3 自然災害対策 3−1 震災対策 (1)地震の発生と被害状況



3 自然災害対策

3−1 震災対策

(1)地震の発生と被害状況

a 我が国における地震の概要

我が国は,海洋プレート(太平洋プレート,フィリピン海プレート)及び陸側のプレートの境界部に位置し,日本周辺で,太平洋プレートが千島海溝,日本海溝及び伊豆・小笠原海溝で陸側のプレートとフィリピン海プレートの下に沈み込み,また,フィリピン海プレートが南西諸島海溝,南海トラフとその延長である駿河トラフ及び相模トラフで陸側のプレートの下に沈み込んでいる(図2−3−1)。このように複雑な地殻構造の上に位置する我が国は,世界的に見ても地震の発生の多い国(図2−3−2)であり,過去より頻繁に大きな被害を生じるような地震に見舞われてきた(表2−3−1)。

これまで大きな被害を及ぼしてきた地震を大別すると,以下のようになる。

一つは,プレートの境界付近で発生する地震で,プレート間で発生する地震と海洋プレート内で発生する地震がある。プレート間の地震では,大きな被害をもたらした関東地震(大正12(1923)年)や南海地震(昭和21(1946)年)等が代表とされる。このタイプの地震は沈み込みに伴うプレートの変形が限界に達し,元に戻ろうとして急激に運動する際に発生し,場所によって異なるが,百年から数百年程度の間隔で繰り返し発生すると言われている。また海域の比較的震源が浅い地震であることから津波を伴うことが多い。近い将来に発生が予想されている東海地震や東南海・南海地震も,このタイプの地震と考えられている(図2−3−3)。海洋プレート内で発生する地震では,昭和三陸地震津波(昭和8年(1933)年),平成5年(1993年)釧路沖地震,平成13年(2001年)芸予地震や平成20年(2008年)の岩手県沿岸北部を震源とする地震等はこれにあたり,このタイプの被害地震も多く経験している。

もう一つは,陸域の浅い地震で,プレートの沈み込み等の影響を受けて内陸のプレートが歪むことなどにより歪エネルギーが蓄積され,地下の断層の破壊で解放されることにより発生するタイプの地震がある。断層のうち,最近の地質時代に千年程度から数万年程度の発生間隔で繰り返し活動し,将来も活動すると推定されている断層を活断層と呼んでおり,我が国には約2,000もの活断層があるとされている。濃尾地震(明治24(1891)年),福井地震(昭和23(1948)年),平成7年(1995年)兵庫県南部地震,平成12年(2000年)鳥取県西部地震,平成16年(2004年)新潟県中越地震,平成17年(2005年)の福岡県西方沖を震源とする地震,平成19年(2007年)能登半島地震,平成19年(2007年)新潟県中越沖地震,平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震はこのタイプの地震である。

地震調査研究推進本部では,平成21年4月現在,主要な断層帯のうち,106断層帯について想定される地震の規模や発生確率の評価結果を公表している(図2−3−4)。

これらを踏まえ,特に非常に大きな災害を引き起こす可能性のある大規模地震である東海地震,東南海・南海地震,日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震,首都直下地震,中部圏・近畿圏の直下地震について,地震ごとに個別の対策等を進めている(図2−3−5)。

その他,我が国は多くの活動的な火山を有することから,火山活動に伴う地震も過去に多く発生しており,例えば平成12年(2000年)有珠山噴火においては,3月末の活動に前後して山麓で最大震度5弱となる地震が3回発生した。

図2−3−1 日本列島とその周辺のプレート 日本列島とその周辺のプレートの図
図2−3−2 日本付近の地震活動 日本付近の地震活動の図
表2−3−1 我が国の主な被害地震(明治以降) 我が国の主な被害地震(明治以降)の表
図2−3−3 海溝型地震の発生メカニズム 海溝型地震の発生メカニズムの図
図2−3−4 わが国の主要な活断層の分布 わが国の主要な活断層の分布の図
図2−3−5 大規模地震対策の概要 大規模地震対策の概要の図

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