3−3 我が国の国際防災協力



3−3 我が国の国際防災協力

  我が国は,幾多の災害の経験や教訓により培った防災に関する知識や技術を活用し,世界の災害被害の軽減に向けた国際防災協力を積極的に進めてきており,防災協力は我が国の顔の見える国際貢献の重要な分野となっている。
国連防災世界会議に参加した小泉内閣総理大臣は,今後とも,情報や知識の共有,人的技術的貢献,財政面からの復興支援の全てにおいて,最大限の国際的な協力を行っていくことを表明し,会議成果の「兵庫行動枠組」の実施とフォローアップの重要性を強調しつつ,その具体化に向け,以下のような我が国の国際防災協力に関する考え方を世界に発信した。
 国連における防災協力機能の強化〜会議成果の効果的なフォローアップ〜
会議成果の実施とフォローアップの重要性
○ 国連防災世界会議(WCDR)を意味ある会議とするためには,世界の災害被害の実質的な軽減に向け,会議の成果文書となる「兵庫行動枠組」を踏まえ,加盟各国,国際機関他関係者により具体的行動が起こされ,適切にフォローアップされる必要がある。
○ 我が国は,世界全体で災害に強い国・コミュニティづくりが促進されるよう,幾多の災害を経験して培った防災に関する知識や技術を最大限活用し,国際防災協力を積極的に推進する。
ODAを活用した防災協力イニシアティブ
○ 我が国は,ODA大国として,防災を含め世界の開発援助に積極的に取り組んできており,例えば,モルディブ共和国において,1987年から無償資金協力で建設した離岸堤や海岸護岸が,今回の津波被害を最小限にするなど,着実な効果を発揮している。
○ 我が国は,開発援助を行う際に,防災の視点が取り込まれるよう「防災協力イニシアティブ」を提唱する。これに基づき,ODAを通じて,開発途上国の自助努力や,人づくりを支援する防災協力を積極的に行う。
アジア防災センターを通じた地域防災協力の強化
○ 今般の地震津波災害からも明らかなように,災害のリスクを軽減するためには,同じような気象特性,地形・地質的条件を有する地域レベルでの緊密な協力関係は不可欠である。我が国は,アジアの一員として,世界有数の災害多発地域であるアジアにおける各国の連携を強化するため,神戸にあるアジア防災センターを通じた防災協力をさらに推進し,その成果を世界に提供する。
○ アジア防災センターは,パプアニューギニアにおいて,1998年のアイタペ地震津波の教訓を踏まえ,住民向けのわかりやすい津波パンフレットを作成し,普及・啓発を実施した。2000年に発生したマグニチュード8級の地震では,津波による死者は発生しなかった。このような防災協力プログラム等を通じ,アジア各国における本会議の成果を実践する取組みを支援していく。
国際レベルの連携プロジェクトの推進
[1] 災害復興過程における災害に強い国・コミュニティづくりの推進
 災害復興過程において,被災地における災害の脆弱性を検証し,次の災害に備える災害予防の観点を取り込んだ復興計画に基づいて,被災地域の復興開発を図る必要がある。防災の観点を組み込まない開発や災害復興を繰り返すだけでは,貧困と災害の悪循環から脱することはできず,持続可能な開発を達成することは困難となる。
 このため,災害復興過程における災害に強い国・コミュニティづくりを多様な分野,多様な主体間の連携,調整により包括的に推進する国際協力の仕組みを,国連の適切な関与の下に構築する必要がある。
 我が国は,阪神・淡路大震災をはじめ,幾多の災害からの復興過程で得た教訓やノウハウを積極的に活用し,UNDPやISDR,OCHA,アジア防災センターと連携しつつ,国際的な復興支援の活動を,兵庫県神戸市を拠点として推進する。
[2] 国際洪水ネットワーク(IFNet)の推進
 世界で頻発する洪水被害を軽減するため,一昨年我が国が主催した第3回世界水フォーラムを機に発足した国際洪水ネットワーク(IFNet)の活動を推進し,各国の団体や世界気象機関(WMO)等の国際機関等と協力して,洪水対策に関する情報の共有を図る。
[3] 水災害・リスク管理に関する国際センターの設置
 国連教育科学文化機関(UNESCO)の協力により水関連災害とそのリスク管理に関する研究,研修,情報ネットワーク活動を行う「ユネスコ水災害・リスクマネジメント国際センター(仮称)」を日本に設置することについて,本年秋のユネスコ総会で承認を得るべく取り組む。
[4] 地球観測サミットにおける災害対策の推進
 一昨年のG8サミットで日本が提案した地球観測サミットについて,衛星データの共同利用等を通じ,異常気象現象の探知,災害状況の迅速かつ的確な把握が可能となるよう貢献する。
防災に関する情報集(Portfolios for Disaster Reduction)の構築
○ 我が国は,WCDRの成果をフォローアップする具体的なツールとして,国連において,「防災に関する情報集(ポートフォリオ)」といった,情報共有の仕組みを設けることを提案。
○ 具体的には,次のような内容の情報の共有が有効と考える。
[1] 防災行動集(Portfolio of Disaster Reduction Actions)
 加盟各国や国際機関等が「兵庫行動枠組」に基づいて実施する主体的な防災行動の内容を紹  介し,会議成果の具体化の進捗状況を国際社会で共有する。
[2] 優良事例・教訓集(Gallery of Best Practices and Lessons Learnt for Disaster Reduction)
  「兵庫行動枠組」を各国が実施していく際の参考になる,世界でのこれまでの防災行動における優良事例や教訓を紹介する。災害被害の軽減に実質的な効果が認められるノウハウや教訓の共有を通じて,世界の防災行動が促進されることが期待される。
[3] 防災技術集(Catalog of Technologies for Disaster Reduction)
 防災に関する既存の技術や今後研究開発すべき技術に関する情報を広く国際社会で共有する。特に低コストでも,扱いやすい技術であれば,普及しやすく,高い防災効果を望むことが可能である。
○ 「防災に関する情報集」は,加盟各国をはじめ多様な関係主体によりインプットされ,更新されてこそ,意味を持つものであり,各国の自発的な協力を期待する。
国連における防災協力機能の強化〜会議成果の効果的なフォローアップ〜
○ 「兵庫行動枠組」の具体化についての達成状況を適切にフォローアップする仕組みを国際社会の中で確立していくことが重要。
○ その際,既存の国連機関の能力を最大限活用し,関係機関の間の連携・調整を強化することが望ましく,機関間の活動の重複は整理されることが適当。
○ そうした国連の努力の下に効率的,効果的なフォローアップが行われるよう,我が国もISDR事務局などの活動に対する支援を続けていく。
○ アナン事務総長の提案で設立された,国連水と衛生に関する諮問委員会において水災害に関する議論が進展することを期待。
(1)国際機関を通じた国際協力
 我が国は,国連国際防災戦略事務局(ISDR),国連人道問題調整部(UN−OCHA)などの国連機関・国際機関への出資,拠出を通じて,国際防災協力を行っている。
 また,日本政府はISDRと協力して世界防災白書を作成したり,UN−OCHAと協力しOCHA神戸事務所を設立して,リアルタイムに世界の災害情報をインターネットを通じて提供するリリーフウェブを運営するなど,さまざまなプロジェクトを実施している。
 2005年1月には,ISDRが事務局を務めた国連防災世界会議を兵庫県神戸市で開催した。さらに,2004年末のインド洋地震津波災害を受け,インド洋地域における津波早期警戒体制の構築に向け,UNESCOやISDRと連携した国際協力を進めている。

国際機関への日本の拠出(2003年)

(2)アジア地域における地域防災協力
 地域レベルでの防災協力の必要性から,我が国はアジア防災センターを設立して,アジア地域における防災協力のリーダーシップをとっている。
a アジア防災センターの設立
 1994年,国連の「国際防災の10年世界会議」(横浜市)において,「災害脆弱性に多くの共通的側面を有する地域において,国際地域センターの設立などを通じた国際地域防災協力体制の促進」が提唱された(横浜戦略)。
 特に,我が国は,阪神・淡路大震災以前から,アジア諸国に対して,様々な国際協力,支援を行っていたが,この大震災で得た多くの教訓についても広く各国に紹介していくことが防災分野における重要な国際貢献の一つと認識された。
 このような状況を背景として, 1998年7月,兵庫県神戸市にアジア防災センターが設置された。同センターは横浜戦略を契機として設立されたものであり,国際防災の10年の期間中における我が国の多国間防災協力に関する大きな成果の一つとして位置づけられる。
b アジア防災センターの活動内容
 アジア防災センターは,アジア地域の災害被害軽減に資するため,24か国に及ぶメンバー国とのネットワークを構築し,以下の活動を行っている。
(a)防災情報の共有
 [1] アジア防災センター国際(メンバー国)会議
   防災情報の共有,関係国・機関との協力強化のため,毎年,構成国の防災専門家や国連など国際機関の防災専門家を招聘して,国際会議を開催している。
 [2] 最新災害情報,メンバー国防災情報,優良事例等の提供
    インターネット上にホームページ( http://www.adrc.or.jp/別ウインドウで開きます )を立ち上げ,メンバー国で発生している災害情報や防災情報,防災辞書など様々な情報提供を行っている。
 [3] 世界統一災害コード番号の開発と運用
   世界の各機関が保有する災害情報を誰もが簡単に共有できる世界統一の災害コード番号(GLIDE)を開発し,国連人道問題調整部などとともに運用を開始している。
(b)人材育成
 [1] 防災行政管理者セミナー
   国際協力機構(JICA)と協力し,毎年,途上国の防災担当者を招聘し,日本の防災制度や技術について研修を行っている。
 [2] 外国人研究員招聘プログラム
   構成国から毎年4人を招聘し,客員研究員としてそれぞれの国の防災情報をアジアに発信すると同時に,日本の防災システムや国際防災協力についての見識を深める機会を提供している。
 [3] メンバー国との共同防災力向上プログラム
   メンバー国の防災力向上のため,各国と共同で中央政府,地方政府,学校教育関係者,コミュニティリーダー,メディア関係者などの防災力向上プログラムを進めている。
(c)コミュニティの防災力向上
 [1] コミュニティ・住民参加を促すツールの開発,普及
   防災意識の啓発や普及,防災力の向上を図るためのツールの開発等を行っている。これまでに行ったのは,コミュニティの防災普及啓発プログラム(インドネシア),津波防災啓発パンフレットの作成(パプアニューギニア)。
 [2] NGOアジア防災,災害救援ネットワーク(ADRRN)への支援
   自然災害による被害低減に重要な役割を果たしているアジア各国NGOの効果的な防災活動を促進するため,NGO間のネットワーク化を支援している。
(d)国際機関との連携
  アジア防災センターは,国連人道問題調整部(OCHA)神戸事務所と,緊密な協力体制を取っているほか,アジア各国のNGO活動の支援,国連国際防災戦略(ISDR)の運営委員としてアジア地域の中心的役割を担うなど,国際機関との協力,連携を積極的に進めている。
(3)我が国の政府開発援助(ODA)
a 防災分野における日本のODAの基本方針
 我が国のODAを通じた防災協力は,政府開発援助大綱(ODA大綱)に則り実施されている。
ODA大綱は,ODAの戦略性,機動性,透明性,効率性を高めるとともに,幅広い国民参加を促進し,我が国のODAに対する内外の理解を深めるため,平成15年8月に改定された。このなかで,これまで記述がなかった“災害”が国際社会が直ちに協調して対応を強化すべき問題の一つとして盛り込まれた。
 また,平成17年1月の国連防災世界会議の機会に,ODAを通じて防災分野における開発途上国の自助努力を支援するための基本的な考え方を「防災協力イニシアティブ」としてとりまとめ,公表した。我が国は,従来より,防災分野においてODAを活用した国際貢献を行ってきたが,今回初めて,防災分野での取組みを総括・検証し,引き続き積極的にODAを活用した取組みを進める方針を示したものである。この中で,[1]防災への優先度の向上,[2]人間の安全保障の視点,[3]ジェンダーの視点,[4]ソフト面での支援の重要性,[5]わが国の経験,知識及び技術の活用,[6]現地適合技術の活用・普及,[7]様々な関係者との連携促進の7つの基本方針に基づき,「災害予防の開発政策への統合」「災害直後の迅速で的確な支援」「復興から持続可能な開発に向けた協力」のそれぞれの段階に応じて,一貫性のある防災協力の実施に努力することとしている。
 さらに,平成17年2月には,ODA大綱にのっとってODAを一層戦略的に実施するため,我が国の考え方やアプローチ,具体的取組などの方途を示した「政府開発援助に関する中期政策」を新たにとりまとめ,ODA大綱の重点課題である「貧困削減」「地球的規模の問題への取組」と関連づけて,今後,ODAを活用して災害への取組みを進めていくことを明確にした。
 b 日本の防災関係ODAの取組状況
 防災分野の協力は,災害の段階に応じて,災害を事前に予期して備える災害予防と,災害発生後に行われる緊急援助や災害復興の2つの分野に大きく分かれるが,後者の災害発生後の取組みのうち,復興過程においては災害の悪循環を断ち,持続可能な開発に向けた取組みを支援するなど,開発途上国の総合的な防災対策の推進に資する協力が重要である。
 災害予防は,台風,洪水,地震,津波,土砂崩れ,火山噴火などの自然災害に対する脆弱性を緩和するための備えを目的としており,我が国は過去の災害経験を通じて培われたノウハウや優れた防災技術を活かし,災害に強いインフラ整備や災害対策のための人材育成研修など,特色のある協力を行っている。
 災害発生後の取組みは,被災直後に救助・医療活動などを行う国際緊急援助隊の派遣,テント・毛布などの生活物資の支援といった初期の段階から,被災したインフラなどを再建する復興開発支援の計画づくり,実施に至る段階まで,幅広い協力を行っている。
 災害分野を含むODAは,[1]技術協力,[2]無償資金協力,[3]有償資金協力に大別される。平成15年度の実績は, 図4−3−1 に示すとおりである。
 平成15年度の実績では,無償・有償資金協力を合わせて53件で332億円,自然災害を対象とした国際緊急援助隊派遣は6件(自衛隊の輸送業務を含む),物資供与は15件約2億4,400万円相当の支援が行われた。資金協力の内訳は,災害種別では土壌流出,干ばつ対策の支援の実績額で全体の7割を占めており,援助形態別では無償資金協力(51件約182億円),有償資金協力(2件約150億円)の割合は金額でほぼ半分であるが,件数では規模の小さい無償資金協力が9割を占めている。
 一般的には,無償資金協力では干ばつなど自然災害に対する食糧援助,道路災害対策,洪水対策の割合が比較的高くなっている。また,大規模な災害復興や予防対策が必要なインフラ整備については,有償資金協力により支援している。
 なお,我が国の防災関係のODAによる協力に当たっては,独立行政法人国際協力機構(JICA)及び国際協力銀行(JBIC)が,防災分野の技術協力,資金協力の実施について大きな役割を担っている。

防災関係資金協力の実施状況(平成16年度)

防災関係無償資金協力の内訳(平成15年度)

防災関係無償資金協力の実施件数(平成15年度)

(a) 技術協力
 [1] 研修
 開発途上国の技術者や行政官等を研修員として我が国に受け入れ,防災分野の専門的知識・技術の移転を行うことを目的として,様々な研修を行っている( 表4−3−9 )。
 また,JICAは,開発途上国において当該国及びその周辺国の技術者等を対象とした第三国研修を実施している( 表4−3−10 )。

集団研修実施における防災関係の主な事例(平成11年度以降

第三国研修における防災関係の事例(平成10〜15年度)

 [2] 専門家,青年海外協力隊及びシニア海外ボランティアの派遣
 JICAは,開発途上国に専門家を派遣し,現地での防災に関する技術移転を行っている( 表4−3−11 )。
 また,技術・技能を有する青年男女が開発途上地域住民と生活を共にしつつ,当該地域の経済及び社会の発展に協力するための青年海外協力隊派遣事業を実施している。
 さらに,豊富な知識,経験,技術を有し,かつ途上国の発展に貢献したいというボランティア精神を有する中高年を海外に派遣するシニア海外ボランティア派遣事業を実施している( 表4−3−12 )。

防災関連専門家派遣実績(平成15年)

青年海外協力隊派遣事業,シニア海外ボランティア派遣事業における最近の防災関係の事例(2001年4月1日〜2003年11月30日)

 [3] 技術協力プロジェクト
 JICAは,専門家の派遣,研修員の受入れ及び機材の供与という3つの協力形態を組み合わせて一つの事業として実施する技術協力プロジェクトを実施している( 表4−3−13 )。

技術協力プロジェクト事業における最近の防災関係の事例(その1)

技術協力プロジェクト事業における最近の防災関係の事例(その2)

 [4] 開発調査事業
 開発途上国における開発計画の推進に寄与するため,我が国は開発調査事業として,様々な防災事業に関連する可能性調査あるいは基本計画の策定等について協力を実施している( 表4−3−14 )。

開発調査事業における最近の防災関係の事例(その1)

開発調査事業における最近の防災関係の事例(その2)

 [5] 国際緊急援助
 開発途上国を中心とした海外で大規模な災害が発生した場合,相手国政府の要請により国際緊急援助隊の派遣や緊急援助物資の供与などの国際緊急援助を行う。
 国際緊急援助は,被災国政府等から日本に対して援助要請があった場合,要請の内容,災害規模,種類等に応じて援助の内容,規模について検討を行い,関係省庁との協議を経て決定する。
 国際緊急援助隊は救助チーム,医療チーム,専門家チーム及び自衛隊の部隊等からなり,被災国の要請,災害の種類・規模等に応じて単独または適宜組み合わせて派遣されている( 表4−3−15表4−3−16 )。

国際緊急援助隊派遣までの流れ

国際緊急救助隊の派遣および緊急援助物資供与の実績(1)

国際緊急救助隊の派遣および緊急援助物資供与の実績(2)(その1)

国際緊急救助隊の派遣および緊急援助物資供与の実績(2)(その2)

 また,被災者の救援のために,毛布,テント,浄水器,簡易水槽,発電機,医薬品,医療機材などの緊急援助物資を供与している。これらの物資を迅速かつ確実に供与するため,物資の備蓄倉庫をシンガポール,ロンドン,マイアミに設置している。
 平成15年2月の中国新疆ウイグル自治区の地震では,15万ドルの緊急無償資金協力および約1,270万円相当の物資援助(テント,毛布,簡易水槽,発電機等)からなる総額約3,000万円の緊急援助が行われた。
 平成15年5月のスリランカにおける洪水災害では,約1,980万円相当の物資援助(テント,プラスチックシート,ポリタンク,発電機等)と10万ドルの緊急無償資金協力が行われた。
 平成15年5月に発生したアルジェリアの地震では,国際緊急援助隊救助チーム,同医療チームおよび同専門家チーム(建物の耐震診断等)を派遣した。救助チームは,ブメルデス県ゼンムリにおいて生存者1名を救出した。
(平成16年12月に発生したインドネシア・スマトラ島沖大地震及び津波被害に対する我が国対応は前述)
(b)無償資金協力
 無償資金協力とは,被援助国(開発途上国)に返済義務を課さないで資金を供与するものである。この無償資金協力の中で,海外での災害発生時において被害状況を迅速に把握し,物資の購入等のため必要な資金を供与する緊急無償資金協力を実施している。さらに,防災及び災害復旧関連の施設や機材の整備等に対しても無償資金協力により援助が行われている。
 災害対策分野に関する平成15年度無償資金協力の実施額は約182億円で,一般プロジェクトと食糧援助が中心である。
(c)有償資金協力
 有償資金協力(円借款)は,被援助国(開発途上国)に対し長期低利の緩やかな条件で,開発資金を貸し付けるものである。防災関係の有償資金協力としては,治水(洪水対策)や耐震補強事業に対するものなどがある。
 これまでの防災分野の実績ではインドネシアとフィリピンへの継続的な供与が多く,その殆どは洪水対策である。また,中国およびブラジルには洪水対策への比較的規模の大きな援助が行われている。平成15年度に中国に対して供与が決定された長江中流域の植林計画は,植林を通じ土壌流出による長江の洪水災害を抑制することを目的としたものである( 表4−3−17 )。

防災関係円借款の状況




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