3−8 台風第18号



3−8 台風第18号

(1)災害の状況
 台風第18号は8月28日9時にマーシャル諸島付近の海上で発生し,日本の南海上を北西に進んで9月5日には大型で非常に強い勢力で沖縄本島地方を通過した。その後東シナ海を北上し進路を北東に変えて7日朝には長崎県に上陸し九州北部を横断,7日夕方には日本海に達した。さらに速度をあげて北東に進んだ台風は,暴風域を伴ったまま8日朝には北海道の西の海上へ進み,15時には宗谷海峡で温帯低気圧となった。この台風により,沖縄,九州,中国,北海道などで記録的な風や,九州の一部で900mmを超える大雨を観測したところがあった。また,瀬戸内や西日本,東日本及び北日本で高潮となったところがあった。
 この台風により,死者41名,行方不明者4名,負傷者1,365名,住家全壊132棟,住家半壊1,396棟,住家一部破損65,065棟,床上浸水1,570棟,床下浸水6,626棟の被害が発生したほか,最大131,592人に避難指示・勧告が出された。
 土砂災害については,土石流8件,地すべり1件,がけ崩れ69件発生した。
 河川については,多数の河川で警戒水位を超え,一部は危険水位に達し,各地で浸水被害等が発生した。
 また,高潮により広島県呉市等で浸水被害が発生した。
 ライフライン関係においては,北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州・沖縄電力管内で延べ約5,055,000戸が停電となったほか,上水道については37,617戸が断水した。電気通信関係では,広島県,山口県等の約12,400回線の電話が不通となったほか,携帯電話基地局2,608局が停波した。
 道路については,高速自動車国道,一般国道,都道府県道,有料道路等1,425か所で通行規制が行われ,鉄道については,全国各線で雨量規制等のために運休が発生した。
 公共土木施設では,河川782か所,海岸145か所,砂防施設等46か所,道路(橋梁を含む)1,514か所,港湾174か所,下水道11か所,公園20か所で被害が発生した。
 農林水産業関係では,農地1,645か所,農業用施設1,661か所,林地等571か所,林道等2,913か所,漁港3,351か所に被害が発生した。
 文教施設等では,国立学校施設55校,公立学校施設1,677校,私立学校施設231校,社会教育・体育,文化施設等315施設,文化財等192件,研究施設等3施設に被害が発生した。
 社会福祉施設等では,老人福祉施設74か所,児童福祉施設97か所,障害者施設100か所,その他福祉施設9か所に被害が発生した。
 医療施設関係では21施設に被害が発生した。
 また,暴風や高波により鹿児島県鹿児島湾をはじめ全国で船舶等の乗り揚げ事故が相次いだ。

(2)国等の対応状況
 9月8日10時より,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,災害対策に万全を期すことを確認した。
 また,広島県が9月7日,呉市及び倉橋町に災害救助法を適用した。
 さらに,被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援金支給制度を,適用日を9月7日として,広島県呉市及び倉橋町に適用した。
 さらに,11月5日閣議決定,同10日公布・施行の,「平成十六年九月四日から同月八日までの間の豪雨及び暴風雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」により激甚災害として指定し,農地等の災害復旧事業等に係る補助の特例措置等を適用した。加えて,11月5日閣議決定,同月10日公布・施行の「平成十六年八月十七日から九月八日までの間の天災による災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」により激甚災害として指定し,天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置の特例を適用した。
 内閣府は,9月6日18時10分,情報対策室を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡を行った。
 警察庁においては,9月7日7時,「災害警備連絡室」を設置して,関連情報の収集及び関係機関との連絡調整等に当たった。また,機動警察通信隊は応急通信回線の確保等に当たった。
 防衛庁は,山口県,宮崎県及び鹿児島県の各知事からの災害派遣要請を受け,9月7日から10日までに人員約220名,車両約80両により,給水支援を実施した。
 消防庁は,9月6日11時30分,災害対策室を設置し,関係機関との連絡調整に当たった。
 海上保安庁では,9月7日15時,台風第18号海難対策室を設置,各地での船舶乗り揚げ等に,ピーク時には巡視船艇17隻,航空機10機,特殊救難隊3隊,機動防除隊2隊により,乗組員の救助,行方不明者の捜索,排出油防除活動等を行った。
 総務省は,9月6日18時10分,省内の情報収集体制を整備した。また,広島県呉市,倉橋町,山口県下松市,柳井市,周防大島町,由宇町,上関町,秋芳町,宮崎県西郷村及び椎葉村に対し,10月8日,11月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰上げて交付した。
 文部科学省は,9月6日11時30分,災害情報連絡室を設置した。
 厚生労働省は,9月6日18時45分,省内関係局庁の連絡体制を整備した。
 農林水産省は,9月6日16時,省内関係局庁連絡会議を開催した。
 経済産業省は,9月6日8時,省内の情報収集体制を整備した。
 資源エネルギー庁は,電気及びガス料金の支払期限の延長等の災害特別措置を認可した。
 中小企業庁は,9月10日,広島県の政府系中小企業金融機関,信用保証協会,主要商工会議所,商工会連合会及び中国経済産業局に対し,災害に係る特別相談窓口設置を指示するとともに,政府系中小企業金融機関に災害復旧貸付の適用,政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に既往債務の条件緩和等を指示した。
 国土交通省は,9月5日6時に警戒体制をとり,排水ポンプ車等を現地に派遣した。
 気象庁は,防災関係機関や住民に対して適宜適切に防災気象情報を提供した。

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