3−9 台風第21号



3−9 台風第21号

(1)災害の状況
 台風第21号は,9月21日3時にグアム島の西南西の海上で発生し,発達しながら日本のはるか南海上を北西に進み,26日には沖縄本島と宮古島の間を通って東シナ海へ入った。27日以降は進路を北東に変えて徐々に速度を増し,29日朝,暴風域を伴って鹿児島県に上陸した。その後,九州,四国,近畿,北陸,東北地方を通過し,30日12時に,宮城県の沿岸部で温帯低気圧となった。この台風と前線の影響により,三重県で記録的な豪雨となったほか,四国,近畿地方の各地で400mmを超える大雨となった。また,九州地方などで暴風が観測された。
 この台風により,死者26名,行方不明者1名,負傷者98名,住家全壊92棟,住家半壊783棟,住家一部破損2,007棟,床上浸水5,193棟,床下浸水14,412棟の被害が発生したほか,最大で少なくとも214,479人に避難指示・勧告が出された。
 土砂災害については,土石流128件,地すべり17件,がけ崩れ106件発生した。
 河川については,櫛田川水系佐奈川等6水系8河川で計画高水位を超えたほか,多数の河川で警戒水位を超え,一部は危険水位に達し,各地で浸水被害等が発生した。
 ライフライン関係においては,東北・東京・中部・関西・中国・四国・九州・沖縄電力管内で延べ約771,000戸が停電となったほか,上水道については11,892戸が断水した。電気通信関係では,愛媛県,三重県等の約3,390回線の電話が不通となったほか,携帯電話基地局323局が停波した。
 道路については,高速自動車国道,一般国道,都道府県道,有料道路等968か所で通行規制が行われ,鉄道については,全国各線で雨量規制等のために運休が発生した。
 公共土木施設では,河川3,731か所,海岸32か所,砂防施設等375か所,道路(橋梁を含む)2,719か所,港湾23か所,下水道5か所,公園33か所で被害が発生した。
 農林水産業関係では,農地8,328か所,農業用施設7,091か所,林地等1,056か所,林道等3,083か所,漁港31か所に被害が発生した。
 文教施設等では,国立学校施設14校,公立学校施設217校,私立学校施設107校,社会教育・体育,文化施設等29施設,文化財等17件に被害が発生した。
 社会福祉施設等では,老人福祉施設11か所,児童福祉施設15か所,障害者施設7か所,その他福祉施設1か所に被害が発生した。
 医療施設関係では18施設に被害が発生した。

(2)国等の対応状況
 9月30日10時より,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,災害対策に万全を期すことを確認した。また,10月1日に村田防災担当大臣を団長とする政府調査団13府省庁31名を三重県に派遣した。
 また,9月29日,三重県が海山町,紀伊長島町,津市,宮川村及び伊勢市に対し,愛媛県が新居浜市,西条市,四国中央市及び小松町に対し,兵庫県が上郡町及び上月町に対し,それぞれ災害救助法を適用した。
 また,被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援金支給制度を,適用日を9月29日として三重県津市,宮川村,紀伊長島町,海山町,兵庫県上郡町,上月町,赤穂市,愛媛県西条市,新居浜市,四国中央市及び小松町に適用した。
 さらに,この災害について,平成16年11月19日閣議決定,同月25日公布・施行の「平成十六年九月二十六日から同月三十日までの間の豪雨及び暴風雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」により激甚災害として指定し,農地等の災害復旧事業等に係る補助の特例措置等を適用した。
 内閣府は,9月29日9時30分,情報対策室を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡を行った。
 警察庁においては,9月29日8時30分,「災害警備連絡室」を設置して,関連情報の収集,関係機関との連絡調整及び警察広域緊急援助隊の派遣調整等に当たった。また,機動警察通信隊は関係機関への映像配信等に当たった。さらに,三重県公安委員会からの援助要求を受けて,警察広域緊急援助隊延べ人員165名を同県内に派遣し,同隊は救出援助,行方不明者捜索等に当たった。
 防衛庁は,三重県,香川県及び愛媛県の各知事からの災害派遣要請を受け,9月29日から10月6日までに人員約2,400名,車両約540両,航空機14機により,孤立者の救出活動,行方不明者の捜索活動,給水支援及び道路啓開作業等を実施した。
 消防庁は,9月29日8時30分,災害対策室を設置し,関係機関との連絡調整に当たった。
 海上保安庁では,三重県からの要請により,孤立者救助,巡視船艇による人員輸送,物資輸送等を行った。
 総務省は,9月29日9時40分,省内の情報収集体制を整備した。また,三重県津市,伊勢市,宮川村,紀伊長島町,海山町,愛媛県西条市及び四国中央市に対し,10月26日,11月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰上げて交付した。
 文部科学省は,9月29日9時30分,災害情報連絡室を設置した。
 厚生労働省は,9月29日9時45分,省内関係局庁の連絡体制を整備した。
 農林水産省は,9月28日16時,省内関係局庁連絡会議を開催した。
 経済産業省は,9月29日9時,省内の情報収集体制を整備した。
 資源エネルギー庁は,電気料金の支払期限の延長等の災害特別措置を認可した。
 中小企業庁は,10月1日,三重県,兵庫県及び愛媛県の政府系中小企業金融機関,信用保証協会,主要商工会議所,商工会連合会及び中部,近畿,四国の各経済産業局に対し,災害に係る特別相談窓口設置を指示するとともに,政府系中小企業金融機関に災害復旧貸付の適用,政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に既往債務の条件緩和等を指示した。
 国土交通省は,9月26日2時57分に警戒体制をとり,ヘリコプターの活用等による情報収集を実施,排水ポンプ車,照明車を現地に派遣した。
 気象庁は,防災関係機関や住民に対して適宜適切に防災気象情報を提供した。

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