1−13 福岡県西方沖を震源とする地震に対してとった措置



1−13 福岡県西方沖を震源とする地震に対してとった措置

 政府においては,地震発生後直ちに,関係省庁の局長級職員などによる緊急参集チームが官邸危機管理センターに参集した。
(1)内閣府における対応
 内閣府においては,災害対策関係省庁連絡会議を計4回開催した。また,福岡県全域に被災者生活再建支援法を適用した。
(2)警察庁における対応
 警察庁及び関係管区警察局においては,「災害警備本部」等を設置して,情報の収集,関係機関との連絡調整及び警察広域緊急援助隊や警察用航空機の派遣調整等に当たった。また,機動警察通信隊は災害発生直後から警察通信の確保に当たり,ヘリコプターテレビシステムや衛星通信システム等を使用して,警察庁,官邸等へ危機管理上重要な現場映像の伝送等を実施した。さらに,福岡県公安委員会及び佐賀県公安委員会からの援助要求を受けて,警察広域緊急援助隊延べ183名が,同県内に派遣された。福岡県警察を始めとする関係県警察においては,「災害警備本部」等を設置して,情報収集,被災者の避難誘導,救出救助,交通規制等の災害警備活動に当たった。
(3)防衛庁における対応
 防衛庁においては,3月20日福岡県知事からの要請を受け,4月25日までの間に,玄界島島民の避難支援,半壊家屋等に対するビニールシートの展張及び補修,給水・給食・入浴・医療支援等を実施した。
(4)総務省における対応
a 総務省においては,電波利用債権の督促状及び催促状の送付を停止する措置(原則,適用の日から60日を経過する日までの間)を行った。
b 総務省においては,多大な被害を受けた福岡市に対して,地方交付税法第16条第2項の規定に基づき,6月に定例交付すべき普通交付税の一部4,013百万円を繰上げ交付した。
(5)放送受信料の免除
 NHKにおいては,次のとおり放送受信料を免除した。

表6-1-11 放送受信料の免除

(6)電気通信事業者の対応
 NTT西日本においては,福岡市内の8ヶ所の避難所等に特設公衆電話等を設置,避難勧告等を受けた住民の電話基本料等を減免するとともに被災で仮住居への電話移転を余儀なくされた加入者について工事代金を免除した。
 NTTドコモにおいては,避難所に携帯電話端末等110台を貸与した。
 KDDI(ツーカーグループを含む)においては,長崎県の災害対策本部に携帯電話端末5台を貸与した。
(7)消防庁における対応
 消防庁においては,3月20日10時53分,災害対策本部を設置し,関係地方公共団体から情報収集を行うとともに,同日11時18分,緊急消防援助隊(航空部隊)に福岡県等への出動を要請し,同隊はヘリ2機により情報収集活動及び人員輸送を実施した。また,消防庁から延べ11名の職員を現地に派遣した。
(8)財務省における対応
 財務省においては,次のとおり税務行政上の措置を講じた。
a 申告,納付等の期限の延長
 災害により,国税の申告,納付等をその期限までに行うことができないと認められる納税者について,その申請に基づき,災害によるやむを得ない理由のやんだ日から2か月以内の日を期日として指定し,国税の申告,納付等の期限を延長した。
b 納税の猶予
 災害により,その財産に相当の損害を受けた納税者及び国税を一時に納税することができないと認められる納税者について,その申請に基づき,1年以内の期間に限り,その国税の全部又は一部の納税を猶予した。
c 国税の軽減免除等
 災害により,住宅,家財,事業用資産等に損害を受けた納税者について,その申請等に基づき,国税の軽減免除等を行った。
(9)文部科学省における対応
 文部科学省においては,災害情報連絡室を設置し,翌3月21日に災害応急対策本部に格上げし,教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに,児童生徒の安全確保及び二次災害の防止等適切な対応をとるよう指示した。また,建築の専門家等の派遣による学校施設等の安全点検を行った。さらに,地震調査研究推進本部の地震調査委員会が臨時会及び定例会を開催し,地震について分析と評価を実施した。
(10)厚生労働省における対応
a 災害救助費の国庫負担
 厚生労働省においては,災害救助法に基づ き,福岡県福岡市において実施した救助に要 した費用の一部について負担した。
 (事業費 1,258,113千円/国費 629,056千円)

b 災害弔慰金の国庫負担
 厚生労働省においては,災害弔慰金の支給 等に関する法律に基づき,本災害により死亡 した者の遺族に対して支給した災害弔慰金に 要した費用の一部について負担した。
 (事業費 2,500千円/国費 1,250千円)

c 災害援護資金の原資の貸付
 厚生労働省においては,災害弔慰金の支給 等に関する法律に基づき,本災害により一定 の被害を受けた世帯の世帯主に貸し付けた災 害援護資金の原資の一部の貸付を行った。
 (事業費 509,820千円/国費 339,880千円)

d 被災労働者等に対するメンタル等に関する相談窓口の設置
 厚生労働省においては,独立行政法人労働者健康福祉機構の福岡産業保健推進センター並びに九州,長崎及び山口の各労災病院に併設している勤労者予防医療センター等において,こころのケア対策として,被災労働者等のメンタルヘルスを含む健康問題について電話相談等を実施した。
e 中小企業退職金共済掛金の納付期限の延長
 独立行政法人勤労者退職金共済機構においては,被災により中小企業退職金共済制度の掛金の納付が困難となった共済契約者(事業主)について,当該共済契約者の申請により掛金の納付期限を最大1年間延長した。
(11)独立行政法人産業技術総合研究所における対応
 独立行政法人産業技術総合研究所においては,地震発生後直ちに既存資料の検討を行い,地震調査研究推進本部に対する資料提供,ウェブでの情報発信等を行うとともに,福岡市周辺での現地調査を行った。
(12)中小企業対策
 中小企業庁においては,被災中小企業者への支援として,次の措置を講じた。
a 特別相談窓口の設置
 福岡県における政府系中小企業金融3機関(中小企業金融公庫,国民生活金融公庫,商工組合中央金庫),信用保証協会の各支店,主要商工会議所及び商工会連合会などに特別相談窓口を設置した。
b 資金供給の円滑化
 政府系中小企業金融3機関による災害復旧貸付の適用,関係機関に対し返済猶予等の既往債務の条件変更などの被災中小企業者の実情に応じた対応を行うよう指導することにより,被災中小企業者の資金供給の円滑化を図った。
(13)国土交通省における対応
 国土交通省においては,非常体制をとり被害状況の把握に努めるとともに,災害復旧担当職員等を緊急調査のため現地へ派遣した。  国土地理院においては,災害対策本部を設置し,災害対策用地図を関係防災機関に提供するとともに,被災状況を把握するため,航空機による撮影を実施し,空中写真,正射写真図及び災害状況図等を作成し,関係防災機関に提供した。また,電子基準点観測データを緊急解析等を実施するとともに,その結果について公表した。さらに,復旧工事等の基準となる基準点復旧測量等を実施した。
(14)気象庁における対応
 気象庁本庁及び各気象台においては,津波予報および地震情報を迅速に発表・伝達し,災害応急活動を支援するとともに,ただちに現地調査のための職員を派遣した。
(15)海上保安庁における対応
 海上保安庁においては,本庁及び第七管区海上保安本部等に対策本部を設置し,巡視船艇,航空機により沿岸部,主要港湾,島嶼部,重要施設等の被害状況調査,震源地付近の状況等を関係機関へ映像配信に当たった。
 また,自治体からの要請に基づき,玄界島からの自主避難住民62名を巡視船艇により博多港まで搬送支援するとともに,被災した航路標識の復旧,博多港内の航路及び岸壁周辺における障害物の調査,玄界灘の余震が分布する周辺海域における海底の地形調査及びディファレンシャルGPS局のデータ解析を実施した。

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