3−4 宮城県沖を震源とする地震



3−4 宮城県沖を震源とする地震

(1)災害の状況
 平成17年8月16日11時46分頃,宮城県沖の深さ約42kmでマグニチュード7.2の地震が発生し,宮城県川崎町で震度6弱,岩手県藤沢町,宮城県石巻市,涌谷町,田尻町,栗原市,登米市,東松島市,仙台市,名取市,蔵王町,小牛田町,福島県国見町,川俣町,相馬市,新地町,鹿島町で震度5強を観測したほか,東北地方を中心に北海道から四国地方の一部にかけて震度1以上を記録した。直後の11時50分には,宮城県の沿岸に津波注意報が発表され,同注意報が解除された13時15分までに,宮城県石巻市鮎川で0.1mの津波が観測された。東北地方で震度6弱以上の地震を観測したのは2003年7月26日の宮城県北部の地震(M6.4)で震度6強を観測して以来であり,東北地方に津波予報を発表したのは,2003年10月31日に発生した福島県沖の地震(M6.8)以来である。
 この地震により,仙台市の屋内プールの天井が落下し,26名が負傷したのをはじめ,負傷者100名,住家全壊1棟,住家一部破損984棟の被害が発生した。
 土砂災害については,がけ崩れ4件が発生した。
 ライフライン関係においては,東北電力管内で延べ約19,000戸が停電となったほか,上水道については,宮城県,秋田県,福島県内の49戸が断水した。また,電気通信関係では,携帯電話基地局15局が停波したほか,固定電話事業者及び携帯電話事業者において通信規制を実施した。
 道路については,東北自動車道等6区間で点検のため一時通行止めとなったほか,国道,県道でも落石により各地で通行止めとなった。鉄道については,東北地方のJR等の各線で点検のための運転中止が発生した。
 公共土木施設では,河川14か所,道路(橋梁を含む)12か所,港湾4か所,下水道4か所に被害が発生した。
 農林水産業関係では,農地15か所,農業用施設41か所,漁港41か所に被害が発生した。
 文教施設では,国立学校施設3校,公立学校施設186校,私立学校施設74校,社会教育・体育,文化施設等76施設,文化財等14件,研究施設等1施設に被害が発生した。
 社会福祉施設等では,老人福祉施設21か所,児童福祉施設18か所,障害者施設10か所に被害が発生した。
 医療施設関係では,8施設に被害が発生した。
(2)国等の対応状況
 地震発生後ただちに,各省庁の防災担当者が官邸危機管理センターに参集し,警察,消防,自衛隊,海上保安庁,国土交通省などのヘリコプターからの映像等により迅速な情報収集を行うとともに,内閣府の地震防災情報システム(DIS)を稼働させて,建物被害や人的被害などを推計し,概括的な被害規模の把握に努めた。また,官邸危機管理センターに参集した関係省庁の局長級職員などによる緊急参集チームは,収集された情報を集約・確認することにより,政府として被害の実態把握と対応方針の決定を早期に行うことができた。発災直後には,関係省庁合同の情報先遣チームを宮城県へ派遣,その後,江渡内閣府大臣政務官と合流し,政府調査団として活動した。
 8月16日16時45分より,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有し,今後の対応を確認した。
 内閣官房は,8月16日11時51分,官邸対策室を設置した。
 内閣府は,8月16日11時50分,情報対策室を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡を行った。
 警察庁は,8月16日11時47分,災害警備本部を設置して,関連情報の収集,関係機関との連絡調整及び警察広域緊急援助隊や警察用航空機の派遣調整等に当たった。また,機動警察通信隊は災害発生直後から警察通信の確保に当たり,ヘリコプターテレビシステムや衛星通信システム等を使用して,警察庁,官邸等へ危機管理上重要な現場映像の伝送等を実施した。
 防衛庁は,8月16日11時51分,災害対策室を設置し,自衛隊航空機26機,艦艇1隻により偵察活動を実施した。
 消防庁は,8月16日11時46分,災害対策本部を設置し,関係機関との連絡調整に当たった。
 海上保安庁は,8月16日11時50分,災害対策本部を設置し,巡視船艇21隻,航空機10機による被害状況調査等を実施した。
 総務省は,8月16日11時55分,災害対策本部を設置した。
 文部科学省は,8月16日11時50分,災害情報連絡室を設置し,教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに,児童生徒の安全確保及び二次災害の防止等適切な対応をとるよう指示した。8月17日には地震調査研究推進本部の地震調査委員会が臨時会を開催し,今回の地震について分析と評価を実施した。また,8月26日には屋内プールの天井が落下したことを受け,全国の教育委員会に対し,文教施設における非構造部材等の耐震点検及び状況把握の実施並びに必要に応じた耐震改修等の適切な実施について通知した。
 厚生労働省は,8月16日11時50分,災害対策本部を設置し,国立病院機構災害医療センターほか,各地の病院より災害派遣医療チーム(DMAT)を現地に派遣する等により医療支援活動を実施した。
 農林水産省は,8月16日11時50分,省内各局庁の連絡体制を整備した。
 経済産業省は,8月16日11時48分,防災連絡会議を設置した。
 国土交通省は,8月16日11時46分に非常体制をとり,ヘリコプターの活用等による情報収集を実施した。屋内プールの天井が落下したことを受け,8月16日に調査のため担当官及び専門家を現地に派遣するとともに,8月19日には全国の地方公共団体に対し,大規模空間を持つ建設物の天井の状況を緊急に調査し,必要に応じ建築物の所有者等に対し適切な天井崩落防止策を指導するよう通知した。
 国土地理院は,8月16日11時46分,災害対策本部を設置し,電子基準点観測データの緊急解析及び現地緊急測量を実施した。
 気象庁は,8月16日11時48分に非常体制をとり,津波予報や地震情報等の発表に万全を期し,防災関係機関や住民に対して適宜適切に情報を提供した。また,震度5強以上を観測した地域とその周辺の地域に対して,暫定的に大雨の注意報・警報基準を引き下げて運用した。

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