6 被災住民の安心・安全の確保


6 被災住民の安心・安全の確保

原子力災害対策本部では,被災した住民の安心で安全な暮らしを実現するため,以下のような対策を講じている。

(1)地域コミュニティの維持

都道府県や市町村が,避難住民の一次避難所から二次避難先や仮設住宅等への移動を進めていく際に,地域コミュニティの維持に配慮しながら進められるよう必要な支援を継続している。

(2)健康不安等への対応

被ばくに対する住民の健康不安を取り除くため,住民のスクリーニング及び除染を確実に行うことが必要であり,福島県とともに5月29日までに19万人以上に対して実施した。また,住民の健康管理が適切になされるよう,健康相談ホットラインの開設,専門家の巡回等による健康相談や心のケアを行っている。

(3)教育への支援

避難先等における子どもの就学機会の確保等を進めるほか,福島県内の教育施設における土壌等の取扱いについて,環境モニタリングの測定結果を踏まえつつ,対応を進めている。具体的には,福島県が県内(20km 圏内の警戒区域等を除く)の教育施設約1,600校を対象としたモニタリングの結果を踏まえ,放射線量測定値が比較的高かった52校について,再調査を実施した(4月14日)。当該調査結果等を受け,原子力災害対策本部において,国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection: [ICRP]と略す)の勧告等を踏まえ,「福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」をとりまとめた(4月19日)。さらに,文部科学省において放射線量を低減させる方策を検証するため,実地調査を行い(5月8日),「まとめて地下に集中的に置く方法」と「上下置換法」が有効であることを確認した(5月11日)。また,今後できる限り,児童生徒等の受ける線量を減らしていくという「暫定的考え方」に沿って,より安心して教育を受けられる環境の構築を目指して,「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」を示した(5月27日)。

(4)環境モニタリング等の充実

事故状況の全体像を把握するとともに,計画的避難区域等の設定の評価に資することなどを目的として関係機関が密接に連携して体系的に取り組むため「環境モニタリング強化計画」を策定した(4月22日)。

同計画に基づき,4月24日時点の「線量測定マップ」及び「積算線量推定マップ」を発表(4月26日)し,更新していく(5月16日に更新済み)。また,「土壌濃度マップ」についても作成することとしている。

また,農地や教育施設等における環境モニタリングに取り組むとともに,食品,水道水中の放射性物質モニタリングを実施し,必要な措置を講じている。

(5)災害廃棄物や下水処理副次産物等の取扱い

福島県内の災害廃棄物の取扱いや福島県の下水処理場において下水汚泥等から放射性物質が検出された問題に関し,原子力安全委員会からの助言も踏まえ,災害廃棄物については5月2日に,下水処理副次産物については5月12日に,当面の考え方をとりまとめた。

(6)原子力災害・被災者向け広報の充実

正確かつ迅速な事故の情報を伝えるため,毎日記者会見を開催するとともに,避難住民にわかりやすく,必要な情報を確実に届けるため,地元ラジオでの広報番組の放送や「ニュースレター」の避難所等での掲示を実施している。


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