2−4 世界全体の被害の軽減に向けて



2−4 世界全体の被害の軽減に向けて

 災害の発生そのものを止めることはできないが,より良く備えることによってその被害を軽減することはできる。
 国連防災世界会議で採択された兵庫行動枠組は「災害に強い国・コミュニティづくり」をテーマとして,今後10年の国際社会における防災活動の基本的な指針を定めている。この兵庫行動枠組では,世界共通の防災目標として,世界の災害被害の大幅な削減に向け,持続可能な開発の取組みに減災の観点を取り入れること等を掲げ,5つのテーマについての優先行動を設定するとともに,横浜戦略と異なり,その実施とフォローアップの方針についても合意している。
 また,会議では,兵庫行動枠組の具体化のための行動を世界に広く呼びかける「兵庫宣言」が日本からの提案に基づき採択された。
 これら会議成果の主な内容として,次の4点が挙げられる。

[1]災害が持続可能な開発の大きな障害になっているとの共通認識のもと,持続可能な開発のあらゆる政策に防災の視点を組み入れることを主要な目標に掲げている。
[2]災害予防の文化を醸成することの重要性を謳い,災害リスクを軽減する事前の備えにもっと光が当てられるべきとの主張が盛り込まれている。
[3]コミュニティレベルの防災意識の強化が強調され,一人一人が,地域が直面する災害リスクを把握し,災害への備え,災害時の行動を身につける大事さを訴えている。
[4]災害に国境はないことから,類似の災害経験を有する地域同士が知識や技術を共有し,パートナーシップを広げていく必要があり,地域機関の役割強化の重要性を強調している。


 我が国としては,会議の開催にとどまることなく,会議成果の実施とフォローアップの重要性を強調し,我が国の知識や技術を最大限活用し国際防災協力を積極的に推進することとしている。具体的には,[1]ODAを活用した防災協力イニシアティブ,[2]アジア防災センターを通じた地域防災協力の強化,[3]国連と連携した災害復興支援活動の推進等の国際レベルの連携プロジェクトの推進,[4]国際社会での防災に関する情報集の構築・共有を進めることとしている。
 本年4月11日に国連本部で開催された国連持続可能な開発委員会では,国連防災世界会議の議長を務めた村田防災担当大臣が参加し,会議成果を報告した。この中で,災害が世界の持続可能な開発の障害となっており,災害予防の文化を普及し,各国の自発的な取組みと国際協力が一体となり,兵庫行動枠組の具体化に向けた行動を実践することが持続可能な開発の達成のために不可欠の課題であることを世界に訴えた。
 本年4月22から24日,インドネシアにおいて,アジア・アフリカ首脳会議(バンドン会議50周年会議)が開催され,アジア,アフリカ両地域約100カ国の首脳らが一堂に会し,日本からも小泉内閣総理大臣等が参加した。同会議では,両大陸の政治,経済,社会文化面での包括的な協力関係を目的とする首脳宣言とともに,昨年末のインドネシア・スマトラ島沖大地震及び津波被害を受けた両地域の連帯を示す「津波,地震及びその他の自然災害に関するアジア・アフリカ共同首脳声明」が出された。この宣言の中で,我が国が積極的に協力・支援を行っているインド洋の津波早期警報体制の構築をはじめ,防災分野でのアジア・アフリカ諸国間の協力関係の強化が掲げられ,国連防災世界会議の成果を具体化する政治的コンセンサスが,アジア・アフリカ首脳間で確認された。首脳会議の中で,小泉内閣総理大臣は,防災・災害復興対策については,アジア・アフリカ地域を中心として今後5年間で25億ドル以上の支援を行うことを表明した。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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