として,観測・予測研究,構造物の耐震技術,地震減災研究をはじめとする研究分野を推進するための体制構築を図る。また,地震調査研究推進本部と中国科学技術部,地震局等との地震調査研究の取組及び最新の成果についての定期的な意見交換会を開催する。

(4)インドネシアにおける地震・火山の総合防災策

外務省および文部科学省が連携して実施する地球規模課題対応国際科学技術協力であり,東京大学,東北大学,名古屋大学,京都大学,富士常葉大学,アジア防災センター他が,インドネシア側研究機関と実施する。当研究では,インドネシアにおける地震・津波の予測および火山噴火の予測に関する基礎的研究,災害に強い社会を作るための液状化対策などのハード的対策,社会文化面に配慮した情報伝達手法や復興施策の研究などのソフト的対策についての研究を行う。さらに,これらを社会に還元するための社会文化的背景を考慮した教育・研修手法の研究開発を実施し,政府・自治体関係者等を含む研究者コミュニティを創設して総合的な地震火山防災力の向上を図る。

(5)ブータンヒマラヤにおける氷河湖決壊洪水に関する研究

外務省および文部科学省が連携して実施する地球規模課題対応国際科学技術協力であり,名古屋大学,独立行政法人宇宙航空研究開発機構他が,ブータン側研究機関と実施する。当研究では,近年ヒマラヤで決壊洪水が危惧されている氷河湖について,主に衛星データの解析によって氷河湖の危険度に関する客観的な再評価を行う。このデータを元に,特に調査・対策が遅れているモンデ・チュー流域を対象として現地調査を行い,決壊時のハザードマップを作成するとともに,早期警戒システムの構築に関する予備的調査を行い,現地機関に対して氷河湖決壊洪水に対する防災技術の移転を進める。

(6)クロアチア土砂・洪水災害軽減基本計画構築

外務省および文部科学省が連携して実施する地球規模課題対応国際科学技術協力であり,新潟大学,特定非営利活動法人アイシーエル(ICL:国際斜面災害研究機構),京都大学がクロアチア側研究機関と実施する。クロアチアは,アドリア海に面した断層・褶曲帯にあり,複雑な地形・地質構造を有し,地震も多い。特に石灰岩,砂岩・頁岩互層(フリッシュ),泥灰岩(マール)地域で,土砂災害・局所的洪水災害(フラッシュ・フラッド)が多発している。当研究では,開発地域・社会的価値の高い地域を対象として,地盤構造・水文特性の科学的解明に立脚した,信頼しうる危険度判定方法を確立し,それに基づく災害軽減のための国土利用ガイドラインを策定する。

(7)フィリピン地震火山監視強化と防災情報の利活用推進プロジェクト

外務省および文部科学省が連携して実施する地球規模課題対応国際科学技術協力であり,独立行政法人防災科学技術研究所,名古屋大学,東海大学がフィリピン共和国側研究機関と実施する。本研究ではフィリピンにリアルタイム広帯域地震・強震・震度観測網と自動解析システムを導入し,より迅速で正確な震度分布と被害推定を行う。さらに地殻変動観測等によるミンダナオ島周辺の大地震の発生ポテンシャル評価,タール火山とマヨン火山のリアルタイム監視システムの構築を行う。これらの地震・火山情報を発信する防災情報ポータルサイトの構築とその利活用促進をあわせて行い,フィリピンの国・地方,行政・コミュニティの防災力の向上に貢献する。

(8)鉱山での地震被害低減のための観測研究

外務省および文部科学省が連携して実施する地球規模課題対応国際科学技術協力であり,立命館大学,東北大学,東京大学が南アフリカ共和国側研究機関と実施する。日本で多発する自然地震や,鉱山採掘・トンネル掘進に伴って発生する誘発地震は,人々の安全確保の面から大きな課題とされ,その発生予測や被害の制御・軽減が強く望まれている。本研究では,高感度・高精度の微小破壊(AE)観測により,被害地震の震源断層を事前にとらえ,断層極近傍の高感度歪観測で較正することで,採掘進行に伴う応力変化の数値予測精度を向上する。また,断層直近での動的応力計測により,強震動の生成機構を解明する。

(9)自然災害の減災と復旧のための情報ネットワーク構築に関する研究

外務省および文部科学省が連携して実施する地球規模課題対応国際科学技術協力であり,慶應義塾大学,東京大学がインド側研究機関と実施する。本研究では,日本とインドを例として,グローバルな情報ネットワークを活用して地震・気象データなどの継続的収集・分析基盤を構築するとともに,災害発生時の救援・救出活動支援および復旧・復興支援に供する技術基盤を開発する。

(10)ペルーにおける地震・津波減災技術の向上に関する研究

外務省および文部科学省が連携して実施する地球規模課題対応国際科学技術協力であり,千葉大学,東北大学,独立行政法人建築研究所,東京工業大学がペルー共和国側研究機関と実施する。本研究では,ペルーにおける地震・津波災害の軽減を図るため,震源モデルによる地震動予測及び地震観測や微動観測に基づいた地盤ゾーニング,海底地形などを考慮した津波シミュレーションとその結果をまとめた津波減災対策の提示,建物現況調査及び耐震補強効果検討のための構造実験・数値解析,リモートセンシングに基づいた空間基盤データ構築と災害把握手法の開発と地震被害予測,シナリオ地震・津波の被害予測結果に基づいた地域減災計画作成を実施する。

(11)カメルーン火口湖ガス災害防止の総合対策と人材育成

外務省および文部科学省が連携して実施する地球規模課題対応国際科学技術協力であり,東海大学等がカメルーン側研究機関と実施する。カメルーンでは1980年代のニオス湖とマヌーン湖での湖水爆発後,ガス災害の再発が懸念されている。湖水爆発を防止するために,湖に溶存しているガスを人為的に除去する作業が進められているが,マグマからのCO2の供給速度やCO2の除去量を見積もるためのモニタリングは行われておらず,湖水爆発のメカニズムの詳細についても解明されていない。両湖で湖水に関する地球化学的研究を行い,CO2流動系と噴火履歴解明を進める。さらに湖水爆発の数値シミュレーションを行い,爆発メカニズムを解明することで,湖の監視体制の確立や防災に向けた総合対策の提案を図る。これらの共同研究を通じて,カメルーンの研究者のキャパシティ・ビルディングを図り,両湖のガス災害を予測するために,湖の観測・研究を継続・発展できる体制の確立を目指す。

(12)マレーシアにおける地すべり災害および水害による被災低減に関する研究

外務省および文部科学省が連携して実施する地球規模課題対応国際科学技術協力であり,千葉大学等がマレーシア側研究機関と実施する。近年,マレー半島では急激な都市化および温暖化による影響が起因していると思われる集中豪雨が多発しているが,地すべり災害・水害に関してその調査や観測データが不足しており,被災低減策が立ち後れている。マレーシア国内で都市化が著しい地域を対象に,衛星データや無人航空機を使用した現地観測を行うとともに,地すべり災害・水害に関する地形要因,発災歴,降水量などの統計データを収集・評価し,統合データベースとして構築することを目指す。また,地すべり災害・水害の発生危険域と危険度の評価,地図化,事前対策や早期警戒・避難などの被災低減化を支援するシステムの構築を図り,東アジア諸国における日本の科学技術の貢献を目指す。

(13)気候変動・防災対策の総合的推進

国土交通省においては,気候変動問題にとりわけ脆弱な途上国等を対象に,気候変動・防災対策に関する全体計画の策定,緊急性の高いプロジェクトの実現支援を行うほか,地球地図のグローバルスタンダード化や気候変動に関する多国間セミナーの開催等を行うことにより,関係諸国の気候変動対策の立案能力の向上を図る。

23年度予算額 29 百万円 22年度予算額 39   差引増△減 △10  

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内閣府政策統括官(防災担当)

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