2−2 国際社会における防災の取組



2−2 国際社会における防災の取組

  世界で大規模災害が頻発し,防災への関心が高まる中,国際社会の様々な活動に防災への取組が位置づけられてきている。
(1)持続可能な開発と防災
  国連防災世界会議で採択された兵庫宣言において,災害が開発投資の結果を短期間に大きく損ない,持続可能な開発と貧困撲滅にとって大きな障害になっており,また,災害リスクを適切に考慮しない開発投資は,災害への脆弱性を増すことになるとの認識のもと,国の持続可能な開発を実現し,強化していく上で,防災は国際社会が直面する最重要課題の一つとなっていることが示された。兵庫行動枠組においても,持続可能な開発のための政策,計画策定に災害リスクの視点をより効果的に統合することを戦略目標の一つに位置づけている。
  2005年3月に発表されたアナン国連事務総長の報告書 “In larger feedom” においても,災害がミレニアム開発目標の達成にますます重大な障害となることを警告している。
  2005年4月11日にニューヨークの国連本部で開催された国連持続可能な開発委員会においては,国連防災世界会議の議長を務めた村田防災担当大臣(当時)が招待され,会議成果を報告した。この中で,災害が世界の持続可能な開発の障害となっており,災害予防の文化を普及し,各国の自発的な取組と国際協力が一体となり,兵庫行動枠組の具体化に向けた行動を実践することが持続可能な開発の達成のために不可欠の課題であることを世界に訴えた。
(2)アジア・アフリカ首脳会議
  2005年4月22日から24日,インドネシアにおいて,アジア・アフリカ首脳会議(バンドン会議50周年会議)が開催され,アジア,アフリカ両地域約100カ国の首脳らが一堂に会し,日本からも小泉内閣総理大臣が参加した。同会議では,両大陸の政治,経済,社会文化面での包括的な協力関係を目的とする首脳宣言とともに,インド洋の地震津波災害を受けた両地域の連帯を示す「津波,地震及びその他の自然災害に関するアジア・アフリカ共同首脳声明」が出された。この宣言の中で,我が国が積極的に協力・支援を行っているインド洋の津波早期警戒体制の構築をはじめ,防災分野でのアジア・アフリカ諸国間の協力関係の強化が掲げられ,国連防災世界会議の成果を具体化する政治的コンセンサスが,アジア・アフリカ首脳間で確認された。首脳会議の中で,小泉内閣総理大臣は,防災・災害復興対策については,アジア・アフリカ地域を中心として今後5年間で25億ドル以上の支援を行うことを表明した。
(3)G8グレンイーグルズ・サミット
  2005年7月6日から8日まで,英国スコットランドのグレンイーグルズで開催されたG8サミット(主要国首脳会議)において,インド洋の地震津波災害を受け,サミット史上初めての防災に関する声明である「インド洋災害へのG8の対応及び災害リスク削減に係る将来の行動」が発出された。この中で,兵庫行動枠組は災害リスク削減に関する国際社会の作業のための重要な基礎として明確な位置づけがなされた。

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