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5 近年に発生した主な災害の復興対策 5−1 阪神・淡路大震災の復興対策



5 近年に発生した主な災害の復興対策

5−1 阪神・淡路大震災の復興対策

平成7年1月17日5時46分に発生した阪神・淡路大震災による被害は,死者・行方不明者6,437名(いわゆる関連死912名を含む),住宅全壊約10万5,000棟にのぼる甚大なものであった。政府においては,平成7年1月17日に国土庁長官を本部長とする「平成7年兵庫県南部地震非常災害対策本部」の設置を閣議決定し,行方不明者の早期救出や火災に対する早期消火等の決定事項に基づいた応急対策が実施された。また,平成7年1月19日には,緊急に政府としての一体的かつ総合的な対策を講じるため,内閣総理大臣を本部長とし,全ての閣僚を本部員とする「兵庫県南部地震緊急対策本部」の設置が閣議決定され,平成7年3月17日までに10回にわたって開催された。

震災約1か月後の平成7年2月,「阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律」等により内閣総理大臣を本部長とする「阪神・淡路復興対策本部」(平成12年2月23日廃止)及び学識経験者等により構成される「阪神・淡路復興委員会」(平成8年2月14日廃止)を設置し,政府一体となった総合的な復興対策が推進された。

阪神・淡路復興対策本部の設置期間満了に伴い,「阪神・淡路大震災復興関係省庁連絡会議」(議長:内閣官房副長官補)を設置し,関係省庁間の円滑な連携のもと,引き続き阪神・淡路地域についての関係地方公共団体が行う復興事業への国の支援を推進している。

なお,現在も引き続き行われている主な復興事業等については以下のとおりである。

(1)被災者の生活再建支援

被災者の生活再建支援については,既に社会保障や社会福祉の分野で,極めて広範なきめ細かな制度が整備されており,被災地においては特別養護老人ホーム等の整備やこころのケアセンターの設置,生活支援アドバイザーの派遣など様々な措置が講じられてきた。

更に,復旧・復興に向けた各般の行政施策を補完し,きめ細かな施策を講じるために設置された(財)阪神・淡路大震災復興基金においても,被災者の生活再建を支援する事業が実施されており,国はこのために必要な地方財政措置を講じた。

また,災害復興公営住宅入居者の高齢化に伴い,高齢世帯生活援助員や民生委員など,各種支援者による被災高齢者等への見守り活動を展開しているほか,「まちの保健室」の開設や保健師による健康相談など様々な施策を展開している。

(2)住宅復興対策

平成8年6月に内閣総理大臣に報告・了承された「被災者住宅対策等について」に基づく公営住宅家賃の負担軽減策が平成13年10月から順次期限切れをむかえることの激変緩和として5年間の移行措置を講じることとし,国はその減額分の一定割合を補助している。

また,自力で住宅を再建する被災者を支援するため,住宅金融支援機構では,金利,償還期間等について優遇した災害復興住宅融資などの対応を行っている。

(3)市街地整備事業

震災により被害を受けた市街地の復興を図るため,被災地方公共団体においては,「被災市街地復興特別措置法」に基づき,16地域の被災市街地復興推進地域を指定し,土地区画整理事業及び市街地再開発事業等における補助事業の特例措置により,市街地整備を進めている。

被災市街地復興推進地域内で行う土地区画整理事業は13地区(20事業地区)であるが,そのすべてで仮換地の指定を完了,仮換地指定率は98%となっており,17事業地区において既に換地処分を完了している。同じく,市街地再開発事業は6地区(15事業地区)において事業計画決定されており,5地区で事業完了している。

(4)復興特定事業

阪神・淡路復興委員会から,復興のための戦略的プロジェクトとして提言された主な「復興特定事業」の状況は,次のとおりである。

a 上海・長江交易促進プロジェクト

日中双方の推進組織のもと,<1>日中ビジネスを行う地元企業への支援(講座,ビジネスマッチング,販路開拓支援等),<2>日中ビジネス関連企業の誘致促進,<3>中国からの観光誘致の促進を事業の主要な柱として取り組んでおり,更には,双方向の投資,貿易の促進を図るため,「神戸・ひょうご南京事務所」を設置している。

b ヘルスケアパークプロジェクト

平成10年度に事業主体である「ひょうごヒューマンケア(株)」が設立され,実施設計が行われてきたが,平成12年度に企画内容の見直しを行い,「ヘルスケアパークのミュージアム部分」については,「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」の第2期工事の中で整備が進められ,平成15年4月に開館した。

c 新産業構造形成プロジェクト

「神戸医療産業都市構想」においては,中核的施設整備として,「先端医療センター」(平成15年4月開業),「理化学研究所発生・再生科学総合研究センター」(平成14年4月開所),「神戸バイオテクノロジー研究・人材育成センター/神戸大学インキュベーションセンター」(平成16年3月開所),「神戸バイオメディカル創造センター」(平成16年6月開所),「神戸医療機器開発センター」(平成18年2月開所),「神戸健康産業開発センター」(平成18年11月開所),「分子イメージング研究開発拠点」(平成19年1月開所)が稼働している。企業誘致活動及び進出企業,地元企業への支援等により,医療関連企業の集積も120社を超え,関西圏全体のライフサイエンス分野のスーパークラスター形成に向け,着実に事業が進展している。

なお,「神戸ルミナリエ」は,平成19年は12月6日〜17日の12日間開催され,約404万人が来場した。

d 阪神・淡路大震災記念プロジェクト

「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」は,第1期施設(防災未来館)が平成14年4月に,第2期施設(ひと未来館)が平成15年4月に開館し,平成20年1月9日には防災未来館をリニューアルオープンした。

また,三木総合防災公園において県立広域防災センターが平成16年4月にオープンしたほか,実大三次元震動破壊実験施設(E−ディフェンス)が平成17年9月から本格稼働した。

(5)今後の復興対策の推進

兵庫県は,阪神・淡路復興委員会意見及び第4回阪神・淡路復興対策本部会議で決定された「阪神・淡路地域の復興に向けての取組方針」を踏まえ,平成7年7月に「阪神・淡路震災復興計画(ひょうごフェニックス計画)」(目標年次平成17年)を決定した。

その後,各種の復興事業を推進するとともに,平成12年11月に「阪神・淡路震災復興計画後期5か年推進プログラム」を策定したほか,平成14年12月には,「阪神・淡路震災復興最終3か年推進プログラム」を策定するなど復興計画の継続的なフォローアップを行ってきた。

また,震災から10年を迎えるにあたり,10年間の取組みの総括的な検証を行い,その結果や教訓を次世代への提言として,平成17年1月の国連防災世界会議等の場で広く発信した。ポスト復興10年の復興対策としては,高齢者の自立支援やまちのにぎわいづくりなどの残された課題への対応,震災の経験と教訓を継承・発信する「1月17日は忘れない」ための取組みを毎年度策定する推進プログラムに基づき,重点的な施策展開を図っている。

更に,阪神・淡路大震災から13年が経過し,被災地の復興は概ね順調に伸展してはいるが,被災地の抱える課題は個別・多様化しており,復興の残された課題解決には,高齢化や都市構造の空洞化など社会全体の課題としての取組みが不可欠となっている。

そこで,震災から15年が経過する平成21年度を目途とする「復興の成果を県政に生かす3か年推進方策(平成19年2月)」を策定し,被災地固有の課題に引き続き重点的に取り組むとともに,復興の成果を高齢社会・成熟社会への対策や防災・減災対策などの全県施策に反映させていくこととしている。

一方,神戸市においても,平成7年6月に策定した「神戸市復興計画」の後半5か年に重点的に取り組むべき施策を取りまとめた「神戸市復興計画推進プログラム」を平成12年10月に策定した。また,平成11年度及び平成15年度には,残された課題を整理し,震災を契機に生まれた新たな取組みなどをこれからの神戸づくりに生かすため,「復興の総括・検証」を実施した。更に,震災と復興過程の経験や教訓を踏まえながらこれからの神戸づくりの指針となる新たなビジョン(中期計画)として,「神戸2010ビジョン」と「各区中期計画」(目標年次:2010年)を平成17年6月に策定し,市民等との協働と参画のまちづくりを進めるとともにその実現に取り組んでいる。


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