3−5 防災ボランテイアと防災まちづくりによる共助の取組み



3−5 防災ボランテイアと防災まちづくりによる共助の取組み

(1)防災ボランティアの活動環境の整備
 近年の相次ぐ災害において,全国から多くのボランティアが駆けつけ,目覚ましい活躍がなされている。防災とボランティアの関係は,阪神・淡路大震災を契機に多様な広がりを見せ,防災においてもはやボランティアはなくてはならない主体となっている。
 防災ボランティア活動へ参加意欲のある人々は潜在的には多いとみられ,それらの方々がより容易に参画できるよう,また,専門的な能力を有する方々を含めそれぞれの能力・技術に合った適切な活動がなされるよう,国においては,ボランティア及びその関係者と行政との連携を強化する取組みを通じ,防災ボランティアの活動環境の整備を進めている。
 内閣府では,延べ10万人以上のボランティアが活動した新潟県や福井県の豪雨災害での体験について意見交換を行うボランティア懇談会(平成16年9月),「防災とボランティアのつどい」(平成16年12月)を開催した。こうした会合では,活動の成果のほか,必ずしも活動が円滑に進まなかった例も報告されたことから,内閣府において,ボランティア及びボランティア活動支援者や学識経験者,関係省庁と連携しつつ「防災ボランティア活動検討会」を開催し,ボランティアセンターの立ち上げや運営の円滑化,災害対応時の活動資金の支援,活動時の安全確保等について,さらなる活動環境の整備のための検討を進めている。
 
COLUMN  支援物資を送る側のルール
  災害時には支援物資が多数寄せられる。しかし,被災地の事情に配慮がないと,支援物資がかえって被災地の負担になることにも目を向けたい。配送まで周到に考慮された支援以外は配送が遅れがちになり,腐るものは不可で,保存食品も配布まで相当かかる場合があり賞味期限まで数ヶ月は 欲しい。また,1つの箱に物資は1種類とし箱の外に品名を書く配慮がないと,内容確認と仕分けに膨大な人手がとられ,ボランティアの方々に作業を頼ることにもなる。少しずつ箱詰めされた物資は,現地へ送る前にどこかで集め仕分けして頂きたいとの声が現地から出ている。
 さらに,真に必要な物資に限って送るよう,現地へ事前照会することに努めたい(大口支援では事前調整が必須)。例えば,古着はたくさん送られてくるがほとんど使われない。物資が山積みになれば,対策拠点のスペースを狭め倉庫代もかさむ。物資による支援のみならず,ボランティア活動募金なども含め,資金支援も被災者の身近な支援になる。
 
(2)地域が主体の防災まちづくり
 また,個人や地域の諸団体,NPO等の防災まちづくりの活動も広がりをみせている。その中には,防災を主目的として始まったものではないが,あるきっかけで防災に関心が高まった例も少なくない。そこで,防災まちづくりの支援のため,国としても先進事例や支援策等の情報提供,地域間の交流の場の提供等に取り組むこととしている。
COLUMN  防災まちづくりの先進事例
  (震災疎開パッケージ)
 早稲田商店街から始まった全国商店街震災対策連絡協議会の「震災疎開パッケージ」は,商店街振興組合の会員の疎開を検討するにあたって,災害時について受入先の宿泊施設を確保するだけでなく,平常時についても疎開先の下見ツアー等の仕掛けを用意するという企画で,災害時の対策と平常時の地域交流をパッケージで提供しようとするユニークな取組みである。

震災疎開パッケージ

(ひらつか防災まちづくりの会の取組み)
 「ひらつか防災まちづくりの会」が,モデル家屋を選定して耐震診断から耐震補強に至るまでのプロセスを公開し,多くの見学者が訪れた。このモデル事業では,NPOの協力によりワイヤーを使った簡易な耐震補強工法の開発も行っており,耐震補強をする業者にも多くの情報をもたらすなど,市民レベルでの活動ならではのアイデアで住宅の耐震化を推進している。
(静岡市大岩2丁目自主防災会の取組み)
 静岡市の大岩2丁目自主防災会では,情報班,救出班,物資班等の機能別の班を設け,それぞれが日常のボランティア活動も行っている。例えば,消火班は,偶数月の第1日曜日に体の不自由なお年寄りがいるお宅に温泉宅配サービスを実施するというユニークな取組みを行っている。また,より多くの住民が防災訓練に参加できるように,地域内を9班に分けて,それぞれで工夫をこらした防災訓練を実施している。

(大・丸・有の取組み)
 震災時に多数の帰宅困難者が想定される東京都心では,大手町・丸の内・有楽町地区において,「東京駅・有楽町駅周辺地区帰宅困難者対策地域協力会(防災隣組)」を設立し,千代田区と協調して,帰宅困難者の都心での残留を想定した訓練を実施している。今年の訓練では,断水を想定して下水道のマンホールに仮設トイレを設置するなど,実践的な取組みを導入し,参加者,参加企業も増加しており,活動に広がりをみせている。
 こうした地域コミュニティでの取組みが,民間の力を活かした防災まちづくり活動として広がっていくことが期待されている。
 



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