4−1 地震防災戦略



4 自然災害対策

4−1 地震防災戦略

(1)経緯
大規模地震対策については,これまで各般の取組みを進めてきたが,想定される被害が甚大かつ深刻であるのに対して,地震防災対策の推進状況は必ずしも十分ではなく,事前対策を中心として対策を一層加速させ,被害の軽減を図ることが重要である。
 大規模地震対策は,社会全体で取り組まなければならない緊急課題であり,各種施策に振り向けることができる資源が有限である中,当面緊急に取り組むべき事項と目標を特定し,これを関係機関,社会全体で共有することが必要である。
 このため,平成16年7月28日に中央防災会議において「地震防災戦略の策定について」が報告され,承認された( 図2−4−1 )。これにより大規模地震について被害想定をもとに人的被害,経済被害の軽減について達成時期を含めた具体的目標(減災目標)を平成16年度中に定め,これを国,地方公共団体,関係機関,住民等と共有するとともに,各種投資と減災効果の把握に関する手法の確立を図り,達成状況をモニタリングすることとされた。

地震防災戦略について
 
(2)東海地震及び東南海・南海地震の地震防災戦略の策定
   平成17年3月30日の中央防災会議において,既に被害想定を実施し,対策に関する大綱を定めている東海地震及び東南海・南海地震を対象とする地震防災戦略が決定された( 図2−4−2図2−4−3 )。
 地震防災戦略は,「減災目標」と「具体目標」から構成され,「減災目標」とは,人的被害,経済被害の軽減に関する具体的な目標で,対象とする地震,達成時期,減災効果を明示するものである。「具体目標」とは,「減災目標」の達成に必要となる事項ごとの達成すべき数値目標,達成時期,対策の内容等を具体的に定めるものである。
 東海地震,東南海・南海地震とも減災目標として,「今後10年で死者数及び経済被害額を半減させる」ことを掲げ,東海地震で死者数約9,200人を約4,500人に,経済被害額約37兆円を約19兆円に,東南海・南海地震で死者数約17,800人を約9,100人に,経済被害額約57兆円を約31兆円にすることとした。
 東海地震の地震防災戦略では,死者数の減少のうち,特に効果が大きい具体目標は,「住宅の耐震化」であり,今後10年間で住宅の耐震化率90%を目指すこととした。住宅の耐震化率90%を達成するために,「地域住宅交付金制度」や税制の活用等を図っていくこととした。
 次に東南海・南海地震については,津波による死者数が多いことが特徴であり,住宅の耐震化と並んで,「住民の津波避難意識の向上」による減災効果が大きい。津波避難意識を向上し,保持していくために,津波ハザードマップの作成・周知,津波防災訓練の実施のほか,防災計画の充実,防災教育等を推進することとした。
 さらに,減災目標を達成するためには,地方公共団体の参画と連携が不可欠であることから,関係地方公共団体に対して,地震防災戦略を踏まえた「地域目標」の策定を要請することとした。このほか,地震は全国どこでも起こるおそれがあることから,大規模地震以外の地震についても,関係地方公共団体は地域特性を踏まえた被害想定に基づく減災目標を策定することなどが必要であるとされた。
 また,今回策定した,地震防災戦略の対象期間は10年とし,進捗状況について3年ごとにフォローアップすることとなっている。

東海地震の地震防災戦略
 
東海・海南海地震の地震防災戦略


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