7−3 その他
(1)火薬類の安全管理対策
警察庁においては,火薬類取扱事業者等による火薬類の保管管理と取扱いの適正化を図るため,火薬類取扱場所等への立入検査の徹底及び関係機関との連携を図るよう都道府県警察を指導し,併せて火薬類の盗難防止等についての広報啓発活動を推進する。
(2)各種危険物等の災害防止対策
警察庁においては,関係機関との緊密な連携による各種危険物運搬車両等に対する取締りの強化及び安全基準の遵守等についての指導を行うよう都道府県警察に対し指導する。
(3)危険物規制についての要請・助言等
消防庁においては,消防法に基づき,次の予防対策を推進する。
a 危険物の安全を確保するための技術基準等の整備
(a) 化学物質の有害危険性の国際基準化に対応した危険物の分類方法等の調査検討
化学物質の有害危険性について国際的な基準化が図られていることに対応するため,危険物の分類,表示及び判定試験方法に関する調査・検討を行う。
(b) 危険物施設の腐食防止・抑制対策,劣化した危険物施設を継続使用するための再利用対策
危険物施設における腐食に起因する事故の増加を踏まえ,設置環境の腐食しやすさに応じた腐食防止対策及び,腐食した場合における継続使用方策について調査・検討を行う。
(c) 新技術・新素材の活用等に対応した安全対策の確保
エタノール高濃度混合ガソリン,BDF(バイオディーゼル燃料)等の安全対策及び廃棄物処理システムにおける安全対策案について調査・検討を行う。
(d) 危険物施設の津波・浸水対策の検討
大地震に伴う津波による屋外タンク貯蔵所の被害を予防・軽減するための対策に関する調査・検討を行う。
(e) 屋外タンクの安全対策の充実
屋外貯蔵タンクの内部浮き蓋の耐震性・安全性を向上させるため,内部浮き蓋が有すべき浮き機能,強度等の性能に関する調査・検討を行う。
b 危険物施設の安全確保対策及びその推進に関する調査検討
官民共同の行動指針・計画に基づき総合的な事故防止対策の推進を図るとともに,事故状況等を詳細に分析する等,危険物施設における今後の安全管理のあり方に関する調査・検討を行う。
c 危険物データベースの活用
危険物の判定が公正かつ統一的に行われるよう危険物データベースのデータの一層の充実を図る。
d 危険物災害等情報支援システム及びコンビナート等特別防災区域における事故の報告オンライン処理システム運用による情報提供
火災が発生した場合に著しく消火が困難な物質や,人体に有害な物資の性状及び消防活動上必要な情報を消防機関等に提供する危険物災害等情報支援システムの運用を行うとともに,システムのさらなる充実・強化を行う。
e 新規危険性物質の早期把握及び危険性評価
新規危険性物質を把握した上でその危険性評価を行い,適正な取扱いが行われるようにし,火災,爆発等の災害の未然防止を図る。
(4)石油コンビナート等防災対策の推進
a 新設事業所等のレイアウト規制
消防庁及び経済産業省においては,石油及び高圧ガスを併せて取り扱う事業所の新設等に際し,事業所内の施設のレイアウトについて規制を実施するとともに,必要な要請,助言等を行う。
b 石油コンビナート等防災本部等への要請等
消防庁においては,石油コンビナート等防災本部等に対し石油コンビナート等防災計画の策定及び運用等について要請,助言等を行う。
c 石油コンビナート等特別防災区域における地域情報管理システムの維持管理
消防庁においては,石油コンビナート等特別防災区域における石油タンク火災等の災害発生時の対応を的確に行うため,当該区域に係る事業所の配置図等をデータベース化した地域情報管理システムの維持管理を行い,防災体制の充実を図る。
d 広域共同防災規程の有効性等の確認・検証
消防庁においては,大容量泡放射システムを配備する広域共同防災組織が作成する広域共同防災規程の有効性・整合性及び防災要員数の確認・検証を行う。
e 大容量泡放射システムの相互活用等の促進に向けた防災体制についての検討
消防庁においては,大容量泡放射システムが複数の特別防災区域にわたる特定事業者により共同して配備されることから,当該システムの互換性や泡消火薬剤の予備備蓄等の指針を示すための事項について検討を行う。
(5)高圧ガス及び火薬類による災害防止の指導等
経済産業省においては,製造事業者等に対する立入検査及び保安教育指導,都道府県取扱担当者に対する研修,事故調査等を行う。
(6)高圧ガス保安対策の強化と拡充
経済産業省においては,次の事業を行う。
a 高圧ガス保安技術基準作成事業
技術進歩に即応して,計画的な保安基準の作成,整備を行う。
b 事故調査解析事業
高圧ガスに係る事故の原因調査,分析を行う。
(7)危険物の海上輸送の安全対策の確立
国土交通省においては,国際基準の策定・取り入れについて十分な評価検討を行い,危険物の特性に応じた安全対策を講じる。また,危険物の海上輸送における事故を防止するため,危険物を運送する船舶に対し立入検査を実施する。
(8)危険物積載船舶及び危険物荷役に関する安全防災対策
海上保安庁においては,ふくそう海域等における危険物積載船舶の航行安全,荷役安全管理体制,大型タンカーバースにおける防災体制等について指導し,荷役時の安全防災対策の充実を図る。また,船舶所有者等に対し排出油等防除資機材を備えるように指導する。
(9)沿岸海域環境保全情報の整備
海上保安庁においては,油流出事故が発生した際の迅速かつ的確な油防除措置等の実施に資するため,沿岸海域の自然的・社会的情報等をデータベース化し,海図データ及び油の拡散・漂流予測結果と併せて電子画面上に表示できる沿岸海域環境保全情報の整備を引き続き行う。
(10)漂流予測体制の強化
海上保安庁においては,油流出事故等による防除作業を的確に行うために精度の高い漂流予測が必要であることから,現場の巡視船からリアルタイムに海象・風等のデータが収得できる「船舶観測データ集積・伝送システム」を運用するとともに,日本近海の海況把握及び漂流予測の精度向上を図るため,次世代型海流監視システムの運用を引き続き行う。
(11)油防除対策に係る分野別専門家等の登録
海上保安庁においては,「油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」に基づき,国内の各種分野の専門家等に関する情報を,関係行政機関等の協力を得て一元化するとともに,活用しようとする関係行政機関,地方公共団体等の要請に応じて提供しうる体制の確保に努める。