1−3 長期的な自然災害の状況



1−3 長期的な自然災害の状況

世界各地で自然災害が発生しており,毎年多くの人命と財産が失われている。特に開発途上地域では,都市化が進む一方で,遅れた社会基盤整備が災害への脆弱性を高めている。20世紀以降の主な自然災害の状況は、 附属資料25 のとおり。

ベルギーのルーバン・カトリック大学疫学研究所(CRED)の自然災害に関する統計データ( http://www.em-dat.net/別ウインドウで開きます )を用いた分析によると,全世界で毎年約1億6千万人が被災し,約9万5千人の人命が奪われ,約368億ドル以上の被害額が発生している(1970年〜2007年の年平均値)(図4−1−1)。過去38年間,災害の発生件数は増加傾向にあり,被災者数もそれに伴い増加しており,1970年代に比べると,最近の10年間は,発生件数,被災者数で約3倍に増加しているが,死者数は約0.6倍と減少している。経済被害の規模でみると,今世紀に入ってからは,2002年のヨーロッパの洪水,2004年の新潟県中越地震,2004年のスマトラ島沖地震及び津波,2004年及び2005年の北米,中南米のハリケーン,2008年の中国の地震,ミャンマーのハリケーン等で多くの損失が発生している。特に,2005年の米国のハリケーン・カトリーナでの経済被害額は数百億から千数百億ドルと推計されており,史上最大規模となった。

アジア地域では,各国政府,国際機関の災害予防及び災害被害軽減のための多大な努力にもかかわらず,毎年,数か国で死者・行方不明者が数千人を超える被害が発生している。

過去30年(1978〜2007年)にアジア地域で発生した災害の世界全体に占める割合をみると,件数で約4割,死者数で約6割,被害額の約5割,被災者数の約9割と,大きな割合を占めている。

欧米地域では,死者数,被災者数が少ないにも関わらず,被害額が大きい。なお,2005年にはハリケーンの多発により,多くの人命と財産が失われ,特にハリケーン・カトリーナでは死者は千名を超え,巨額の経済被害を受けた。

一方,アフリカ地域は,発生件数,被災者数が多いにも関わらず,被害額が少なく,各地域の経済規模を反映する結果となっている(図4−1−2)。

図4−1−1 世界の自然災害発生頻度及び被害状況の推移(年平均値) 世界の自然災害発生頻度及び被害状況の推移(年平均値)の図
図4−1−2 地域別に見た1978〜2007年の世界の自然災害 地域別に見た1978〜2007年の世界の自然災害の図

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