2 被災者の避難と各区域の設定の指示等


2 被災者の避難と各区域の設定の指示等

東京電力福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所での事故を受け,周辺住民等の安全確保のため,避難区域の設定や農産物等の出荷制限など,原子力災害対策本部長による指示等が行われた。なお,避難区域の設定等については,放射線量の測定結果や,原子力発電所の状況等を踏まえ,原子力安全委員会の意見・助言も聴いた上で,住民の健康と安全の確保に万全を期す観点から決定された。

(1)避難等の指示

(a) 避難区域及び屋内退避区域の設定

東京電力福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の周辺地域の住民の健康と安全を確保するため,原子力発電所の状況等を踏まえ,原災法に基づき,原子力災害対策本部長は,福島県知事及び関係市町村長に対し,居住者等の避難のための立ち退きや屋内への退避について指示を行った(屋内退避に係る指示については,4月22日に解除された)。

なお,東京電力福島第二原子力発電所については,原子力緊急事態宣言を発令した3月12日時点と比較して重大な事故が発生することによるリスクが相当程度低下してきていることから,4月21日,同発電所から半径10km 圏内としていた避難区域を半径8km 圏内に変更した。

(b) 警戒区域の設定

原子力災害対策本部長は,東京電力福島第一原子力発電所から半径20km 圏内について,住民の安全確保に万全を期すため,原災法に基づき,福島県知事及び関係市町村長に対し,同圏内を警戒区域に設定することを指示した(4月21日)。当該指示に基づき,4月22日午前0時以降,当該区域に消防吏員,警察官,海上保安官,自衛官等の緊急事態応急対策に従事する者以外の者が市町村長の許可なく立入りを行うことは禁止された。

(c) 計画的避難区域の設定

原子力災害対策本部長は,東京電力福島第一原子力発電所の事故発生から1年の期間内に積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれのある地域については,住民の健康への影響を踏まえ,概ね1ヶ月を目途に区域外への避難を求める「計画的避難区域」に設定した(4月22日)。

(d) 緊急時避難準備区域の設定

原子力災害対策本部長は,東京電力福島第一原子力発電所から半径20km から30km 圏内の区域に係る屋内退避の指示を解除する一方で,未だ安定しない事故の状況にかんがみ,緊急時における避難等の対応が求められる可能性が否定できない地域については,緊急時の屋内退避や避難が可能な準備を求める「緊急時避難準備区域」に設定した(4月22日)。

表2−2−1 避難区域,計画的避難区域及び緊急時避難準備区域(4/22〜)の対象人口 表2−2−1 避難区域,計画的避難区域及び緊急時避難準備区域(4/22〜)の対象人口
(2)出荷制限等

農産品等については,都道府県による検査結果等を踏まえ,原災法に基づき,原子力災害対策本部長より関係県知事に対し,一部地域における出荷制限等を指示している(3月21日〜)。また,4月4日には「検査計画,出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」を公表し,県内を複数のブロックに分割して出荷制限やその解除を行えるようにするとともに,基準値を下回った農産品等につき,順次その指示を解除している。

稲の作付けについては,原災法に基づき,原子力災害対策本部長より福島県知事に対し,警戒区域,計画的避難区域,緊急時避難準備区域の各区域内における作付制限の指示を行った(4月22日)。

また,警戒区域内の家畜については,原災法に基づき,原子力災害対策本部長から福島県知事に対して,当該家畜の所有者の同意を得て,当該家畜に苦痛を与えない方法(安楽死)によって処分するよう指示した(5月12日)。


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.