1 チリ中部沿岸を震源とする地震による津波


第2部 平成22年以降に発生した主要な災害とその対策等

ここでは,平成22年以降に発生した東日本大震災以外の災害について述べる。平成22年は風水害による被害が顕著であった。台風については,発生数が14個と1951年の統計開始以降最も少なかったものの,梅雨前線が停滞したため,多くの人的被害や住家被害等が発生した。また,鹿児島県奄美地方においては,大雨の影響で電力の供給停止や通信の途絶が多数発生したことにより,住民等の安否や集落等の安全等について確認が困難となった。火山噴火では,鹿児島県と宮崎県の境に位置する霧島山の新燃岳が噴火し,周辺地域に降灰による被害が生じた。地震及び津波については,東日本太平洋沖地震発生前においては,揺れによる大きな被害が伴うものは発生していないものの,チリ中部沿岸を震源とする地震で発生した津波により水産関係で被害が発生した。

また,林野火災による焼失面積は755ha に達した。

1 チリ中部沿岸を震源とする地震による津波

(1)災害の状況

2月27日15時34分(チリ国現地時間同日3時34分),チリ中部沿岸を震源とするマグニチュード8.8の地震が発生した。我が国では,この地震の影響から2月28日9時33分に青森県太平洋沿岸,岩手県及び宮城県に津波警報(大津波)が発表されたほか,その他の太平洋沿岸全域等に津波警報(津波)が発表された。

これによる津波は,2月28日午後から3月1日午前までの間に日本の太平洋沿岸等各地に寄せていて,高知県須崎港の検潮所で最大128cm を観測した。気象庁による現地調査により,岩手県陸前高田市両替漁港で最大1.9m の高さの津波が痕跡から推定された。

この災害では,人的被害が発生していないが,住家被害としては,宮城県及び静岡県で,床上浸水6棟及び床下浸水51棟が発生した。

避難指示・勧告は,673,708世帯に出された。

道路については,東名高速道路等で津波警報発表に伴う通行規制が行われ,最大時には,高速道路3路線,直轄国道10路線及び都道府県管理道路121路線の通行止めが発生した。

鉄道については,58路線で運転休止となった。

農林水産施設等では,津波警報(大津波)の対象となった青森県,岩手県及び宮城県を中心に養殖施設16,506台,416柵で被害が発生した。

文教施設等では,国立学校施設2校で被害が発生した。

公共土木施設(国土交通省所管分に限る。以下この部において同じ。)及び社会福祉施設では,被害は生じていない。

(2)国等の対応状況

政府においては,官邸対策室を設置するとともに,緊急参集チームを招集し,津波の状況について情報の収集・分析を行い,住民の避難と被害を最小限とするための対策に万全を期すとともに,地方公共団体との的確な連携を図りながら政府一体となって適切に対応すること等を確認した。また,内閣府等関係省庁は情報収集体制を強化して対応を行った。このほか,内閣官房長官及び内閣府特命担当大臣(防災)は,青森県知事,岩手県知事及び宮城県知事とテレビ会議を実施して対応状況の情報共有を行った。

なお,「平成22年2月28日の津波による災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」(平成22年4月20日閣議決定,平成22年4月23日公布・施行)により激甚災害として指定し,水産動植物の養殖施設の災害復旧事業に対する補助を指定した。併せて,大きな被害を受けた被災者の方々に対して必要な支援を講じ,災害復旧を促進する観点から補助対象の条件の見直しを行い,養殖施設の種類ごとに「被害額が2,000万円を超える」市町村も対象となるよう補助対象の拡大を図った。

各府省の対応は,参考資料18のとおり。


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