1−4 長期的な自然災害の状況



1−4 長期的な自然災害の状況

  世界各地で自然災害が発生しており,毎年多くの人命と財産が失われている。特に開発途上地域では,都市化が進む一方で,遅れた社会基盤整備が災害への脆弱性を高めている。
  ベルギーのルーバン・カトリック大学疫学研究所(CRED)の自然災害に関する統計データ( http://www.em-dat.net/別ウインドウで開きます )を用いた分析によると,全世界で毎年約1億6千万人が被災し,約10万人の人命が奪われ,約330億ドル以上の被害額が発生している(1970年〜2004年の年平均値)( 図4−1−1 )。過去35年間,災害の発生件数は増加傾向にあり,被災者数もそれに伴い増加しており,1970年代に比べると,最近の10年間は,発生件数,被災者数で約3倍に増加しているが,死者数は約0.7倍と減少している。
  経済被害の規模でみると,近年では,1998年の中国の洪水,1999年のトルコの地震,フランスの風害,2002年のヨーロッパの洪水,2004年の新潟県中越地震,2004年のスマトラ島沖地震及び津波,2004年及び2005年の北米,中南米のハリケーン等で多くの損失が発生している。特に,2005年の米国のハリケーン・カトリーナでの経済被害額は数百億から千数百億ドルと推計されており,史上最大規模となった。

   表4−1−4 は20世紀以降の主な自然災害の状況を示している。地震や風水害による大規模災害はアジア地域で多発している。

  アジア地域では,各国政府,国際機関の災害予防及び軽減のための多大な努力にもかかわらず,毎年,数か国で死者・行方不明者が数千人を超える被害が発生している。
  近年(2000〜2004年)の世界全体に占めるアジア地域の災害の発生状況をみると,災害発生件数で世界の約4割,死者数,被災者数の8割以上,被害額で約5割と,大きな割合を占めている。
  欧米地域では,死者数,被災者数が少ないにも関わらず,被害額が大きい。なお,2005年にはハリケーンの多発により,多くの人命と財産が失われ,特にハリケーン・カトリーナでは死者は千人を超え,巨額の経済被害を受けた。
  一方,アフリカ地域は,発生件数,被災者数が多いにも関わらず,被害額が少なく,各地域の経済規模を反映する結果となっている( 図4−1−2 )。


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