1−5 世界での防災における課題



1−5 世界での防災における課題

  過去25年間に世界全体で自然災害により死亡した人は約200万人(年平均8万人)であるが,その大半が低所得国,中低所得国に集中している。1975〜1979年と2000〜2004年を比較すると,以前は中低所得国の占める割合が大半であったものが,近年は低所得国へと移行し,低所得国の占める割合が11%から47%へと増加している。低所得国ほど自然災害による死者が増えるという負の連鎖が拡大していることがわかる( 図4−1−3 )。
  また,開発途上国においては,一度の災害がその国の年間GDPを超える経済被害をもたらすこともある。例えば,2004年のハリケーン・アイバンによってカリブ海の島々は大きな打撃を受け,グレナダの経済被害はGDPの約2倍にも及んでいる。そして2004年のインド洋地震津波によるモルディブの被害額はGDPの60%を超えている。我が国の阪神・淡路大震災の経済被害がGDPの2%であったことを考えると,その影響の大きさがわかる。特に,グレナダ,モルディブのような小さな島嶼国にとっては,自然災害が経済活動に与える影響は深刻な問題であるといえる( 表4−1−5表4−1−6 )。
  このように自然災害による経済被害は開発途上国の持続可能な開発の大きな障害となっている。開発途上国の持続可能な開発を達成するためには,災害に対する社会の脆弱性を減らし,災害による被害を減少させていくことが喫緊の課題となっている。



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