2 消防団水防団



2 消防団,水防団

(1)消防団

a 消防団の組織

消防団は,消防組織法の規定により設置された市町村の消防機関で,ほとんどすべての市町村に設置されており,平成19年4月1日現在,全国で2,474団となっている。消防団活動を担う消防団員は,通常は各自の職業に従事しながら火災等の災害が発生したときは「自らの地域は自らで守る」という郷土愛護の精神に基づき活動している特別職の地方公務員(非常勤)で,平成19年4月1日現在全国で89万2,893人となっている(図3−2−1)。

消防の常備化が進展している今日においても,消防団が地域の消防防災において果たす役割はきわめて重要であり,消防本部・消防署(常備消防)が置かれていない非常備町村にあっては消防団が消防活動を全面的に担っている。

更に,平成16年6月に成立した武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成16年法律第102号)では,消防団は避難住民の誘導などの役割を担うことが規定された。

図3−2−1 消防団員数の推移 消防団員数の推移の図

b 消防団の活動

消防団は,震災・水害などの地域の防災力の中心・中核として,常備消防と連携しながら消火・救助等の活動を行うとともに,大規模災害時等には多くの消防団員が出動し,住民生活を守るために重要な役割を果たしている。日常においても,各家庭の防火指導や防火訓練,巡回広報等住民生活に密着したきめ細かな活動を行っており,地域の消防防災の要となっている。

c 消防団の充実強化・活性化

消防団は,社会環境の変化や常備化の進展等に伴い,団員数の減少,団員の高齢化,サラリーマン団員の増加等が進行している。10年前の平成9年と比べて団員数は7.9%減少し,団員の平均年齢は1.8歳上昇して38.0歳となっている。こうした中で,女性団員が着実に増加しており,平成19年4月1日現在,1万5,502人が地域の防災活動において活躍している。

消防庁では,平成15年12月の消防審議会答申を踏まえ,総団員数100万人以上(うち女性消防団員数10万人以上)の団員数の確保を目標に掲げ,様々な措置を講じている。また,消防団員を確保するには,活動環境を整備し,多くの住民が参加しやすい環境を作ることが重要と考え,「消防団の活動環境の整備に関する調査検討会」の検討結果を踏まえ,機能別団員,機能別分団等の消防団の新たな組織・制度について,全国に通知(平成17年1月26日)した。

主な措置は,

  • 消防団の資機材・施設の充実強化
  • 消防団員の処遇改善
  • 消防団への青年層・女性層の加入促進
  • 市町村職員・都道府県職員・郵便局職員・農協職員等の入団推奨
  • 消防団地域活動表彰や全国消防団員意見発表会の実施
  • 「消防団のホームページ」の運用及び「消防団メールマガジン」の発行
  • 消防団員入団促進啓発用リーフレット及びポスターの配布
  • 機能別団員(特定の活動のみに参加する団員)制度の導入
  • 機能別分団(特定の活動,役割のみ実施する分団)制度の導入

などであり,このような様々な取組みを通じて消防団が要員動員力等の特性を発揮できるよう,充実強化・活性化を図っている。

また,消防団員確保の全国的な運動を展開し,消防団員の減少に歯止めをかけるため,消防団員確保の更なる推進について,各都道府県及び各指定都市に通知(平成18年7月14日)した。

更に,消防団員の約7割が被雇用者であることを踏まえ,事業所の理解と協力を得て被雇用者が入団しやすく,かつ消防団員として活動しやすい環境を整備するために「消防団協力事業所表示制度」を構築した。また,消防団員確保に必要な知識又は経験を有する消防団職員等を地方公共団体に派遣して,消防団員確保の具体的方策等をアドバイスする「消防団員確保アドバイザー派遣制度」を構築した。

(2)水防団

a 水防団の組織

水防は古くから村落等を中心とする自治組織により運営され発展してきた歴史的経緯等から,第一次的水防責任は市町村(あるいは水防事務組合,水害予防組合)が有している。

水防法ではこれらの団体を水防管理団体として定め,水防事務を処理させることができることとしており,平成19年4月1日現在,全国で1,834の水防管理団体が組織されている。

水防団員は,消防団員とともに水防管理団体(水防管理者)の所轄のもとに水防活動を行うこととなっており,平常時は各自の職業に従事しながら,非常時には水防管理者の指示により参集し水防活動に従事している。平成19年4月1日現在,専ら水防活動を行う水防団員は15,702人となっている(図3−2−2)。

更に,平成17年の水防法改正に伴い,水防団と連携して水防活動に協力する公益法人,特定非営利活動法人を水防管理者が水防協力団体として指定するなど,体制強化を図ることとしている。

図3−2−2 水防団員数の推移 水防団員数の推移の図

b 水防団の活動

洪水,高潮等による災害を防止するための水防活動は的確かつ迅速な行動が最大限に求められることから,事前の綿密な計画と十分な準備が必要である。

このため,都道府県は,[1]水防上必要な監視,警戒,通信,連絡,輸送,[2]水防管理団体相互間の協力応援,[3]水防に必要な資機材・設備の整備及び運用などについて定めた水防計画を策定している。

水防団は,災害発生時の洪水や高潮等の被害を最小限にくい止めるための活動のほか,水防月間や水防訓練その他の機会を通じて広く地域住民等に対し水防の重要性の周知や水防思想の高揚のための啓発,訓練及び危険箇所の巡回・点検等の活動を行っている。

c 水防団の充実強化

水防団員数は,最近の水防そのものに対する認識の低下と相まって減少傾向にあることに加え,大都市周辺における団員の地域外勤務による昼間不在,あるいは季節的地域外勤務による長期不在のため,現実には出動できない団員の増加等が進んでいる。

このような状況に対処するため,水防管理団体は,毎年,情報伝達訓練,水防技術の習得,水防意識の高揚等を目的とした水防団員等に対する水防演習を実施している。

また,水防団の活動に関する住民へのPRと水防団への参加の呼びかけとともに,水防団員の処遇等の改善措置が図られている。

更に,水防訓練・講習会等において水防工法の指導等を行う水防専門家を派遣する「水防専門家派遣制度」が平成19年2月に創設され,水防団等の知識・技能の向上が図られている。


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