(1)持続可能な開発と防災
国連防災世界会議で採択された兵庫宣言において,災害が開発投資の結果を短期間に大きく損ない,持続可能な開発と貧困撲滅にとって大きな障害になっており,また,災害リスクを適切に考慮しない開発投資は,災害への脆弱性を増すことになるとの認識のもと,国の持続可能な開発を実現し,強化していく上で,防災は国際社会が直面する最重要課題の一つとなっていることが示された。兵庫行動枠組においても,持続可能な開発のための政策,計画策定に災害リスクの視点をより効果的に統合することを戦略目標の一つに位置づけている。2005年3月に発表されたアナン国連事務総長の報告書 “In larger feedom” においても,災害がミレニアム開発目標の達成にますます重大な障害となることを警告している。
2005年4月11日にニューヨークの国連本部で開催された国連持続可能な開発委員会においては,国連防災世界会議の議長を務めた村田防災担当大臣(当時)が招待され,会議成果を報告した。この中で,災害が世界の持続可能な開発の障害となっており,災害予防の文化を普及し,各国の自発的な取組と国際協力が一体となり,兵庫行動枠組の具体化に向けた行動を実践することが持続可能な開発の達成のために不可欠の課題であることを世界に訴えた。