このため,古くから治水事業の重要性が認識され着実に実施されてきたところであり,浸水面積は減少傾向にある。しかしながら,国土保全施設の整備状況はまだ低い水準にあり,さらに,洪水等の危険区域における資産が増大しているため,単位面積当たりの水害被害額はかえって増大する傾向にある。このような状況の中で,国土交通省においては社会資本整備重点計画に基づき,安全な社会基盤の形成,水と緑の水辺の創出,活力ある地域づくりの支援の展開を図ることとしている。
平成16年度には,大規模治水事業を始めとして,基幹大河川の整備や市街化地域等に関連する都市河川の治水対策を重点的に進めるとともに,近年,激甚な災害が発生した河川等について再度災害防止対策及び慢性的な床上浸水被害の解消を図るための治水対策を推進した。さらに,流域の保水・遊水機能の維持増進,水害に対して安全な土地利用の誘導等と併せて,治水施設を総合的,計画的に整備する総合治水特定河川事業,良質な住宅・宅地供給を図るための河川事業等,地域のまちづくりと一体となった河川事業を推進した。また,社会・経済の中心的役割を担っている大都市地域等を破堤による壊滅的被害から防御するとともに併せて水と緑に親しめる良好な都市空間の形成を図る高規格堤防の整備を推進した。
(事業費 973,428,000千円/国費 592,958,000千円)